わからない、だから知りたい

ひとり遊びの延長のような軽い好奇心から始まるのに、読み進めるうちに、どこか踏み越えてはいけない場所へ近づいていく感覚が印象に残る掌編でした。
学校という日常の中から、夕暮れの道、神社の境内へと舞台が移っていくにつれて、はっきり説明されない「気配」が少しずつ増えていくのも印象的でした。
狐の窓や鳥居まわりの描写も、断定されないからこそ想像が広がり、読み終えたあとまで頭に残ります。
誰かと近づきたい気持ちや、わからないものを知りたい衝動が、知らず知らずのうちに相手を追い詰めてしまうかもしれない──そんな静かな怖さを感じさせる一編でした。

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