概要
羅生門でババアの着物を奪ったら、いつのまにかラブコメになっていた件
羅生門で老婆の着物を奪ったあの下人は──
いま、門の下で「布直し屋」をしている。
焼き場に送られるはずだった死装束の予備。
子どもたちの、膝に穴のあいた一枚きりの着物。
主を失った武士の直垂。
もう誰も帰ってこない家から運び出された布団や枕。
「店じゃねぇ。帳面に載り損ねた布の“行き倒れ”を拾ってるだけだ」
ぶっきらぼうな布屋もどきと、じいさんを亡くした少女・菊。
寺の若い僧、芝居一座の看板娘、ツンデレ布屋の娘、
髪をむしられた元・老婆までが出入りして、
羅生門の下はいつの間にか「死に装束あつかい所」になっていく。
今日も一枚、誰かの「最後の服」と「これからの服」のあいだで、
布と人の筋をつける仕事が始まる。
ちょっとせつなくて、ちょっと笑えて、
気づけばゆっくり恋のにおいもまざってくる、
羅生門スローライフ連作。
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