絡繰りピエロ

谷樹 理

第1話

 懐古時計型ワーカーの歯車が動き出した。精神のペースメーカーであり、補助する携帯機械である。

 スクリーンに男の姿が映っていた。

 私が眺めるその姿はまるでピエロだ。

 そして鏡を見ているかのようだった。

 同じ表情をしているのだ。

 咥えるタバコの煙もそっくりそのままたゆっている。

 灰色の粒子は空まで上がり、雲を造っていた。

 暗い空に広がって、星を遮っている。

 もはやピエロの思うがままだ。

 私は目黒署の刑事一課所属巡査長として四十を迎える。

 二度ほど警視庁の刑事課から呼ばれていた。

 だが元より出世など考えてはいないので断っている。

 永遠に追っているのだ。

 ピエロの仮面を被った男を。

 十四年前から、犯行が続いていた。

ずっと見られている。

 そう感じていた。

 明らかに初めは窃盗からだ。

 次に四件の強姦。続いて八件の殺人。

 証拠は続々と本庁の捜査一課二係から届いている。

 捜査本部は一人の男を犯人として逮捕していた。

 本人は否認し続けているためか、捜査に協力的だった。

 現に今、個人放送で事件現場を映しているのだ。

 彼には目的が一つあるらしい。

 真犯人も、ある人物を追っている。

 誰か?

 伊久(いひさし)兎束(とつか)は大阪刑務所に死刑囚として入獄している。

「偽装(コピー)犯人(キヤツト)が大量にいる」

 彼は面会室で私に言った。

「捜査本部が何故、犯人を俺にしたか? 全て擦り付けだ。捜査本部そのものが茶番だったんだよ」

 四十二歳の兎束は無表情に続けた。

 私が彼に確定している刑は一件の殺人だと思っていた。

 兎束も否定しなかった。

 二年前、港区で当時二十一歳だった女性をナイフでめった刺しにしたのだ。

 動機に関しては、レイプしようとして失敗し、怒りに任せて殺したという。

「適当な理由さ。それで手を打った。ところが、情状酌量を得られずに、極刑だ」

 当時彼は心身の耗失を訴えていた。

 弁護士にそれ以外手はないと言われていた。

 保険会社の課長をしていた兎束は、その職にいたというだけで保険金連続殺人の可能性があると言われたのだ。

 実際、会社から殺害のたびに保険金が何者かに支払われていた。

「ピエロの新しい犯行映像だ」

 私は携帯端末の動画をガラス越しに見せた。

 兎束は興味深げに覗いてくる。

 被害者の少女は両目を潰されている。

 その後、ナイフでなぶり殺しにしていた。 

「年齢の低下は、ターゲティングしやすいからだ。『慣れ』が出来てきてるな」

 連続殺人者は適応し学んで成長してゆく。

「……これは前回のやつだ。まだ死体は出てきていない」

 私は追補する。

 兎束は頷いた。

 死体が出ないなら、殺人として立証できない。

「……ところで、この映像の真偽は?」

 制作動画の可能性を示唆してくる。

「まだわからない」

 私は正直に答えた。

 兎束は小さく首を振った。

「どこまで本当の殺人か判断できないな」

 彼は断言する。

「私の冤罪と一緒でね」

 付け加えた口調は皮肉に鳴り響いた。

 裏付けが必要だ。

「場所はどこだと思う?」

「ピエロの活動範囲は目黒区内におさまっている。また同じところだろう」

 同意見だった。

 保険会社の課長であったという肩書は伊達ではないらしい。

「動画の閲覧数が三百万を超えた」

 着々と数は増えてゆく。

 兎束との面会が終わり、私は科研に赴いた。

「この映像を解析してもらいたい」

 個人の頼みを、俱爾(ぐじ)という係長は気安く聞いてくれた。

「丁度いい。前回の解析が終わっているよ」

 俱爾はコーヒーを紙コップに入れて手に持って、ついて来いと歩きだした。

 部屋の一つに案内されて、以前渡した端末映像がスクリーンに映し出される。

 その内容も、被害者は若い女性だった。

「まず、背景は造り物だ。完全に自然なものは犯人と被害者のモノだけだな」

 映像が流れてくる。

「加工ツールは?」

「卯慧(うけい)社のメイク・タウンver4」

 面倒臭そうな俱爾だった。

「加工を外すとどうなる?」 

 私は話を促す。

「それが、びっくりするぞ」

 彼はコンソールのボタンを押して、再び映像を映し出した。

 後半、薄暗い路上で女性が倒れると、その身体が粒子状に崩れていった。

 煙のようにピエロの両手から立ち上り、上空に雲を作り出した。

 雲の隙間から巨大な眼球が一つ、彼を見下ろしていた。

 粒子は雲の隙間を埋めていく。

「これが加工前?」

 私は呆れて俱爾を見る。 

 彼もついていけないという醒めた顔で頷いた。

「何重にもなっている可能性しかないが、そこまでは解析できなかった」

「……地に落ちたもんだ」

「まったくの同感だね」

 俱爾は否定することはなかった。

 まるで、架空の世界だ。

 私は我慢できず、禁煙の室内で煙草に火を付けた。




 宵音(よいね)は口の中に鉄の味を感じていた。

 殴り倒され、見上げた相手はつまらなそうに男は見下ろしていた。

「痛い……」

「痛くしたんだよ」

 灯樹(とうき)は冷ややかに吐く。

「……おまえら、相変らずだなぁ」

 戸口に現れたやや小型のクマの姿の舞路(まいろ)が呟いた。

 声は高く、少女のものだとわかる。

「イチャイチャタイムは終わりだ。仕事するぞ」

 舞路が灯樹に言うと、すぐに戸口から路上に消えていった。

「あんた、死ぬよ?」

 宵音は自分に背を向けた燈樹に声を投げる。

「残念だけど、死ねないんだよ俺は」

 言い残して、マンションの前の駐車場に降りた。

 ライトをつけて夜の闇から輝いているホンダの車はの運転席には、クマが乗っていた。

 助手席に灯樹の細身が納められると、車は発進した。

 彼等は「繰人形屋(くにんぎようや)」と呼ばれる映像演算反動勢力の一部だった。

 仕事内容は依頼された映像を作り、クライエントが指示する場所に設置するというものだった。

 車は中野区に入ると、中野サンプラザボールから東の雑多なエリアに侵入していく。

 一棟のマンションの裏手にホンダを停めると、二人は車から降りた。

 トランクに入れて置いた小型で四角い映像演算機を取り、マンションのオートロック玄関の隅に設置した。

 人々が眠りに入った時間帯に映像演算機は動き出す。




 甲高い悲鳴が上がった。

 マンションが恐怖の空気に張り詰める。

 ピエロの仮面をかぶった男が廊下に立っていた。

 私は彼が鉈を右手にぶらりと下げて俯くその姿を見つめていた。

 まるで私に合図を送るように、目を上げる。

 その後ろから、マンションの住人たちがベッドから起きたままの姿で、逃げるように駆け抜けてゆく。

 再び映像が私の元に届けられていた。

 ピエロは鉈を振り上げ、すれ違いざまの男の背に叩きつけた。

 鮮血と唸り声が上がり、男はその場に倒れる。

 とうとうピエロが無差別殺人を起こす瞬間だった。

 ピエロの場面は全て録画している。

 独特の廊下と奥にハマった窓とそこからの風景に注目しながら。

 これだけの騒ぎなのだ。

 今回は捜査本部がもう一度立てられるだろう。

 恐らく、朝になるまでには機動捜査隊が動いているはずだ。

 スクリーンに延々と虐殺の場面が流されていた。

 耐えがたいものだった。

 こうして映像にはピエロが自由に動いているのだ。

 私は観ていることしかできない。

 いや、方法はある。

 ピエロの特徴は掴んでいた。

 三時間後、事件現場が発見され、捜査本部が立ち上げられた。

 その前に、兎束に会っておきたかった。

 私はホンダで大阪刑務所に赴き、面会を申し込んだ。

 次回、ピエロが事件を起こすとしたら一体どうなるか。

 海中時計型ワーカーが私の思考の調整を見て、歯車を合わせる。

 兎束に聞いてみた。

「ここまでなると、早期に似た事件が起こる」

 彼は録画された映像をみて、断言し、続けた。

「捜査本部の長は池端(いけばた)か?」

「ああ、そうだ」

「なら解決しないだろう。ついでに思うのだけど、このピエロはピエロと呼ばれることを嫌っている」

「わざわざこんな恰好してるのに?」

 兎束は何も答えなかった。




 池端はピエロの事件を扱うのは二度目だった。

 前回は犯人を伊久兎束とした。

 自ら下した判断にノーを突きつける気はさらさら無かった。

 方針は兎束の過去に探りを入れて証拠を強化するというものだった。

 捜査陣が動き回っていたところ、メディアが一斉に犯人の声明文を発表した。

『池端警視、今回もご苦労様だ。あんたはどんなピエロが好きだ? 次回に好みのピエロ姿を見せてやろう』

 池端は内心ムッとしていた。

 名指しでの声明文とは、警察官僚として嬉しい話ではない。

 場合によっては捜査を公安に渡す必要を上が考え出しかねない。

 そのため、捜査方針の変更を強いられた。

「ピエロは複数人いる可能性あり。犯行現場は目黒区に限られている。皆、注意して情報を集めてくれ」

 席上、池端は冷静そのものの態度で指示を下した。




 反響が来た。

 灯樹は朝のニュースを受け取ってリビングでニヤニヤとしていた。

 それを不服そうに宵音は見つめていた。

 インターフォンがなり、クマの姿が玄関から入って来た。

 宵音はあからさまな嫌悪感を見せて、自室に引っ込んだ。

 映像演算機の一つを脇に抱えた舞路は、まるで勝手知った家のように、テーブルに着いた。

「メディアにばらまいたのはおまえか?」

 舞路は灯樹に尋ねる。

 キッチンでコーヒーをドロップしていた灯樹は笑って返した。

「丁度いい時期だったんだよ」

 灯樹は一時、株取引に興味を抱いて古き仕手戦の知識があった。

 メディアを使ったのはその応用だ。

「売り抜けられるんだろうね?」

「今はまだ買い時だよ。ピエロに人気者になって貰わないと困る」

 一方で端末でのソーシャル・ネットワークでは、コピーを大量に使い、ピエロで溢れさせていた。

「……クマでよかったわ。繰人形屋が繰人形になりかねない」

「是非ともなってほしいものだね」

「あたしはクマのままのほうがいい」

「喰われたままの?」

「乗っ取った姿だよ、コレ」

 舞路が主張して、運ばれたコーヒーを前に続ける。

 宵音は乗っ取られたママが良いと断言しつつ、続けた。

「伊久兎束は自殺しなけりゃなんない」

「難題だな」

 灯樹は席についてコーヒーを一口飲んだ。

「一人、伊久兎束に張り付くように月一で必ず面会に行っている巡査長がいる」

「侵入するのか?」

「うち等の仕事だ」

 



 四階の自宅のベランダ。

 私は手すりにもたれて、フィルターからタバコを吸っていた。

 酒の入ったジョッキを片手に早朝の虚空を眺めていると、その手の力が抜けたのか、少しの間をあけて、歩道で破裂して粉々になった。

 やれやれ。

 捜査本部から呼ばれたのが億劫だ。

 メイク・タウンver4の話で卯慧社を尋ねねばならない。

 本社は秋葉原だ。    

 気分を変えるためにシャワーを浴び、外出用のスーツに着替えた。

 ホンダを飛ばし、和泉橋を渡ると秋葉原に到着する。

 早速、車が二台、明らかにホンダを追けてきていた。

 ブレーキを踏んで徐行し、路肩に停めてシートにのんびりと背をもたれさせる。

 二台はホンダの前後を挟むように場所を占めた。

 男たちが降りてきて。運転席の窓をノックする。

「おにぃさん、ちょっと出てきてもらえますかー?」

 覗いてきたのは、いかにも柄が割る中肉長身の男だった。二十五歳ぐらいだろうか。

 後ろの車には一人、年配の目つきの鋭い男が後部座席に座っていた。

 私は車から降りて、青年を無視し後ろの車に近寄った。

「おい、話してるのは俺だぞ!?」

 青年が肩に手をかけてくる。

 反射的に後ろに一歩下がり、体重をかけた肘を溝内に撃ち込んだ。

 彼は言葉にならないうめき声をあげてうずくまった。

 後部座席の身綺麗で人の好さそうな雰囲気に目だけが鋭い男に、先ほど青年がしたように窓をノックする。

 雰囲気から相手が何者なのか察していた。

「自ら出てくるとか、下手打ってるんじゃないか?」

 窓越しの相手は、ロックを外して席を横に移動した。

 私はすぐにドアを開けて開けられた座席に座った。

 車の中は彼以外いない。

「……捜査本部の池端警視だが、我々は遺憾に思っている」

 公安だ。

 目だけよこし、淡々と続けた。

「君は伊久兎束が連続犯人ではないと思うか?」

「そう考えてはいますね」

 否定はしなかった。

 相手は一呼吸いれてから口を開く。

「……捜査本部に行ってもらいたい。それが一番手っ取りばやいと思わないか?」

 懐古時計の歯車がずれた音を出した。

「……あなた方が自ら動けば池端のやつは簡単に落ちるでしょうに」

 皮肉が言葉にでる。

「それができるなら簡単なんだがね」

 嘆息してあっさりと認めた。

 その代わり、そういう線で話を続ける。

「前回失敗した捜査をまた捜査本部の長になるというのはそれだだけでかなりの異常性だと思わないか?」 

「……わかりました。Sになりましょうか。今回だけ」

 Sという言葉をわざわざ使い再び皮肉るが、相手には通じなかったようだった。

 個人的に池端警視に恨みはないが、それによって真犯人の情報が拾えるかもしれない。

 彼はプラスチックのチップ入りカードを渡してきた。名刺だ。解析すると、政府管轄会社である八須澄(やすみ)社の営業課由井賀戴(ゆいかたい)と書かれていた。

 私は黙って挨拶もせず自分のホンダに戻ると、前の車が移動していたので、再び車道に戻った。

 タイヤに違和感があった。

 


 

 卯慧社に着くと、バッチを見せてすぐ開発担当を呼んでくれた。

「メイク・タウンver4は元々、使用者のフィールドバック機能に特化したシステムになってるんです」

「試験用に幾つか頂けませんか? お金は払います」

 担当社は喜んでチップを渡してくれた。

 私は帰りの足で科研にいき、俱爾にチップを渡した。

 そして大阪刑務所に向かった。

 いつものように面会した兎束はこちらを興味深げに眺めていた。

「どうかしたか?」

 兎束は息を吐きながら首を横に振った。

「何でもない」

 言ってからゆっくりと続ける。

「……ところで巡査長、人として殺人が一番怖いと思うか?」

 唐突な質問に私はその意図を勘ぐった。

「重罪であることには変わらないだろう?」

 意味ありげな笑みを返してきた。

「まぁ、いいさ。それなら」

 気になる話だ。

 だが、今回は面会を兎束の方で打ち切った。

 どういうことだろうかと考えていた。

 兎束から断ってくるのは初めてだ。

 わたしは車の中で考えていたが答えはでない。

 目黒に帰るとラーメンを食べてそのまま捜査本部に入る。

 机がずらりと並べられ、巨大なスクリーンの前に幹部を両隣に配置して、若い男が一人一人の報告を聞いていた。

 池端譚都(いけばたたんと)警視である。

 警視庁の管理官である。

 彼の存在の異常性は、いつまでも目黒の地域に自ら手を下している点にある。

 本来なら派閥でもつくってその一人を派遣すれば済むものなのだというのに。

「本日からウチで働く、央路正人(ひろしまさと)巡査長だ」

 私の名を彼が呼ぶと、室内で一斉によろしくお願いしますと声が上がる。

 同時に手土産を要求する池端の視線を私は察した。

「……犯人は自己の足跡を消すためのインターフェイスに卯慧社のメイク・タウンver4を使用している疑いが濃厚。今科研が分析中です」

 池端は頷いた。

 様々な捜査結果を浮かべた巨大スクリーンに新たな文字が加えられた。

 そこのプロファイル項には劇場型犯罪と書かれていた。

 たしかにそうだろう。それも新手の。

 今回は私の紹介で本部会議は終わった。

   

  


「植えたな。多分一週間と掛からず良い花が咲くよ」

 舞路が車内で言った。

 運転する灯樹はスーツ姿だった。

「窮屈な服だなぁ」

 公安のフリをするのも面倒だと言いたげだ。

「クマはいいぞ?」

「……おまえ、視覚野支配の裏でどんな格好してるの?」

 素朴な疑問を何とはなしに口にする。

 クマの姿は虚構だ。舞路は見る者の視覚を支配して、見た目を変えているのだった。

「変態」

 舞路は一刀の元に斬り捨てた。

「お互い、正体は見せたくないものだよねぇ」

 彼はバックミラーにチラリと目をやった。 

 急遽で乗っ取ったチンピラの乗る車が追いてきていた。

「意外な相手だったかもな」

 同じく舞路が見ていた運転席には、ピエロの仮面を被った人物が乗っていた。

「餌だと思ってるんじゃない?」

「何かおかしいな……」

 灯樹は眉をしかめた。

 短期記憶を作動させないように、彼等相手には繰人形屋として操作していたはずだ。

「ヤバい! 見られてる!」

 舞路は叫んだ。

「誰だ!?」

 後ろの車は灯樹たちの車を抜き、前に走り出した。

 突然のブレーキを避けようと、灯樹はハンドルを切った。

 タイヤが滑り、路肩から歩道に突入する。

 民家の塀にフロントが潰され、乗っていた二人は衝撃で外に放り出された。

 灯樹は気付くと民家の入り口に倒れていた。

 傍に、流行の服を着たティーンエイジャーの少女が頭から血を流して身体を伏せていた。

 灯樹は必死に起き上がると、後ろから首に腕を巻かれた。

 ほっそりとしたモノだった。

 硬いものがこめかみに当てられた。

 懐かしい香りで気付く。

「あれ、宵音?」

 相手は、灯樹の同棲している彼女だった。

 コックを上げる音がした。

「捕まえた……」

「どういう事?」

「もうあたしから逃げられないってこと」

 夜の車のライトに照らされて、宵音の囁くような高揚した声が耳元でした。


 


 懐古時計の歯車が合った。

 ピエロがスクリーンにあふれている。

 空には雲が満ちていた。

 自動車事故が起きている。

 枝から伝った相手を捉えた。

 私は嘆息していた。

 雲の隙間から巨大な眼球が街を見下ろしていた。

 あらゆる目という目。

 池端譚都が造り上げた捜査本部から、ピエロが生まれていた。

 私は彼等を特定した。     

 そして得るのは血だ。

 空から赤い液体が降ってくる。

 私は見る。

 血まみれになりながら。

 血に汚れた世界を私のものとして。

 ピエロたちは踊る。

 私の思うがままに。

 兎束は死刑囚として、最後を終えるだろう。

 事件は全てを見る私のものだ。


 





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絡繰りピエロ 谷樹 理 @ronmei

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