身近な冬の風景や出来事が、軽やかな言葉選びで次々と切り取られていく。写実の中にふと紛れ込む可笑しみや、少しだけ現実を外れる発想が心地よく、読み進めるほど視界がやわらかく広がります。季節の冷たさを映しながらも、どこか人の気配やぬくもりが残り、最後の一篇でふっと視点が跳ねる。その自由さが、この作品全体の余韻として確かに残りました。
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