『俺達のグレートなキャンプ178 暴風雨の中、優雅に読書』
海山純平
第178話 暴風雨の中、優雅に読書
俺達のグレートなキャンプ178 暴風雨の中、優雅に読書
「今回のグレートなキャンプはァ!」
石川が両手を大きく広げ、どんよりと曇った空を仰ぎ見る。その目は異様なまでに輝いている。まるで宝くじに当たった人のような、いや、もっと輝いている。隣で千葉が「おおおお!」と拳を握りしめ、全身で期待を表現している。その様子はまるで子犬が散歩に行くと聞いた時のようだ。一方、富山は既に嫌な予感しかしない表情で眉をひそめ、両手で頭を抱えていた。
「『暴風雨の中、優雅に読書』だァァァ!」
石川の高らかな宣言が、湖畔のキャンプ場に響き渡る。その声量、おそらくキャンプ場全体に届いている。その瞬間、まるでタイミングを計ったかのように──いや、本当に計ったかのように──強い風が吹き抜け、富山のポニーテールが激しく揺れた。髪が顔面を直撃し、富山が「ぶへっ」と変な声を出す。
「は?」富山の声が完全に裏返る。まるで思春期の少年のような声だ。「暴風雨って、今まさに来ようとしてるあの暴風雨?天気予報で『命を守る行動を』って言ってたあの暴風雨?『不要不急の外出は絶対に控えてください』って三回も繰り返してたあの暴風雨?」
「そう!まさにそれ!百点満点の理解力だ富山!」石川がサムズアップ。親指が太陽のように輝いて見える。いや、曇ってるから太陽は見えないが。「考えてもみろよ。普通、暴風雨が来たらテントに避難して縮こまってるだろ?スマホいじって天気アプリ見て『やばいなー』とか言ってるだろ?でも俺達は違う!暴風雨の中でも悠然と、優雅に、文学に浸るんだ!これぞグレート!これぞ究極のキャンプ体験!」
千葉が目を星のように輝かせながら手を叩く。パチパチパチと軽快な音。「すごい!すごすぎます石川さん!確かに誰もやったことないですよ!っていうか、やろうとも思わないですよ!でも石川さんが言うなら絶対面白いに決まってる!グレート!超グレート!」
富山が頭を抱えたまま小さくなる。「いや待って、冷静に考えて。冷静に。深呼吸して。暴風雨の中で読書って、本が濡れるし、風で飛ばされるし、雷に打たれるかもしれないし、そもそも死ぬかもしれないし──」
「だからこそ!」石川が富山の肩をバンバン叩く。力強く。富山の体が前後に揺れる。「だからこそ準備が大事なんだ!見ろ!」
石川が車のトランクを開けると、そこには透明なビニール製のポンチョ、防水加工された本を挟むケース、LEDランタン、謎の大量の洗濯バサミ、そして更に謎の大量のロープとペグが詰まっていた。まるで登山用品店の倉庫のようだ。
「ポンチョを着て、この防水ケースに本を入れて、洗濯バサミでページを固定!そして椅子をペグとロープで地面に固定!更に俺達自身も固定!これで完璧だ!」
「全然完璧じゃない!むしろ固定されたら逃げられないじゃん!」富山が叫ぶ。声が少し震えている。「ねえ、これ本当にやるの?本気で?マジで?」
「いいや!」石川が力強く首を横に振る。首がもげそうな勢いだ。「マジもマジ、本気も本気!大マジで大本気だ!テントの中じゃダメなんだ。暴風雨を全身で感じながら読書する、その背徳感、その達成感、そのスリル!これが重要なんだよ!文学は命がけで読むものなんだ!」
「文学は命がけで読むものじゃない!」富山がツッコむ。「それに背徳感って、そもそも背徳的なことしてるって自覚あるんだ...というか、これもう犯罪の領域じゃない?公共の迷惑みたいな?」
「大丈夫!キャンプ場の規約には『暴風雨の中で読書禁止』とは書いてなかった!」千葉が根拠のない自信で言う。
「そりゃ誰もやらないから書いてないだけだよ!」
すでに風は強まり始めていた。湖面が波立ち、白い泡が立っている。まるで湖が怒っているようだ。遠くで雷鳴が轟く。ゴロゴロゴロ...という不吉な音。キャンプ場の他のキャンパー達が慌ててテントを補強したり、車に避難したりしている様子が見える。子供を抱えて走る母親。タープをたたむカップル。みんな「やばい」という顔をしている。
その時──
ピロンピロン♪ ピロンピロン♪
車のラジオから緊急警報音が流れた。三人が一斉に車に振り向く。
「えー、気象庁から緊急情報です。現在、関東地方に発達した低気圧が接近中で、これから数時間、記録的な暴風雨となる見込みです」
アナウンサーの深刻な声が流れる。石川の顔がますます輝く。千葉が「おお...」と感嘆の声。富山が「やだ...」と絶望の声。
「風速は最大で30メートル、瞬間的には40メートルに達する恐れがあります」
「40メートル!?」富山が叫ぶ。「それトラック吹き飛ぶレベルじゃん!」
「更に、落雷の危険性が非常に高く、1時間に100回以上の落雷が予想されます」
「100回!?」
「強風により、小石や木の枝が飛散する可能性もあります。絶対に屋外での活動は控え、頑丈な建物の中に避難してください。繰り返します──」
石川がラジオを消す。
「...聞いた?今の」富山が震える声で言う。
「ああ」石川が頷く。そして──「最高のコンディションだな!」
「最悪のコンディションだよ!!」富山が絶叫する。
「でも考えてみてくださいよ富山さん」千葉が妙に冷静に言う。「こんな極限状態だからこそ、読書の集中力が試されるんじゃないですか?これはもう、修行ですよ。文学修行」
「修行するなら山にこもって!キャンプ場でやらないで!」
「よーし!じゃあ早速セットアップだ!」石川が張り切って、折りたたみ椅子を三脚並べる。ガタン、ガタン、ガタン。風でガタガタと椅子が揺れる。いや、もう踊っているレベルだ。椅子が自我を持ったかのように動く。
千葉が目をキラキラさせながら防水ケースを受け取る。「石川さん、僕どの本にしようかな!こういう時こそ重厚な文学作品がいいですよね!『戦争と平和』とか!嵐の中で戦争を読む!メタファーですよ、メタファー!」
「おお、いいね千葉!暴風雨の中で読む『戦争と平和』、めっちゃグレートだ!文学と自然の融合!」
「グレートじゃない!」富山が二人の間に割って入る。髪が乱れ、目が血走っている。「ていうか千葉くんまで乗り気にならないで!あなた新人なんだから、もっとまともなキャンプから始めなさいよ!バーベキューとか!カレー作るとか!普通のことから!」
「でも富山さん」千葉が純粋な目で富山を見る。その目はあまりにも純粋で、逆に怖い。「『どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる』って、僕のモットーなんです。それに、こういう突飛なことって後から絶対いい思い出になるじゃないですか!『あの時は死ぬかと思ったねー』って笑える日が来ますよ!」
「来ない!来ないから!本当に死んだら笑えないから!」
富山の表情が微妙に揺らぐ。確かに石川との長年のキャンプで、突飛なことほど後から笑い話になるのは事実だった。真冬の湖で水着キャンプ(第134回)、真夏の山頂で鍋パーティー(第156回)、深夜の森でオペラ鑑賞(第167回)。どれも最中は地獄だったが、今では良い思い出だ。でも、だからといって──
「あーもう!わかった!わかったわよ!」富山が両手を上げて降参のポーズ。その手が震えている。「どうせ止めても無駄なんでしょ。178回も付き合ってきたんだし、今更だし。でも!でも絶対に!絶対に危なくなったら即中止!約束して!指切りして!」
「了解!」石川と千葉が揃って敬礼する。ビシッという効果音が聞こえそうな敬礼だ。
その時、隣のテントサイトから中年の男性キャンパーが近づいてきた。顔には明らかに困惑の色が浮かんでいる。眉間にシワが寄り、口が半開きだ。
「あの、すみません」男性が恐る恐る声をかける。「この天気で外に椅子並べて、何を...?っていうか、今ラジオで『避難しろ』って言ってましたけど...」
石川が満面の笑みで答える。歯が全部見えるくらいの笑顔だ。「暴風雨読書会ですよ!」
「は?」男性が固まる。完全に停止する。まるで時が止まったかのように。
「暴風雨の中で読書するんです!優雅に!グレートに!文学と嵐のマリアージュです!」千葉が補足する。全く補足になっていない。むしろ混乱を増している。
男性の表情が「この人達、正気か?」という色に変わる。いや、「正気じゃない」と確信した顔だ。「え、えーと...危ないんじゃ...?っていうか、確実に危ないですよね?死にますよね?」
「大丈夫です!完全防水装備ですから!」石川がポンチョを掲げる。ポンチョがバサァっと風になびく。
「いや、防水の問題じゃなくて...!」
風が一段と強まり、男性の帽子が飛ばされそうになる。男性は慌てて帽子を押さえながら、「そ、そうですか...お気をつけて...いや、本当に気をつけて...っていうか中止したほうが...」と言い残し、早足で自分のテントに戻っていった。その背中が「関わりたくない」と語っている。
「今の人、絶対『頭おかしい』って思ってるよ...」富山がため息をつく。そのため息が風に流される。
「大丈夫大丈夫!後で『実は楽しそうだった』って言われるパターンだから!いつものことだから!」石川が楽観的に笑う。
ポツ、ポツ、ポツ...と雨が降り始めた。最初は優しい雨。でもこれは嵐の前触れだ。千葉が「おお、来ましたね!開演のベルだ!」と興奮気味に声を上げる。
「よし!装備だ!完全武装!」
三人はポンチョを着込み始める。透明なビニール製のポンチョは、まるで宇宙服のように全身を覆う。石川は青、千葉は黄色、富山は赤のポンチョだ。カラフル。やたらとカラフル。
「何このカラフルな感じ...戦隊ヒーローみたい...っていうか、ヒーローじゃなくて馬鹿みたい...」富山がぼやく。
「グレート・キャンプ・レンジャーだな!」石川が叫ぶ。「俺がブルー、千葉がイエロー、富山がレッド!悪の暴風雨と戦うんだ!」
「悪って、自然現象に善悪ないから!それに戦わないから!読書するんでしょ!?」
雨は次第に激しさを増していく。ポツポツがザーザーになる。風も強まり、木々が大きく揺れ始める。ゴォォォという風の音が耳をつんざく。まるで怪獣の咆哮のようだ。
「さあ!着席!ショータイムだ!」石川が三つの椅子を指差す。
三人が椅子に座ると、風で椅子がガタガタと揺れる。千葉の椅子が傾きかけ、「うわわわわ!」と慌てて体勢を立て直す。腕を風車のように回す。
「まずい、椅子が安定しない!これじゃ読書以前の問題!」富山が叫ぶ。
「大丈夫!想定内!」石川がバックパックから何かを取り出す。なんとペグとロープだ。大量の。「椅子を地面に固定する!そして俺達も固定する!」
「そこまで考えてたの!?っていうか、そこまでして読書したいの!?」富山が驚愕の表情。目が点になっている。
石川と千葉が協力して、ペグで椅子の脚を地面に固定し始める。カンカンカン!とペグを打ち込む音。更にロープで補強する。ギュッギュッと結ぶ。これで椅子は動かなくなった。しかし代わりに、三人は完全に椅子に拘束された状態になった。まるで遊園地のジェットコースターのように。
「ねえ、これ逆に危なくない?避難できないじゃん。っていうか、これ完全に自殺行為じゃん」富山が不安そうに言う。顔が青い。ポンチョの赤と対照的だ。
「すぐ外せるから大丈夫!ほら、ここを引っ張るだけ!」石川がロープの結び目を示す。「クイックリリース式だ!」
「クイックリリースって...本格的すぎて逆に怖いんだけど...」
雨はもう完全な暴風雨になっていた。横殴りの雨が三人を襲う。もはや雨粒ではなく雨の壁だ。ポンチョに雨粒が激しく当たり、バチバチバチバチという音が鳴り響く。まるでマシンガンのようだ。視界が白く歪む。
ゴロゴロゴロゴロォォォ!!
雷鳴が轟く。めちゃくちゃ近い。富山が「ひいっ」と小さく悲鳴を上げる。
「本を出すぞ!」石川が叫ぶ。風の音で普通の声では聞こえないのだ。もはや叫ぶしかない。
三人は防水ケースから本を取り出す。石川は夏目漱石の『坊っちゃん』、千葉は先ほど言っていた通り『戦争と平和』の分厚い文庫本、富山は吉本ばななの『キッチン』を選んでいた。
「さあ!読書開始ィィィ!グレート・リーディング・タイム!」石川の声が暴風雨にかき消されそうになる。
三人は本を開く。洗濯バサミでページを固定する。カチッカチッカチッ。LEDランタンを点け、暗くなった空の下で文字を照らす。ランタンの光が雨に乱反射して幻想的だ。いや、幻想的とか言ってる場合じゃない。
しかし──
「全っ然、集中できない!一文字も頭に入ってこない!」千葉が叫ぶ。
当然である。暴風雨の中、椅子に固定され、ポンチョ越しに本を読む。風の音、雨の音、時折鳴り響く雷鳴。集中できる要素が一つもない。ゼロだ。むしろマイナスだ。
石川も実は同じ状況だったが、意地でも『坊っちゃん』の一行目を凝視している。「おれは子供の時から損ばかりしている...」文字が雨で歪んで見える。いや、防水ケースに入ってるから実際は歪んでないのだが、視界が雨で遮られて歪んで見えるのだ。目がショボショボする。
富山はもはや読む気すらなく、ただ呆然と本を持っている。「なんで私、こんなことしてるんだろう...人生の選択、間違えたかな...」
ピカァァァッ! ガラガラガラガラァァァ!!
落雷だ!めちゃくちゃ近い!一瞬あたりが真昼のように明るくなり、直後に轟音が響く。三人が一斉にビクッと跳ね上がる。
「ちょ、ちょっと!今の近すぎない!?」富山が叫ぶ。
「大丈夫!まだ大丈夫!」石川が強がる。でもその声は少し震えている。
ヒュゥゥゥゥ──バキィッ!
何かが飛んできた!小枝だ!千葉の頭上スレスレを小枝が通過する!
「うわああああ!」千葉が叫ぶ。「今の当たったら死んでた!普通に死んでた!」
「ま、まだいける!まだグレートの範囲内!」石川が必死に言う。
その時──
ゴツン!
石が飛んできて、石川のLEDランタンに直撃した!ランタンが吹き飛ぶ!
「ランタンがァァァ!」石川が叫ぶ。
「ランタンの心配してる場合!?俺達に当たったらどうするの!?」富山が絶叫する。
風はますます強まる。もはや風速計で測れないレベルだ。椅子がガタガタと激しく揺れる。固定してなかったら確実に吹き飛んでいる。
「石川さん!」千葉が叫ぶ。「これ、本読めてます!?っていうか、読書どころじゃないです!サバイバルです!」
「読めてる!完璧に読めてる!」石川が強がる。実際は全く読めていない。というか、本を見ることすらできていない。目を開けているのがやっとだ。
バサァァァァッ!
富山の防水ケースが風で開いた!『キッチン』が宙を舞う!
「きゃあああああ!私の本がああああ!」富山が叫ぶ。本がクルクルと回転しながら飛んでいく。まるでUFOのようだ。
「追いかけろ!」石川が叫ぶ。
「固定されてるから追いかけられない!」富山が叫び返す。
「あ、そうだった!」
『キッチン』は風に乗って、湖の方へ飛んでいく。飛んで、飛んで──
ドボン!
湖に落ちた。沈んだ。
「ああああああああ!」三人の悲鳴が揃う。
富山が諦めたように笑い出す。いや、笑い出すというより、狂い出す。「あはは、あははは!もう笑うしかないわ!何してるんだろ私達!いや、本当に何してるの!?ねえ、これ楽しい?楽しいの?全然楽しくないんだけど!」
その笑い声──というか、半泣きの声──が、なぜか千葉にも伝染する。「あはは、確かに!暴風雨の中で読書って、傍から見たら完全に頭おかしいですよね!っていうか、実際やってる俺達も頭おかしい!」
石川も笑い始める。でもその笑いは少し引きつっている。「あははは!でもこれぞグレート!誰もやったことないこと!史上初の──」
ピカァァァァッ! ドガァァァァン!!
また落雷!今度はさっきより更に近い!雷が木に落ちた!少し離れた木が!煙が上がる!
「ぎゃああああああ!!」
三人が同時に悲鳴を上げる。もはやグレートとか言ってる場合じゃない。命の危険だ。
その時、先ほどの男性キャンパーが再び現れた。完全にレインコートで武装した姿で。そしてその後ろには、若いカップル、家族連れ、おばあちゃんキャンパーまでいる。みんな心配そうな顔だ。
「あなた達!何してるんですか!死にますよ!」男性が必死に叫ぶ。
「大丈夫です!」石川が親指を立てる。でもその親指は震えている。「今ちょうど良い感じです!」
「良い感じって──今木に雷落ちましたよ!?次はあなた達かもしれないんですよ!?」
若い男性が叫ぶ。「ていうか、何で固定されてるんですか!?避難できないじゃないですか!」
「これがグレートなキャンプなんです!」千葉が叫ぶ。でもその声には確信がない。
家族連れの父親が頭を抱える。「グレートって...これグレートじゃなくてクレイジーですよ!」
おばあちゃんキャンパーが杖を突きながら言う。「あんたら、死んだら笑えないよ!」
ガァァンッ!
また何かが飛んできた!今度は結構大きな木の枝だ!石川の椅子の横をかすめる!
「うわああああ!」石川が叫ぶ。
「もうダメだ!中止!中止!」富山が叫ぶ。「石川、もう無理!グレートとか言ってる場合じゃない!私達死ぬ!本当に死ぬ!」
石川の顔が真剣になる。確かに、これは洒落にならない。遊びとサバイバルの境界線を完全に越えている。
「...わかった」石川が頷く。「撤収だ!」
「やっと気づいた!」富山が叫ぶ。
三人は慌ててロープを解こうとする。でも──
「あれ?解けない!」千葉が叫ぶ。
「え?」石川も自分のロープを引っ張る。「あれ?クイックリリースのはずなのに!」
「濡れて固まってる!」富山が絶望的な声で叫ぶ。「ほら!だから言ったじゃん!固定なんかするなって!」
周囲のキャンパー達が駆け寄ってくる。
「手伝います!」男性キャンパーがナイフを取り出す。
「俺も!」若い男性も駆け寄る。
みんなで必死にロープを解く。切る。引っ張る。濡れた手が滑る。風が邪魔する。雨が視界を遮る。
バリバリバリィィィ! ドガシャァァァン!!
また雷!更に近い!今度は湖に落ちた!水しぶきが上がる!
「早く早く早く!」おばあちゃんキャンパーが杖で地面を叩く。
ようやくロープが解けた!三人が立ち上がる!
「避難だ!走れ!」男性キャンパーが叫ぶ。
みんなで走る!ポンチョがバタバタする!風で前に進めない!千葉がつまずく!
「千葉!」石川が千葉を引っ張る。
富山も走る!髪が顔に貼り付いている!
「こっちです!うちのキャンピングカーに!」家族連れの父親が先導する。
全員がキャンピングカーに飛び込む!ドアを閉める!
ドンッ!
外で何かが倒れる音。木だ。さっき雷が落ちた木が倒れた。風で。
「ひいいいい!」富山が悲鳴を上げる。
キャンピングカーの中は静かだ。外の暴風雨が嘘のように。でも外からは相変わらず風の音、雨の音、雷の音が響いている。
全員がぜぇぜぇと息を切らしている。石川、千葉、富山、そして助けてくれた六人のキャンパー達。
「だ、大丈夫ですか...?」母親が心配そうに聞く。
「だ、大丈夫です...すみません...」石川が頭を下げる。ポンチョから水がポタポタ垂れる。
「何が大丈夫なんだか...」富山がぐったりしている。
千葉が震えながら言う。「す、すみません...僕達、とんでもないことしてました...」
おばあちゃんキャンパーが呆れた顔で首を振る。「全く、若いってのは怖いもの知らずだねえ。私ゃ70年キャンプしてるけど、あんな馬鹿なこと初めて見たよ」
「70年!?」石川が驚く。
「そうさ。だからこそ言える。自然を舐めちゃいけないよ」おばあちゃんが杖でコンコンと床を叩く。「グレートとか言ってたけど、グレートってのは生きてこそだよ」
ガガガガァァァン!!
また雷鳴。キャンピングカーが揺れる。みんなが身を縮める。
若い女性が窓の外を見て呟く。「うわ...凄い嵐...」
外では横殴りの雨が叩きつけている。木々が激しく揺れ、小石や枝が飛び交っている。まるで戦場のようだ。
「あのまま外にいたら...」富山が青ざめた顔で言う。
「死んでたね」男性キャンパーがストレートに言う。「確実に」
石川が深く頭を下げる。ポンチョから水がバシャバシャ落ちる。「本当に...申し訳ありません。ご迷惑おかけして...それに助けていただいて...」
「いやいや」父親が手を振る。「無事で何よりですよ。でも、なんであんなことを...?」
石川が顔を上げる。その表情は珍しく真剣だ。「俺達...『グレートなキャンプ』をモットーにしてて...毎回、奇抜なことやってるんです。もう178回目で」
「178回!?」若い男性が驚く。
「そうです」千葉が続ける。「石川さんと富山さんはベテランで、僕は新人ですけど...毎回、誰もやったことないことに挑戦してて...」
「でも今回は...やりすぎました」石川が言う。「調子に乗りすぎた。自然を舐めてた」
富山がため息をつく。「私もね、いつも心配しながらも付き合ってたんだけど...今回ばかりは本当に怖かった。死ぬかと思った」
母親が温かいタオルを三人に渡す。「はい、これで体拭いて。風邪ひいちゃうわよ」
「ありがとうございます...」三人がタオルで顔を拭く。
小学生の息子が目を輝かせて言う。「でもカッコよかった!嵐の中で本読んでて!」
「だめ!」母親が息子の頭をペシッと叩く。「真似しちゃダメよ!」
「痛っ!」
その様子に、キャンピングカーの中に少し笑いが漏れる。緊張が少しほぐれる。
父親がコーヒーメーカーのスイッチを入れる。「まあ、とりあえず温まってください。この嵐、あと2〜3時間は続くらしいですから」
「え、まだ続くんですか...」千葉が絶望的な顔。
ヒュゥゥゥゥ──ガガガッ!
外で何かが飛ぶ音。続いてぶつかる音。
おばあちゃんが窓を覗く。「あらら、テントが飛んでるよ」
「えっ!?」
全員が窓に駆け寄る。確かに、遠くのテントサイトで誰かのテントが空を飛んでいる。まるで凧のように。
「うわぁ...」石川が呆然とする。「俺達、あの中にいたかもしれなかったんだ...」
「いや、テント張ってないでしょあなた達」男性キャンパーがツッコむ。「椅子に座ってたでしょ」
「あ、そうだった」
「そうだったじゃないよ!」富山が石川の頭を叩く。バシッと良い音。
若い女性がクスクス笑う。「でも、なんか面白いですね。あなた達」
「面白い...ですか?」千葉が首を傾げる。
「うん。馬鹿だけど、憎めない感じ」女性が微笑む。「私達もキャンプ始めて3年だけど、いつも同じことばっかりで...正直、マンネリだったんです」
彼氏らしき若い男性が頷く。「確かにね。テント張って、バーベキューして、寝る。それだけだもんな」
「だからって暴風雨で読書はしないけどね!」女性がツッコむ。
父親がコーヒーを配りながら言う。「でも、気持ちはわかるかも。何か新しいことしたいって気持ち」
「パパも?」息子が驚く。
「うん。大人になると、どんどん冒険しなくなるからね」父親が窓の外を見る。「安全に、無難に、リスクを避けて...でも、それって本当に生きてるって言えるのかな、とか思ったり」
母親が肩をすくめる。「まあ、だからって命懸けるのは違うと思うけどね」
「ですよね!」富山が力強く頷く。
おばあちゃんがカップを揺らしながら言う。「でもねえ、若い時の無茶は財産だよ。私も若い頃、無茶したもんさ。台風の中、バイクで走ったり」
「それも十分無茶だよおばあちゃん!」男性キャンパーがツッコむ。
みんなが笑う。温かい笑い。
石川がコーヒーを一口飲んで、ぽつりと言う。「でも...今回は失敗だったな。グレートじゃなかった」
「当たり前だよ」富山が即答。
「うん...読書、全然できなかったし。集中できなかったし。むしろ恐怖しかなかった」石川が苦笑いする。「グレートなキャンプってのは、楽しくないと意味ないのに」
千葉が頷く。「確かに...『どんなキャンプも一緒にやれば楽しくなる』って思ってたけど...今回は楽しさより恐怖が勝っちゃいました」
ピカァァッ! ゴロゴロゴロ...
雷が少し遠くなってきた。雨はまだ激しいが、少しだけ弱まった気がする。
父親がラジオをつける。
「えー、現在の暴風雨の状況ですが、ピークは過ぎたものの、まだ風速25メートル前後の強風が続いています。引き続き警戒が必要です」
「ピーク過ぎたんだ...」千葉がホッとした顔。
「あれでピークだったのか...」富山が顔を覆う。
アナウンサーの声が続く。「なお、各地で被害が報告されており、木の枝が飛んで車に当たった、看板が倒れた、などの情報が入っています。皆さん、絶対に外出は控えてください」
「...聞いてた?さっき」富山が石川を睨む。
「聞いてた...」石川が小さくなる。
「『絶対に外出は控えてください』って」
「...聞いてた」
「なのに外で読書しようとした」
「...ごめん」
母親がクスクス笑う。「なんか、コントみたい」
おばあちゃんも笑う。「本当にねえ。でも、生きててよかったよ。笑い話にできるんだから」
石川が顔を上げる。「笑い話...ですか?」
「そうさ」おばあちゃんが杖を持った手で石川の肩を叩く。「『あの時は死ぬかと思った』って笑える。それが一番のグレートじゃないかい?」
石川の目が輝く。「...そうか。そうですね」
「でも次からは死なない程度にね」おばあちゃんがニヤリと笑う。
「次もやるんだ...」富山が遠い目をする。
ガタガタガタ...
風がキャンピングカーを揺らす。でもさっきよりは弱い。
若い男性が言う。「あの、せっかくだから...話しませんか?今までのグレートなキャンプの話」
「え?」石川が驚く。
「興味あるんです。178回も何やったのかって」若い女性も身を乗り出す。
息子が目をキラキラさせる。「聞きたい聞きたい!」
石川が千葉と富山を見る。富山がため息をつきながらも、小さく笑う。「...まあ、いいけど」
千葉が嬉しそうに言う。「じゃあ、第1回から!えーと、『真夏の雪山でスイカ割り』!」
「雪山でスイカ!?」みんなが驚く。
「そうなんです!」石川が身を乗り出す。「真夏にわざわざ雪の残ってる山に登って、そこでスイカ割りを──」
こうして、キャンピングカーの中で奇妙な交流会が始まった。
石川が熱く語る。千葉が補足する。富山がツッコむ。そしてみんなが笑う。
「第42回『水中キャンプファイヤー』は本当に大変でして」
「水中でどうやって火を!?」
「特殊な装置を──」
「第89回『逆さまテント』は設営に5時間かかりました」
「逆さまって何!?」
「文字通り、テントを逆さまに──」
「第123回『無言キャンプ』は3日間一言も喋らないという──」
「それキャンプじゃなくて修行じゃん!」
笑い声が絶えない。外の暴風雨が、まるで遠い世界の出来事のようだ。
父親が感心したように言う。「凄いな...本当に毎回違うことやってるんだ」
「ええ」富山が肩をすくめる。「毎回振り回されてますけどね、私」
母親が笑う。「でも楽しそう」
「まあ...終わってみれば」富山が認める。「その時は地獄だけど」
おばあちゃんがコーヒーをすすりながら言う。「いいねえ、若いってのは。私にもそんな時代があったよ」
「おばあちゃんは今でも現役キャンパーじゃないですか」男性キャンパーが言う。
「そうさね」おばあちゃんが笑う。「でも、あんた達みたいな無茶はもうできないよ。体がついていかない」
石川が真剣な顔で言う。「おばあちゃん、70年もキャンプされてるんですよね。何がキャンプの魅力だと思いますか?」
おばあちゃんが少し考えて、答える。「そうだねえ...自然と向き合うこと、かな。自然は優しくもあり、厳しくもある。今日みたいにね」
みんなが頷く。
「でも、その厳しさを乗り越えた時、何か大切なものが見えてくる。自分の小ささとか、仲間の大切さとか」
石川が深く頷く。「...そうですね。今日、痛感しました」
千葉も言う。「僕も。一人だったら絶対無理でした。石川さんと富山さんがいて、それに皆さんが助けてくれたから...」
富山が二人を見る。「...まあ、そもそもこんな状況作ったの石川だけどね」
「ごめん...」石川が頭を下げる。
でも富山は笑っている。「でも...まあ、これも思い出だね。多分、一生忘れない」
ザアアア...
雨が少し弱まってきた。風も落ち着いてきた。
ラジオから声が流れる。
「暴風雨警報は継続中ですが、雨雲は東に移動しつつあります。あと1時間ほどで峠を越える見込みです」
「おお、もうすぐ終わりそうだ」若い男性が窓を見る。
外はまだ雨が降っているが、さっきの狂気じみた暴風雨ではない。普通の大雨だ。
父親が言う。「でも、今日はもうキャンプは無理ですね。片付けて帰りましょう」
みんなが頷く。
石川が立ち上がる。「あの...本当にありがとうございました。助けていただいて...それに、こんな居心地の良い時間をいただいて...」
「いいのよ」母親が微笑む。「私達も楽しかったわ。面白い話聞けたし」
息子が残念そうに言う。「もっと聞きたかったな...」
千葉がニヤリと笑う。「じゃあ、次回どこかで会ったら、続き話しますよ」
「本当!?」息子の顔が輝く。
「本当。約束」千葉が小指を立てる。息子も小指を絡める。
若い女性が言う。「私達も...ちょっと冒険してみようかな。今度のキャンプ」
「お、いいですね!」石川が嬉しそうに言う。「でも、命は大事にしてくださいね」
「それ、あなたが言う?」みんなが一斉にツッコむ。
大笑いが起こる。
男性キャンパーがスマホを取り出す。「あ、良かったら連絡先交換しません?またどこかで会えるかもしれないし」
「いいですね!」
みんなで連絡先を交換する。LINEグループを作る。グループ名は「嵐を乗り越えた仲間達」。
おばあちゃんが言う。「私はスマホ持ってないけど、また会えたら声かけておくれ」
「もちろんです!」石川が笑顔で答える。
雨が小降りになってきた。
「そろそろ、片付け始めますか」父親が言う。
全員がキャンピングカーから出る。外はまだ濡れているが、さっきの地獄のような状況ではない。
そこには──惨状が広がっていた。
倒れた木、散乱した枝、飛ばされたテント、転がる椅子。キャンプ場がまるで戦場の跡のようだ。
「うわぁ...」千葉が呆然とする。
石川達が自分達のサイトに戻ると──
椅子は無事だった。固定していたので。でも、本は全部飛ばされていた。『坊っちゃん』も『戦争と平争』も、どこかに消えていた。『キッチン』は湖の底だ。
防水ケースは割れていた。洗濯バサミは散乱していた。ポンチョは木の枝に引っかかっていた。
「...ボロボロだ」富山が言う。
「ああ...」石川も頷く。
千葉がしゃがみ込む。「僕の『戦争と平和』...図書館で借りてきたのに...弁償だ...」
「図書館の本だったの!?」富山が驚く。
「はい...まさか失くすと思わなくて...」千葉が泣きそうな顔。
石川が千葉の肩を叩く。「大丈夫、弁償は俺が出すから」
「石川さん...」
「今回のグレートなキャンプは、俺の責任だ。ちゃんと責任取る」石川が真剣な顔で言う。
富山がため息をつく。「まあ、珍しく殊勝なこと言うじゃない」
三人で散らばった荷物を拾い集める。濡れた椅子、壊れたランタン、引き裂かれたポンチョ。
「これ...使えないな」千葉が破れたポンチョを持ち上げる。
「ああ...」石川も自分のポンチョを見る。穴だらけだ。
富山のポンチョも泥だらけで、もはや赤色なのかわからない。
「今回のキャンプ、大損害だね」富山が苦笑いする。
「ああ...」石川も苦笑い。
でも──
「でも、なんか...」千葉が言う。
「ん?」
「なんか...楽しかったかも」千葉が笑う。「いや、途中は本当に死ぬかと思ったし、今も色々失くして悲しいけど...でも、新しい仲間できたし、色々話せたし...」
石川が笑う。「そうだな」
富山も笑う。「...まあ、確かにね」
三人で笑いながら、片付けを続ける。
他のキャンパー達も片付けを手伝ってくれる。
「これ、そっちの?」
「あ、ありがとうございます」
「このペグ、こっちのサイトまで飛んでたよ」
「マジですか!?」
みんなで協力して片付ける。嵐の後の連帯感。
1時間後、ようやく片付けが終わった。
車に荷物を積み込む。ボロボロの装備。壊れた道具。失われた本。
でも──
「また来ようね、ここ」石川が言う。
「え?」千葉が驚く。
「ここのキャンプ場。今度はちゃんと晴れた日に。普通にキャンプする」
「普通に...?」富山が疑わしげな目。
「ああ、普通に」石川が笑う。「たまには普通もいいかなって」
「本当に?」
「本当」
「...信じないけど、まあいいか」富山が肩をすくめる。
新しい仲間達が手を振る。
「気をつけて帰ってね!」
「また会いましょう!」
「次は普通のキャンプでね!」
「わかってます!」石川が手を振り返す。
車が発進する。
バックミラーには、手を振る人々の姿。ボロボロになったキャンプ場。でも、どこか温かい景色。
「第178回『暴風雨の中、優雅に読書』」富山が言う。「結果:大失敗」
「読書は一行も進まなかった」千葉が続ける。
「装備はボロボロ」石川も言う。
「本は全部失くした」
「雷に遭遇した」
「木が倒れた」
「死にかけた」
三人が同時に言う。
そして──
「でも、最高の思い出になった」
三人が笑う。
車は雨上がりの道を走る。空には少し青空が覗いている。虹がかかっている。
「ねえ」千葉が言う。「次は何やるんですか?第179回」
石川がニヤリと笑う。「それは──」
「やっぱり決めてるんだ!」富山がツッコむ。
「まあね」石川が笑う。「次は『真冬の湖で釣り大会、ただし氷の上でお茶会』」
「寒そう!」千葉が目を輝かせる。
「絶対風邪ひくやつじゃん!」富山が頭を抱える。
「でも、今度は死なない範囲でやるから」石川が笑う。
「それ、本当に守ってよ?」富山が念を押す。
「わかってる」石川が頷く。「今日、学んだから。自然は舐めちゃいけないって」
「本当に?」
「本当」
「...まあ、信じるけど」富山がため息をつく。でも、その顔は笑っている。
車は街へ向かう。
ラジオからは穏やかな音楽が流れている。嵐の後の静けさ。
「今日の教訓」石川が言う。「グレートなキャンプは、生きてこそ」
「おばあちゃんの言葉だね」千葉が笑う。
「ああ。良い言葉だ」
富山が呟く。「でも、生きてるからまた付き合わされるんだよね...」
「もちろん!」石川と千葉が同時に答える。
富山が笑う。「...やれやれ」
でも、その顔は嬉しそうだ。
車は走り続ける。
第178回、終了。
大失敗。ボロボロ。でも、忘れられない思い出。
そして──第179回に続く。
俺達のグレートなキャンプは、これからも続いていく。
失敗しても、ボロボロになっても、時には死にかけても。
それでも続いていく。
なぜなら──
「どんなキャンプも、一緒にやれば楽しくなる!」
千葉の言葉通り。
三人は笑い合う。
雨上がりの空に、大きな虹がかかっていた。
まるで、次の冒険への招待状のように。
(完)
──数日後──
石川の部屋。
「えー、図書館への弁償、3000円...」石川が領収書を見る。
「ポンチョ三つ、6000円...」
「防水ケース、5000円...」
「椅子の修理、4000円...」
「ランタン新品、8000円...」
「合計26000円!?」
石川が頭を抱える。
「グレートなキャンプって...金かかるな...」
でも、笑っている。
次のグレートなキャンプのために、また装備を揃え始める。
懲りない男、石川。
そして、それに付き合う千葉と富山。
俺達のグレートなキャンプ、第179回に向けて──
準備開始!
(本当に完)
『俺達のグレートなキャンプ178 暴風雨の中、優雅に読書』 海山純平 @umiyama117
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