Real Fantasy物語 勇者ジェミニの伝説 外伝 ~もう1つの英雄伝説~
Real Fantasy物語
勇者ジェミニの伝説 外伝 ~もう1つの英雄伝説~
世界には、長く世に伝えられた一握りの伝説の傍らで闇に葬り去られ、語り継がれることのなかった数多の物語があります……
「お前があの噂の魔道士サイオウか。俺はバルドティアの騎士、カノ。よろしくな。」
張りのある自信に満ちた声が1人の魔道士に投げかけられました。
「ああ……よろしく。」
(この男がバルドティアの筆頭騎士か……苦手なタイプだな…)
ここはバルドティア王国とセインティティア共和国のちょうど中間にあたる場所。そこに、両国によるキャンプ地が作られています。
そこでは、両国の軍による合同訓練が行われるところでした。
「セインティティアの魔道士は陰気なやつが多そうですね、カノさん。」
「はっはっは、俺たちがちょっと眩しすぎるんだろうな!まあ、すぐに仲良くなるさ。お前も挨拶してこい、ペレシス。」
この豪快に笑う若い剣士は、後の光の剣士ジェミニの師となるバルドティアの騎士カノ。当時のバルドティア王国における最強の剣士です。
「さすが世界屈指の強国バルドティアの騎士隊、すごいオーラだな。彼らと組めば多くの魔物を討伐できそうだな。」
「私はああいう、いかにも勢いある騒がしい感じは苦手だ、ポニー。早く帰りたいよ。」
「何いってるのさ、サイオウ!楽しそうなやつらじゃないか。あたしはああいうやつら嫌いじゃないね。」
「確かに君とは気が合いそうだな、メリーベル。彼らとのやりとりは君に任せたよ。」
そうめんどくさそうに話すのは後の闇の魔道士ジェミニの師となるサイオウ。そのサイオウを中心にセインティティア共和国を代表する魔道士ポニー、メリーベルは三者三様の反応を見せています。
この合同訓練は近年勢いを増す魔王の勢力に対抗するため、両国が話し合いの末初めて実施する取り組みでした。
バルドティア王国はその騎士隊から選りすぐりの精鋭たちが参加し、セインティティア共和国は魔物討伐隊に所属するほとんどの魔道士が参加していました。
その合同訓練では両国の軍のトップ主導の元、互いの戦力共有や有事の際の連携確認、実践訓練などが2週間にわたり行われました。
そして最終日、当日。
両国の騎士と魔道士による模擬試合が行われようとしていました。
「さあ、いよいよ我らがカノさんの出番だ!きっとあっちの魔道士を圧倒してくれるだろう。」
「ああ、なにせわずか15歳で隊長の任についた、バルドティア軍史上最強とも名高い剣士だからな。バルドティアを建国したバルドス様の再来とさえいわれた人だ。」
「せいぜい切り殺されないように頑張れよ、サイオウ。あっはっはっは。」
「まったく、呑気なもんだよ、メリーベル。なんで私がみんなの前で戦わなきゃいけないのか。魔力ならポニーのほうが上だろ。」
バルドティアからはカノが、セインティティアからはサイオウが選ばれ両者が戦うことになりました。二人は5メートルほどの距離をとって向かい合い、互いの武器を構えました。
「では、はじめ!!!」
試合開始の号令とともにカノは勢いよく飛び出します。
「まずはお手並み拝見といきますか、名高い魔道士さん。」
カノの光を帯びた剣撃がサイオウに放たれますが、サイオウはいとも簡単に魔法の力ではじき返していきます。
「さすがだな~。じゃあこれならどうだ。てぇいっ!!」
サイオウの周囲を素早く回り込みながら、雨のように無数の光の剣撃を浴びせていきます。
サイオウは闇魔法で身をくるむとすべての剣撃をはじき返しました。同時に闇の中から強烈な火炎の柱をカノに放ちます。
カノは慌てて火炎の柱を剣で切り裂きました。
「なんだよ、守りながら攻撃もできるなんて反則だろ!」
嬉しそうにカノはつぶやくと剣に魔力を集中させ始めました。
「あの剣士、魔力もそうとうなもんだぞ!」
戦いを見ていた魔道士たちが驚きます。
剣に魔力を溜めるカノに、サイオウは闇の魔法を放ちカノの周囲を黒い霧で覆ってしまいます。
「なんだこりゃ、見えねえ!」
「これでどうかな筆頭騎士さん」
黒い霧の上からサイオウは無数の岩のような氷塊を落としました。
「わ!容赦ないな、サイオウさん!あいつ死んだんじゃないか!?」
「カノさん!!!!」
黒い霧が晴れてあらわになったカノの足元には細かく切り裂かれた氷塊が転がっていました。
「まさか、あの距離からのあの数の氷塊を全部切った??なんてやつだ……」
「ふぅ~、いまのは危なかったぜ……」
「うおーーーーー!!!!!」
「すげぇぇぇ!!!!!」
両国の兵士たちから歓声が上がります。
その後も一進一退の攻防が続いたのち、互いに一歩も譲らないまま模擬試合は終了しました。
「さすが、噂のサイオウだ。俺が戦った中で一番強い魔道士だったよ。」
「そっちこそな、カノ。お前が本気だったら私は死んでいたさ。」
カノとサイオウは互いを称えあい、握手を交わし、にっこりと微笑みました。
最強同士のぶつかり合いに盛り上がった両国の士気は大きく上がり、訓練は終了となりました。最終日の夜、両国は宴を開き互いの友好を深めました。
2週間同じ時間を過ごす中ですっかり仲良くなった両国の宴は、にぎやかな宴会となりました。
酔っ払ってはしゃぐご機嫌なカノが、うんざりした顔をしたサイオウに執拗に絡みます。
「がっはっはっは!!おいサイオウ!俺がいまから鼻水出すから、魔法で凍らせてみてくれ!」
その近くでともに食事をしていたポニーはあきれてその様子を見ながらメリーベルと話をしています。
「なんて知能の低いことをするやつなんだ。あいつは幼児なのか?品性の欠片もないな……。」
「あっはっはっは、あいつは面白いやつだよな。さっきは自分の屁に向かって、サイオウに火の魔法を放たせて『火力アップ!!!!』とか言って遊んでたからな。あっはっはっは!よし!あたしはあいつと飲み比べしてくる!あと、サイオウのこともちょっとからかってくるかな!」
そんな賑やかな時間が深夜まで続きました。
そして夜が明け、国に帰還する当日。
昨晩とはうってかわって緊張感の漂う早朝、広場に集まる両軍に命令がくだりました。
「近くの村が魔物の被害を受けているとの情報が入った!これより両国から選抜隊を組んで魔物討伐と村の救援に向かう!」
選抜隊に選ばれた数十名の騎士と魔道士たちは、すぐに出発をしました。
「このあたりは半魔人の領地だ。おそらくその軍勢による被害だろうな。」
カノはサイオウに話しかけます。
「ああ。お前も知っているか?半魔人の魔物、ヒュメノス。魔王に匹敵するといわれる化け物らしいな。私は一度遠目で見たことがあるが、禍々しいオーラを放つ剣士だった。」
「見たことあるのか!?俺たちで勝てると思うか?」
「いや、それはわからない。魔物の力に、人間の知能、感情をあわせもつというからな。ある意味魔王よりも厄介かもしれない。実際のところ魔物なのか、人間なのかも定かではない。謎の物体だよ、あれは。」
「つまり世界にとっても相当な脅威ってことだな。」
急いで村に向かった選抜隊でしたが、到着したころには村はほとんど壊滅状態でした。
「生き残っている人がいないか探すんだ!!!」
「まだ魔物がいるぞ!!!」
両国の騎士と魔道士たちは残った魔物を次々と倒していきます。
「なんだこの魔物は!!倒せない!!!」
バルドティアの剣士の叫び声が聞こえた方向に向かってカノとサイオウは駆け寄りました。
「こいつは……」
「黒い霧のような魔物……これは一体……」
「カノさん!!この魔物は切り裂いた瞬間にまた現れてしまい、倒せないんです!どう対処していいのやら……!魔道士たちの魔法も同様です!」
「この黒い霧があちこちに現れているんです!」
「わかった。お前たち、下がっていろ。」
カノが激しい光の剣撃で切りつけましたが、霧の魔物はすぐに復活してしまいました。
「なるほど。こいつは確かこうやって……」
カノは意識を集中した後、剣を一振りし、闇が混ざったような光の剣で魔物を切りつけました。すると魔物は再び現れることなく消えていきました。
「よし、やはりな。」
「おおお、すごい!!」
「なんだいまの剣は、見たことない!」
「おいサイオウ!お前、光と闇があわさった魔法が使えるか?」
「なんだそりゃ、そんなの使ったことねぇよ。」
「この魔物はそうしないと倒せない。」
「はじめて聞いたよ。光と闇の魔法を同時に当てるってことか?」
「いや、そういう理屈じゃないんだ。闇に光を、光に闇をまとわせるんだ。こいつは負の凝縮体だ。負とは逆の力である光と闇を合わせた力で攻撃する必要があるんだ。」
「なるほど……こうか?」
サイオウが放つ光を帯びた闇の魔法が魔物をとらえ消し去りました。
「ははっ、さすがだな、天才魔道士。」
「こんな高度な技術、使える奴なんてこの世にほとんどいないだろ。微妙な魔力コントロールもそうだが、高い精神性も必要になる。」
「ああ。俺も噂にしか聞いたことなかったが、本当にいたとは。」
「おい、待て。もし例のヒュメノスが、こういう魔物だったら……」
「未曾有の世界的危機になるだろうな。」
その後カノとサイオウを中心に魔物たちを一掃した一行は、村の片付けと被害者の弔いを丁寧に行いました。
「この村は残念だったな。しかし、俺たち以外の救援があったとしても、結果は変わらなかっただろう……」
「……なあ、サイオウ、」
「ああ。ヒュメノスを倒しにいくんだろ?私も同じことを考えていたよ。」
「ははっ、気が合うな。」
「しかしあの技術が使えるものは、私を含め数名だろうな。」
「うちの国にはいるか分からねぇなあ……使えるようになるには相当時間がかかる。」
「仕方ないな。」
「ああ、俺たちだけで行こう。覚悟を決めろよ。」
「お前なんかと一緒に死ぬなんて私はまっぴらごめんだ。絶対生きて帰るからな。」
互いに少し笑みを浮かべながらそう言い終えると、両国に事情を話し選抜隊は帰還させ、2人だけでヒュメノスの討伐に向かうことにしました。
「さて、行くとしますか、魔道士様。」
「ああ、とっとと終わらせて帰ろうぜ剣士様。」
カノとサイオウは半魔人の魔物を倒すべく、西に向かいました。
「ヒュメノスは確かゴストナ渓谷とザンガイア渓谷の中間地点あたりにいるという情報が入っている。」
「いかにも陰気臭い場所だな。そうとう根暗なやつなんだろうな。」
2人はゴストナ渓谷の奥深くへと歩みを進めていきます。
途中黒い霧の魔物を倒しながら、さらに進んでいきます。
「このあたりがゴストナ渓谷の最深部だろう。ここからさらに北西に向かった先がザンガイア渓谷との中間地点、おそらく奴がいるであろう場所だ。」
サイオウがたいまつで進む方角を照らしました。
「さっきから思ってたんだけどさ、なんでたいまつなんて使うんだ?魔力を温存してるのか?」
「いや、好きなんだよ、こういうのが。魔法は味気ないからな。」
「ふーん……奥が深いような、深くないような言葉だな。」
「ふっ、ゴストナ渓谷ほど深くはないさ。そうだな、アレーシャの森くらいかな。」
「そりゃ大変だ!奥深くに待ってるものは孤独だからな。」
「あいにく孤独は大好きだから大歓迎さ。性に合っている。」
「じゃあ50年後は孤独の魔道士の異名で決まりだな。」
「はは、偉大な孤独の魔女様と並べてもらえて光栄だよ。」
「そしたら俺がキャンディロップのスイーツでも持って行ってやるよ。」
「森が深すぎてたどり着く前に腐っちまうかもな。」
「そりゃ深すぎるな。そんな場所、俺には無理だな。誰とも関われないなんて、寂しすぎるぜ。」
「お前は賑やかだからなあ。明るすぎて気が滅入っちまうよ。」
「はっはっは、お前には俺の眩しさは刺激が強すぎたか。」
「ああ。眩しすぎて今もたいまつはいらないんじゃないかと思うくらいだ。」
「はっはっはっ、間違いないな!」
小気味良く会話を続けながら、2人は北西に向かって進んでいきました。
しばらく歩みを進めたところで、2人は立ち止まります。
「カノ、気づいたか?」
「ああ。負のオーラが一段と強くなった。この先に……いる。」
そこからゆっくりと歩みを進める2人の前に、ついに半魔人の魔物が現れました。
遠くを視界に捉えると同時に、半魔人も2人を認識したのか、こちらに話しかけてきます。
「……ワたシを討チに来たノか、人間ドモ。お前たちハ強いナ。見事ワタしを倒しテ見セよ。」
その出で立ちは、人の形をしており、前身の7割ほどが黒い霧に浸食され魔物化していました。そして大きな剣を携え、禍々しいオーラを放っています。
「早々に気づかれたな。いくぞサイオウ。俺がしかける!」
しかしカノが半魔人に向かって走り出してすぐに、剣撃がこちらに飛んできました。
「うわあっ!…………え。うそ、だろ……」
相手の攻撃を交わしたカノは突然立ち止まり、呆然としています。
「どうしたカノ!?大丈夫か!?」
「こ、れは、……光の魔法剣だ。」
「……なんだって?」
あっけにとられるカノに向かって半魔人からは次々と光を帯びた剣撃が放たれます。
「ボケっとするな、カノ!」
とっさにサイオウが魔法で相手の攻撃をはじきます。
「すまない。しかし、いったいどういうことだ。光の魔法剣を操れるなんて。この技はバルドティアの伝統技術だぜ。それをまさか魔物が使うだなんて。それほどまでに卓越した技術を魔物が持っているとでもいうのか……?」
半魔人は魔法を唱え、無数の光の矢を飛ばしてきます。
2人はその矢を交わすと、サイオウは半魔人に向かって炎の魔法を放ちます。
炎は相手の半身にあたりましたが、魔物の体はすぐに再生してしまいます。
続けてカノが剣で切りつけますが、切った部分も同じくすぐに再生してしまいます。
「やはり、あの体……。普通の攻撃じゃダメージを与えられていない。」
「予想通りだったな。」
「光と闇を合わせて攻撃しねえと!」
「ウウゥ……ソノ…剣……キ、サマ……キサマ……」
半魔人は頭を押さえ苦しんでいます。
「バルド…ティア……バルド…ティアーーー!!!!!!」
突如、半魔人は叫びながらとてつもない光のエネルギーを帯びた剣撃を飛ばしてきました。
カノは同じく光の剣で、サイオウは魔法で相手の攻撃を防ぎますが、弾き飛ばされてしまいました。
「ぐわあっ!!!」
「とてつもないエネルギー量だな!!」
「俺が行く!サイオウ、後方支援を頼む!」
「おい、カノ!」
「確認したいことがあるんだ。」
カノは半魔人との距離を詰め剣を構えます。
「おい光の魔剣士、これがバルドティア現筆頭騎士カノの剣だ!!」
そう叫ぶと、素早い攻撃を繰り出しました。半魔人はその攻撃にすべて反応し防いでいきます。
カノはさらに流れるように剣撃を繰り出し、相手も負けじとそれを防ぎながら攻撃を繰り出してきます。
息をのむほどの激しい攻防がしばらく続きました。
カノと半魔人のあまりの気迫にサイオウは戦いに入れずにいるほどでした。
そしてついに、しばらく続いた互角の戦いの均衡が崩れます。
半魔人の振り下ろされた剣を、カノは右手の剣で受け止めたまま、空いた左手で光の剣を作り出し半魔人の体を貫きました。
半魔人はうめき声をあげ、膝をつきましたが貫かれた体が再生していきます。
「はあ、はあ、はあ、剣技は俺の勝ちだな!バルドティアの剣は進化してるんだよ!!」
「呆れたやつだな、試合のつもりで戦っていたのか。」
「まあな。ちょっと確認したいことがあったんだけど確信したよ。あとで教えてやるさ。」
サイオウの言葉にカノはニヤリとしながら答えます。
「さて、そろそろ魔物化した部分を削っていくか。」
「よし、次は私も攻撃するからな。」
「ああ、頼りにしてるぜ!」
カノとサイオウは光と闇が合わさった攻撃を、半魔人に次々と浴びせていきます。
「よし、効いてる!!!黒い霧が削れている!!!」
次第に半魔人の動きが鈍くなり、その禍々しいオーラも弱くなっていきます。
2人の熾烈な攻撃に、半魔人は初めて背中をついて倒れました。
何やら苦しんでいる様子で何か言葉を発しています。
そして、ついにはっきりとした口調で、半魔人は言葉を口にしました。
「ワタシ……わた、シは……何をしてイるのダ……なぜ生きてイる……」
「おい、おっさん、あんた自分の名前は思い出せるか?」
「……ワタシ……ハ、わたしは……バル……ドス、だ……」
「バルドス?バルドスって、まさか……」
サイオウが驚いたような声でつぶやくと、カノが言葉を続けます。
「そう。バルドティアを建国した、伝説の光の剣士だ。」
「なんだと??」
「妙だと思ったんだが、さっき戦ってはっきりした。その戦い方、構え、剣筋、どれもバルドティアの剣士と同じだったし、相当熟練されていた。これほどの強者であれば名前だって国の歴史に残っているはずだって。そして、建国者のバルドスが行方不明になっていることも思い出してな。だからもしかしてって思ったんだ。」
なんと、半魔人の正体は、数百年前にバルドティア王国を建国した光の魔法剣の創始者、バルドスだったのです。
「今は……何年だ……?」
「黎明暦2380年だ。」
「2380年……そうか、わたしは、600年以上も、魔物として生きてしまったか……」
「何があったんだい、先輩。」
「おまえは……バルドティアの剣士だな……そうか……バルドティアには、いまはこんなにも強い剣士がいるのだな……いまも、まだ……栄え続けているということか……よかった……」
息も絶え絶えの半魔人はふり絞るように話を続けます。
「わたしは……正義に殺されたのだ……。自分が作り上げた正義の国だったが、その正義が、果たして本当に民のためになっているのか……悩むようになった……。行き過ぎた正義は人を追い詰める……。それは、優しさなど存在しない、正義という名のただの刃だった。それに気づいたころには、正義は世界を、わたし自身をも苦しめるようになっていた。すべてを呪うようになっていた。気がくるってしまったわたしは…………ひっそりと自分の命を絶とうと考え、この地に赴いたのだ……そして自分自身への激しい憎悪に剣を自分に突き立てた瞬間……わたしは魔物になってしまったのだ……いま、すべてを思い出した……」
「そういうことだったのか。」
「その憎悪に溢れた肉体と魔物が融合してしまったというわけだな。たしかに、この地は強い負の感情が集まる場所だ。そんな偶然が起きても不思議ではない。」
そして半魔人は起き上がり剣を握ると、2人に向かってよろめく足取りで剣を振り回してきました。
「ふたりの勇者よ、私を、殺してくれ……もとより、とうの昔に命は尽きていた……ただ魔物化し、生きながらえていたに過ぎない。さあ、わたしのこのみっともない……汚点ともいうべき歴史を……終わらせてくれ……私のあやまちに……罰を、下してくれ……!」
カノとサイオウは戸惑います。
「なにをしているのだ……はやく……私の体はもう魔物と化している……もう戻らないのだ……頼む……はやク……ワたしに、人としての尊厳を与えてくレ……」
半魔人は弱々しい光の魔法を2人に放ち、剣を振り下ろしてきます。
考え込みながら攻撃をはね返していた2人は互いに顔を見合わせ、うなずきました。
そして、同時に剣と魔法を半魔人に放ちました。
その場に再び倒れた半魔人の体はボロボロと崩れていきます。
崩れる体で半魔人は2人に言います。
「オねガいだ……わたしが魔物になっタことは……誰にも伝えナいでくれ……世界に、バルドティアが、魔物が作った国だと奇怪な目で見られてシマう……それデ苦しむのは我が民たちだ………………民に、罪はない……悪は……わたし一人なのだから……」
「……ああ、わかった。バルドティアの筆頭騎士である、このカノが心から誓おう。偉大なる建国者バルドス様の意思は、このカノが守ります。」
半魔人は笑顔を浮かべながら消えていきました。
「…………あり……が…とう……」
静寂がしばらく続いたあと、うつむくサイオウはぼそっとつぶやきました。
「本当に……これでよかったんだろうか」
カノはうつむきながら答えました。
「こうするしか、なかった……」
「最後のあいつは…………まぎれもなく、人間だった。消える瞬間、あいつの目から確かに一筋の涙が流れたんだ。私は……人間を、私の正義のために殺してしまったのか?この魔法は人殺しの道具なのか?」
サイオウのその問いにカノは何も答えられませんでした。
しばらくしたあと、カノとサイオウはゆっくりと帰路についたのでした。
国に戻った2人は、それぞれの国でその偉業を大いに称えられました。
お祝いムードのほとぼりが冷めた頃、サイオウはバルドティア王国のカノのもとを訪れました。
「よう、カノ。相変わらず元気そうだな。」
「ああ、サイオウ。お前も相変わらず冴えない顔してるな。」
戦友との再会にふたりは笑顔で握手を交わしました。
「もう準備はできてるぜ。早速出発するか?」
「そうだな。時間は有限だからな。行くか。」
サイオウは休暇をとってカノを誘い、一緒に世界を回る旅に出ることにしたのでした。
2人は世界中の国や町をまわり、世界ではどんなことが起きているのか、どんな人がいてそこにはどのような暮らしがあるのか、それをじっくりと体感していきました。
ある村での夜。ふたりは焚火を囲んで話し込んでいました。
「お前いつもそうやって火を起こすときは魔法は使わないんだな。というか、日常だと基本的に魔法を使わないよな。」
「ああ。私は魔法が好きではないんだよ。こうやって手間暇かけて火を起こしたり、ものを作ったりするほうが面白いだろ。ほら。見てくれ、この笛。いい音がするんだ。」
そう言うと、サイオウは笛を取り出し吹き始めました。
穏やかな音色が村中に響き渡ります。
それをニコニコと穏やかな顔をしてカノは聴き入っています。
「確かに、お前がそんなに楽しそうな顔をするところはめったに見られないからな。伝わってくるよ。俺まで嬉しくなるぜ。」
笛を吹き終わると、再び静かな時間が流れました。
パチパチと鳴る薪に急き立てられるように、サイオウは真剣な顔をして口を開きました。
「……なあ、カノ。私はあれから、自分の死に方をよく考えるようになった。」
「ん?ああ、ヒュメノスの件か。」
「ああ。……どんな死に方が自分にとって幸せなのか、自分の命はなんのために使うべきなのか。そんなことをよく考えるようになったんだ。私はその答えを探したくて、この旅に出たんだと思う。」
「……」
「カノ。私は、城へもどったら魔物討伐隊を抜けようと思ってる。仕方ないとはいえ、私は人を守るための魔法で人を殺めてしまった。もうあそこにはいられないし、できれば魔法も使いたくないんだ。」
「奇遇だな。俺も戻ったら騎士隊を抜けるつもりだ。人を殺めたこの剣に自信が持てなくなったんだ。何より、祖国の建国者をこの手で葬ったんだぜ?騎士を続けられるわけがない。それに、俺がもっと強ければあの半魔人を救う方法があったんじゃないか、とあの後散々悔やんだよ。ただ俺はお前と違って、剣は辞めない。ずっと剣と一緒に生きてきた。これは俺の人生の相棒みたいなもんだ。剣で人を殺めたことを、剣だけのせいにする気はない。その苦しみは剣と一緒に俺も背負って生きていこうと思ってるよ。」
「はは、お前らしいな。お前はいつも前向きで、明るくて、周りに力を与えられる。私だって例外じゃない。もちろん、うっとうしく思う時もあるが、それでもやっぱりお前に救われることも多かった。お前の剣は人に勇気を与えられる剣だよ。だから辞めないほうがいいと、私も思う。」
「はははっ、俺はただ能天気なだけかもな。しかし、俺にとっての剣と、お前にとっての魔法はずいぶん違うんだな。互いに強者と言われる人間だが、その根っこはこんなにも違うなんて、面白いもんだ。お前はこれからどうやって生きていくんだ?」
「そうだなあ……何をするかなぁ……。森の中でただただ自然と一緒に暮らしていくのも悪くないし、こうやって旅を続けるのも悪くないかもな。」
「そういえば、お前は今はリベルナに住んでるんだったな。どうだ、リベルナは?」
「悪くないよ。ならず者も多いが自由だ。……ただ、エルボス帝国領っていうのがちょっとな。あそこの兵士たちは乱暴で血の気が多いから、厄介事も多い。リベルナの町自体はセインティティアのほうが近いのに、なんでエルボスの領になっちまったんだか……。
…………なあ、カノ。俺が道に迷ったときはまたこうやって一緒に旅をしてくれるか?」
「何言ってんだ、サイオウ。当たり前だろ。俺たちがさらにおっさんになったときは、もっと世界も変わっているだろうさ。そんな世界をまた一緒に旅をしてゆっくり見て回るのも悪くない。その時には俺たちを超えるような剣士や魔道士が生まれてるかもしれないぞ。なんなら、それを俺たちの手で育ててるかもしれない。」
「ははは、それはいいな。うん……あぁ、楽しみだな。そのときはそいつに平和のための魔法をたくさん教えてやろう。それと魔法に頼らない生活の楽しさも。ああ……約束だぞ、カノ。」
「ああ。」
カノはにこりと笑い、何度も大きくうなずきました。
「そうだ。1つだけ好きな魔法があった。」
「なんだ?」
「風の魔法さ。風はいつだって自由で、世界中を駆け巡れる。俺の命が終わる時は魔力で風になって世界中を旅してまわるのもいいかもしれないなあ。」
「勘弁してくれ、サイオウ!俺は風になったお前と旅するってことか?傍から見たら俺は、風とお話しながら旅してる愉快なやつになっちまうじゃないか。」
「なんだ、お前にピッタリじゃないか。はっはっは。」
2人は大笑いし、その後もふざけあいながら夜遅くまで話し込みました。
結局カノとサイオウは1年にわたって旅を続けた後、それぞれの国に戻り、軍を抜け各々の生活を始めました。
それから9年の月日が流れたある日。
リベルナで暮らすサイオウへ、エルボス帝国から命令が下りました。
【この度、エルボス帝国軍は魔法兵隊を結成することになった。元セインティティアの魔道士サイオウはその結成のための任に就くことを命じる】
エルボス帝国の国王に呼び出されたサイオウは、国王から直々に依頼を受けます。
「偉大なる魔道士サイオウよ。我が軍は剣による武力を強みとしておるが、そこに魔法部隊を結成することにより強国としてさらにその力を強めたいと考えておる。強さこそが今の帝国の繁栄の象徴でもあるのだ。魔道士サイオウよ、そなたに魔法兵隊を任せたい。力を貸してくれるな?」
「はい、国王陛下。身に余るお言葉でございます。しかし残念ながら今の私にはかつてのような魔法力はもうございません。第一線で戦う力も持ち合わせておりません。陛下が求めるような強い部隊を作るには、今の私は役不足かと存じます。」
「なんとそうであったか。だが構わぬ。そなたのような英雄が魔法兵隊にいるだけでもよいのだ。それだけでも他国への牽制になる。そして我が軍の士気も上がり、その噂を聞きつけ優秀な魔道士も集まってくるじゃろう。そなたは時折指導をしてやるだけでよい。」
「……はい、かしこまりました……」
サイオウはうつむきながら力ない声で答えました。
こうして、サイオウはエルボス帝国で新しく結成される魔法兵隊に力を貸すことになり、リベルナからエルボスへ移り住みました。
そしてわずか1年も経たないうちにエルボス帝国の魔法兵隊の力が世界に知れ渡るようになりました。
「最近国王はずいぶん魔法兵隊に熱心だな。」
「ああ、なにせあの英雄サイオウが魔法兵隊の結成に加わっているらしいからな。」
「なんだって!?あの半魔人を討ったという大魔道士は今エルボスにいるのか!?」
「エルボスは魔法帝国になっちまうのかなあ?」
「そうなったら俺たちの立場も危ういかもな。」
「くそぅ、魔道士たちめ……」
魔法兵隊の力や名声が上がるたびに、エルボス軍の兵士たちからは不安や不満、自分たちの立場を危惧する声が上がり始めました。
そんな兵士たちの会話を聞いていた不気味な魔女は兵士たちに言いました。
「ヒッヒッヒッ、お前たち、あの魔道士が邪魔なんだろ?あいつを悪者に仕立て上げればいいじゃないか。半魔人の魔物をあやつっていたのはサイオウだってね。そうすりゃあいつはこの国にいられなくなる。」
(魔法隊なんて作られちゃ困るんだよ。はやめに戦力を削っちまわないとね。)
不気味な魔女は多くの兵士たちに噂を流すようにけしかけます。
魔法兵隊が強くなるにつれ兵士たちの不満は次第に膨れ上がっていき、エルボス帝国内では兵士と魔道士の小競り合いがたびたび起こるようになりました。
そんなある時、ある事件が起きました。
数名の兵士と魔道士の喧嘩が起きる中、魔道士が放った魔法で兵士が命を落としてしまったのです。
これをきっかけに兵士たちの不満は爆発し、今にも魔法兵隊を優遇する国に対して兵士による大規模な反乱が起きようとしていました。
「サイオウ様……私は、私は……なんてことを……。人を守る力で人を殺めてしまいました……。そして、今にも、兵士たちの反乱が起きようとしています。私は…………極刑ですね……うぅ……」
「……いや、君はやっていない。大丈夫だ。あれは、私がやったことだ。」
「え……?」
「いいかい、君はやっていないんだ。あの時、私の魔法が先にあの兵士に当たっていたんだ。だから殺めてしまったのは私だ。心配はいらない、君は無実だ。」
「し、しかし……」
「君は引き続き民の命を守るためにその力を使うんだ。いいな。もうこのことは忘れろ。」
「……は、はい……」
サイオウは強引にその魔道士を説得すると、自ら罪を被り名乗り出ました。
『伝説の魔道士サイオウが自国の兵士を殺めた』
それは一夜にして国中に広がりました。それをきっかけに、様々な噂が噂を呼び、半間人を操っていたのは実はサイオウだった、とまで疑われるようになりました。
そのサイオウへの疑念が魔法兵隊への信頼を失落させ、皮肉なことに、兵士たちの反乱は収まることとなりました。
サイオウは兵士を殺した罪、そして半魔人を操り多くの人々や町や村を滅ぼしたという大罪の疑いで投獄されてしまいました。正式な判決までの間、多くの人々が牢屋を訪れました。
そんな中、サイオウが拾って育てていた子供がサイオウの元に訪ねてきました。
子供は泣きながら牢屋越しにサイオウに必死に話しかけます。
「サイオウ!!!!なんでだよ!!!あんたが殺したなんて嘘だよな!?あんたはそんなことする奴じゃない!!あんたがいなくなったら俺はどうやって生きていけってんだ!?なあ!!……ううっ……!」
「ジェミニ……ああ、大丈夫だ。私を信じてくれていい。お前の言う通りだ。お前に恥じるようなことはしていないさ。だが、世の中にはどうしようもないことがあるし、事実が正しいとは限らない。何が正しいかなんて、その人の立場や置かれた状況によっても変わるものだ。絶対的な正義なんて存在しないんだ。こうやって私が捕まったのは、私自身の正義を追い求めた結果だ。なんの後悔もないさ。お前はお前にとっての正義を求めていけばいい。それがお前にとって唯一の真実だ。」
「どういうことだよ!!言ってることの意味がわからねえよ!!ううっ……」
「お前らしく、堂々と胸を張ってお前自身の人生を生きろってことだ。」
「うぅ……分からねぇよ、分かりたくねぇよ……ううっ……」
泣きじゃくるジェミニの頭をゆっくりと撫でたサイオウは、自分が首からかけていた笛をジェミニの首にかけました。
「お前は優しくて人の痛みの分かるいい子だ。そして優秀な魔道士だ。素晴らしい大人になるさ。だが、まだまだ子供だ。さみしくなったらこの笛を吹くといい。もし私が傍にいられなくても、その笛の音をたよりに風になって駆けつけるさ。」
サイオウは牢屋越しにジェミニを抱きしめました。
それからも様々な人がサイオウの元を訪れ、そして例外なく、カノもサイオウの元に駆けつけました。
「サイオウ!!!!!!なんてことだ!!!!」
「…………カノか!!久しぶりだっていうのに、みっともない姿を見られちまったな。」
慌てた様子でカノが牢屋に駆け寄ります。
「お前!!なんで牢屋になんか入れられてるんだ!!お前は例の事件とは無関係なんだろ!全部聞いたよ!!」
「なんでお前が知ってるんだよ!!」
サイオウは驚いた顔をしています。
「俺がエルボスに着いたときに、国中の魔道士に話を聞きまくったんだ!!そしたら、とある魔道士からお前が自分の身代わりになって捕まったって聞いたんだよ!!!今すぐ出ろ!!俺が国王に言ってきてやる!!!!」
「待て、カノ!!違うんだ!!」
「何が違うんだよ!!!!」
「……当時、兵士たちによる国に対しての大規模な反乱が起きようとしていたんだ。その中で起きた兵士殺しの事件は、反乱の暴動が実際に起きるきっかけとしては十分すぎる理由だった。今もし私がこの罪を否定すれば、他の魔道士の誰かが疑いをかけられるだろう。そして再び、反乱が起きてしまう可能性がある。今だって、完全に反乱因子が消えたわけじゃない。この混沌とした事態を治めないと、この国は崩壊してしまうかもしれない。」
「だからって、お前が罪を被る必要も理由もねえよ!!!!!」
「いや、理由は十分にあるさ。もし反乱が起き暴動が起きれば苦しむのは民だ。政治が乱れ、法が意味をなさず、悪行が横行し、弱い立場の者が武力によって虐げられる、そんな事態に陥ってしまう。
だったらこのまま罪を被っておいたほうが平和じゃないか。おそらく私は極刑だろう。それですべてが解決だ。お前も決して誰にも言うんじゃないぞ、カノ。」
「国のために真実を明かさず自分1人が罪を被るだと……?それじゃああの半魔人と同じじゃないか!!」
「……そうかもしれないな。だが、彼の気持ちが少しわかる気がするんだ。そして私も同じように人生に幕を閉じるのが相応しいんじゃないかと、今は考えているよ。」
「ばかな!!!!!そんなこと俺が許さない!!!お前は無実だろ!!!!」
「いいんだ!いいんだ……カノ。……これが私の幕引きだ。引き際は私自身が決めたいんだ。お前と一緒に旅ができて楽しかったよ。ありがとな。それと、また一緒に旅に出る約束を果たせなくてすまない。」
「…………」
「大丈夫だ、お前に面倒ごとは残さねぇよ。魔物にもならないから、心配するな。」
へらりと不器用な笑顔で言うサイオウ。
こらえようとしてもこらえきれず溢れ出る涙を流しながら、何も言えずにただ無理矢理笑顔を作ろうとするカノ。
「……なんだよ、なんて顔してやがるんだよ、カノ……。今度は鼻水じゃなくて……お前の……涙を……魔法で、凍らせれば、いいのか?」
はらはらと零れる涙で詰まる声をふり絞りながら穏やかな笑顔で言うサイオウ。
それからしばらく静かで薄暗く湿った場所に、鼻をすする音だけが響き続けました。
「さあ、もう行け。お前の大切な時間は未来ある命のために使えよ、相棒。」
「あ、あ”あ”ぁ……」
声にならない声を放ち大きく何度もうなずいたカノは牢屋を後にしました。
それからテラスの村に戻ったカノにサイオウの訃報が届いたのは、その1年後でした。
「師匠!!どうしたのですか?今日は元気がありませんね。」
ある村では落ち込む光の剣士に、明るく元気な若い剣士が心配そうに声をかけていました。
「くっ……いつか、いつか必ず滅ぼしてやるからな……!」
ある場所では湿った風が吹き抜ける中、若い魔道士が涙を流しながら武力の国を後にしていました。
「あの馬鹿……カッコつけやがって」
ある魔法の国では強い力を持った魔道士が涙を浮かべ空を見上げていました。
「……っ!」
ある町ではいつも明るく豪快な魔道士がただただ泣きじゃくっていました。
そして時は流れ、その11年後。
魔王に挑もうとする2人の若者がいました。
彼らの名前はジェミニ。同じ名前を持つ剣士と魔道士でした。
1人はその身に光の力をまとい、明るさと前向きさと勇敢な心を携えていました。
1人はその身に闇の力をまとい、優しさと繊細さと勇敢な心を携えていました。
「さあ、この先にはいよいよ魔王がいるはずだよ。共に必ず生きて帰ろう!」
「ああ、そうだな。頼りにしてるぜ、相棒!」
――――――――――
語られない物語。しかし確かに存在した物語。
その記憶や記録、人の意思は、思いは、たとえ目に見えずとも形をかえ次の時代へと受け継がれていくのです。
Real Fantasy物語 勇者ジェミニの伝説 外伝 ~もう1つの英雄伝説~ 完
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