カフェ難民
白川津 中々
◾️
都会ではカフェに入る人達が増えている。
だけども問題は店のキャパ。席がない。
続く円安とインバウンド政策により海外旅行者が激増し巷はカフェ難民で溢れかえっていた。猫も杓子も腰を下ろせる椅子を求めて東奔西走。しかし、座れない。くつろぎのスペースをなくした人々は皆、苦い顔をしながらコンビニや自動販売機の前で息を吐くしかないのであった。
「街は地獄ですよ。コーヒー一杯飲むのにも三時間待ち。サラリーマンは缶コーヒーしか飲めない」
「買い物行って、ちょっと休憩しようと思ってもどこもぎゅうぎゅうで、寂しいですね」
こうした国民の声を受け政府は国営カフェの運営に乗り出す。企画されたのは総席数五千という前代未聞の特大仕様。中堅クラスのアイドルが歌えるレベルのハコのカフェができると国民は狂喜乱舞。「これでコーヒーが飲める!」と街は馬鹿騒ぎとなる。
しかしオープン間近に円安が反転し過去例を見ないアプリシエーション・オブ・ジ・エンとなると外国人観光客は激減したちどころにどこのカフェもスカスカとなった。そんな状態であっても走り出したプロジェクトはもう止まれず、国営カフェがグランドオープン。運営開始から赤字を垂れ流し続け、史上最悪のハコモノ施策として後世に汚名を残すのだった。
カフェ難民 白川津 中々 @taka1212384
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます