美しくも残酷な愛と現の物語


 楽器職人ビメイの元に美しい女性が尋ねてくる。竪琴を直して欲しいというのだ。ビメイは断るのだが、彼女は翌日も現れた……。
 そんな場面から始まる物語。
 年老いたビメイは、妻に酷いことをした過去を後悔し、同時に自分の人生を振り返る。
 残念ながら本作は甘ったるい恋愛物語ではない。厳しい現実にのたうつ後悔と懺悔ま物語である。だがそれは、いつかあなたにも重くのしかかる逃げることのかなわぬ苦渋かもしれない。
 だからこそ、夜明けの直前に空が青く光る瞬間の美しい描写が心に刺さる。

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