胸の奥に残った「言えなかったありがとう」と、「知らなかった自分」が静かに向き合っていくような、切なくもあたたかい青春の一篇でした。当たり前だった日々がふと遠くなった瞬間や、時間が経っても消えない鼓動のような想いが、まるで自分の記憶のどこかにもあった気がして、読後にそっと余韻が残ります。さよならだけでは終わらない、少し不器用で、でも確かに前を向いていく心の変化に、静かに寄り添いたくなる作品です。