概要
許せない過去を、もう一度歩き出す勇気はあるか。
中学時代、孤独ないじめに苦しんでいた佐伯。その加害者の中心にいた山岸とは、十年経った今でも“恐怖”として心に残っていた。ある日、偶然彼と再会し、山岸は深い後悔を滲ませながら頭を下げる。「ずっと謝りたかった」と震える声で告げる姿は、かつての残酷な少年とは別人のようだった。過去は消えない。許すことも、友情を築くことも簡単ではない。それでも佐伯は、自分の中の“影”と向き合いながら、話すことから始める決意をする。マイナスからの関係が、ゼロへ、そしていつか“友情”へ辿り着けるのか——二人の再生の物語。