爆盛ヘアスタイル

陽麻

爆盛ヘアスタイル

 ある小さな星に、ある小さな宇宙人がすんでいました。

 その宇宙人にはアンテナみたいな触覚があたまに三本ついていて、髪の毛がありませんでした。


 あるとき、宇宙人のミミはいつも代わり映えしない頭をみて、どうにかオシャレにできないものかと頭をひねりました。

 すると、昼に使った綿あめ製造機が目にはいりました。お昼ご飯をつくったときに使ったやつです。


 ミミはひらめきました。綿あめを頭にフワフワとくっつけよう、と。

 さっそく綿あめ製造機で綿あめを作ると、桜色の綿あめと、水色の綿あめを作って、交互にあたまにつけていきました。

 ミミの頭は三本の触覚と、桜色と水色のストライプになりました。

 鏡をみたミミは大喜び。


「わあ! かわいい!」


 そこへ、ペタッとトンボがとまりました。綿あめにくっついて放れません。


「ふふふ、かわいい。帽子飾りみたい」


 ミミはまんざらでもないようです。

 気に入ったので外へ出てみました。


「ミミ、どうしたの、その頭!」


 友達のココがびっくりしてミミの頭をみました。


「かわいいでしょ」

「うん、ちょっと触らせて!」


 ココも気に入ったようで、ミミの頭をさわりました。

 すると、また綿あめにからめとられてミミの頭へとくっつきました。


「ああ、大変!」


 ミミは焦りましたが、ココは


「見晴らしがよくていいわ」


 とまんざらでもありません。

 なので、ミミはそのまま少し歩くことにしました。

 街路樹の街道へ出ると、枝が綿あめにくっつき、樹ごとミミの頭にのりました。

 空を飛んでいる車も、綿あめのせいで大きくなったミミの頭にくっつきます。

 ミミは首が頑丈だったので、びくともしませんでした。

 でも、少しつかれてきました。


「ちょっと疲れた。かえろう」


 帰りみちではこの星で一番高いタワーと、ビルとマンションをまきこみました。

 休憩で水際のベンチに座ると、船をまきこみ、灯台もまきこみ、魚もまきこみました。


「困ったわ。これじゃあ、家に入れない」


 すると、頭にいる友達のココがいいました。


「綿あめを洗ってしまえばいいんじゃない」

「ああ、そうか! ありがとう、ココ!」


 ミミはさっそく海に入って頭を洗いました。

 ゴツゴツ、ジャワジャワ洗っていると、船も魚もタワーもマンションも、みんな取れて行きました。流れていきそうになったので、それらを拾って元の位置へ放り投げました。みんなうまく元の位置へと納まって行きます。

 さいごの方で友達のココが頭から外れました。


「大変だったね」

「うん、もうこりごり。お昼に綿あめを食べるのは、やめることにする」


 そっちか、とココは思いました。

 さいごに頭から外れたトンボが、秋の空を飛んでいきました。


 おわり

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爆盛ヘアスタイル 陽麻 @rupinasu-rarara

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