エピローグ:びれぞん
騒動の後。 警察が到着する頃には、殺し屋たちの姿はいつの間にか消えていた。
しかし、武器や足跡など大量にあった証拠のおかげで、襲われたことを警察は信じ、捜査に応じてくれた。
そして警察によれば、同時刻に「特殊派遣会社ヤシマ」のビルが、謎の組織によって大規模なサイバー攻撃と物理攻撃を受けて壊滅したらしい。
恐らく、その組織の殺し屋が襲ってきたが、組織が壊滅したので、そのまま帰ったのだろうと。殺し屋が襲ってきた理由は不明だったけど。
「……結局、殺し屋の会社は潰れたから、もう襲われないってことか?」
散らかった部屋の片隅で、佐藤がぬるくなった缶ビールを開ける。
「そうなるな。太郎、お前はある意味、悪の組織を一つ潰した英雄だぞ。それを知った、どこか別のヤバい組織にスカウトされるんじゃないか?」
「いやいや、縁起でもないこと言うなよ……」
翌日。 山田は気を取り直し、別の企業へエントリーすることにした。
「今度こそ、普通に届いてくれよ……」 送信ボタンを押す。
その瞬間、画面に奇妙なノイズが走り、一通の返信メールがポップアップした。
件名:【悪の組織「ザコロ」】書類選考結果のお知らせ 本文: 山田 太郎様 この度は弊社にお申し込みいただき、誠にありがとうございます。 厳正な審査の結果、ヤシマの殺し屋部隊を、入社前だとしても、撃退した山田様の並外れたフィジカルと悪運を高く評価いたしました。 つきましては、最高幹部候補として、ぜひ弊社の最終選考(デスゲーム)にお進みいただきたく……
モニターを見ていた山田が、ポツリとうめく。
「次は悪の組織かよ、そこに送ってねーよ、あと、なんで殺し屋のこと知ってんだよ!」
隣で見ていた佐藤が天を仰ぎ、ニヤリと笑った。
「……まさに、“びれぞん”だな」
「いやいや、連続で続くと“びれぞん”じゃねーよ!」
終
びれぞん 履歴書送信でのありえない話 しわす五一 @shikousakugo49
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます