7_ジャンプアウト・スペース!! どこだここ?
『ばしゃっ!!』
?! うぶっ! つめちゃい!! どこのどいつじゃあ~い!! この究極プリティアンのミリアムさまの『ねむりをさまたげるのは!!』
あたしは、あたしのプリテクスヘッドにお水っぽいもんをぶっかけた奴に!!
怒鳴りつけるべく跳ね起きたのでワス!!
「……起きたか……。このボケむすめぇ~~~~!!」
ウワウ!! 何じゃい何じゃい?! おまえは! ニューリア・オクシオ―ヌ?!
サンショウウオみたいな唸り声あげて。何で怒っとるんじゃいお前は!!
あれ? サンショウウオって声帯なかったよね確か? なぞ。
「なにが! ボケ娘じゃぁ~~~~~い!! このとんでもなく価値ある存在! そう、あたしこと! ミリアム・ユヴェンハザのお顔にお水をぶっかけるとは? どういう了見じゃい! ニューリア!!」
「了見もナマゴミもスカンクのおならもあるかぁ~~~~~!! アンタの大ポカのせいで!! ……っはあぁ~~~~~~……!!」
おわっち何を嘆いているかね? マドモアゼル? 泣いたらあかんて、ほれ。エンゴリッシュジョークで「わっつゆ~?」
ん? こっちをじっと見て。息を止めたぞニューリア。爆笑の前兆?
「How warm-headed and stupid are you?」
ぎゃん! なんか! 意味わかんない魔導語を唱えて来たニューリア!! なんじゃ~発効する魔導術は、フリーズクラッシュかなんかかぁ~?!
「ミリアム……。此処がどこかわかりますか?」
「ヨットの甲板の上」
「きさま~~~~~~!!」
「ちゃうの?」
「その外は?」
「うちうくうかん」
「正解。で、座標は?」
「? ヨット動けるようになったん? あのあたしらがハマった小天体が無いけど?」
あたしは、ヨットの甲板に立ちあがって。パノラマみるためにぐるっと回って。舳先を見つめてからそう言ったの。
「……空間の色が。違う。エーテル臭も。ここどこ? ニューリア」
うん。ちがう。ここは違うよ。あたしが覚えてる、気絶する前に居た座標の宇宙空間とは。何もかもが違う。……そうだ、そういえば。
「あれら? ドーガは? たしか、シェバで出撃してなかったっけ?」
「いますよ。戻ってきています。というか、貴方が引っ張り寄せたんでしょうに。あの大ポカの引力フィールドで」
「大ポカって。引力と斥力フィールドくらい。誰だって間違えるじゃん。テキストキャラクターひとつしか違わないよ?」
「テストじゃねえんだぞっ!! 現実現象干渉でどうやったら正反対の事象を起こせるんだよ!! ヘルジーニアス!! ですわよ、貴女は」
「で、なんで完全無罪勝利のミリアムちゃんに水掛けたり罵ったりしてるのよ? ひどくな~い? ニューリア?」
「……はぁ~~~~~~~っ!!」
ういお~?! 青筋びくびく言わせて噴火寸前のアイスボルケーノじゃんこの子?
っていうか、ちょっと不安になってきた。この子がここまでキレてるって。
どういう現状なんかしら?
* * *
なんだこのデカいガキは? 俺をレザーワイヤーでぐるぐる巻きにして。この部屋に投げ込んでから、すっげえつめえて視線で俺を斜に見ながら言いやがる。
「あんた。顔が悪いから。船倉でがまんしてもらうよ」
茶髪を短く切った頭をした、妙に身長が高くて太い、柔らかそうなガキ。
俺より身長が高いのに、コイツをガキだと思ったのには理由がある。
着ている服が。クマさんのアップリケのついた緑色のセーターだったからだ。
そして、そのガキとは別の声が俺に向かって飛んできた。
「やってくれたな? ラージット。海賊!! お前のお陰でおれたちは、訳の分からない宇宙座標にジャンプアウトしちまったぞ? どうしてくれんだ?」
ああ、声を聴けばわかる。目の前のパイプ椅子に座って。俺を睨み付けてるコイツは。あの、白亜のアームドアーマーに乗っていた奴だ。無線で声を聴いたしな。
そうだな。少しの意外と大方の納得。それを、俺はこの椅子の上の帽子をかぶった黒衣のガキに抱いた。くまセーターとは別の奴だ。
つまりだ。この黒衣のガキが、俺の前で名乗りを上げやがった。
『ドーガ・シャルシーダ』ってわけだな。あのシャルシーダ星系の王太子の。
うむ。何かのチャンスがあったらとっ捕まえて。
シャルシーダから莫大な身代金でも、巻き上げたいもんだぜ。
宇宙侠風伝 ~ミリアム・ユヴェンハザの友だち100人できるかな?~ ゆび ななお @yakitoriyaroho
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