名脇役は最後に登場して、舞台の印象をより深いものにする。

タイムリープが公共機関で申請できる未来。
跳躍(タイムリープ)は、厳重な管理の元に行われたいた。

そんな局で働く朝比奈の元に、中学時代の知人二人から跳躍(タイムリープ)申請の相談が来る。
婚約した彼らは、幼馴染の「最期の真実」を知りたいというのだ。

二人の想いを理解した朝比奈は、申請を通し彼らを跳躍(タイムリープ)させるが……。

『バイプレーヤ』と名付けられた本作の本当の主役は誰なのだろう。
それは最後まで読まなければわからない。主役は脇役に、本当の主役は過去の真実に……。

印象的な未来の景色と共に語られる、中学時代の彼らと現在の彼らが交差する。
痛みが伴う真実なのに、読後には不思議と嫌な印象は残らない。
むしろ、ドラマティックで、やりきった爽やかさが残る。

これほど難しい設定のSFが、すっと理解できる文章で書かれている作品は少ないのではないかと思います。
ぜひ、平凡な日々が裏返る瞬間を目撃してください。
お勧めです。

その他のおすすめレビュー

麻生燈利さんの他のおすすめレビュー180