多分ほんとうにしあわせになるお姫様

静かで淡々とした語りの中に、どこかひっかかりのある言葉がいくつも残る童話だと感じました。お姫様の「しあわせ」は満たされているはずなのに、どこか空洞のようで、その違和感が物語全体をやさしく緊張させています。
カラスとのやりとりは説明的にならず、読み手に考える余白を残していて印象的でした。読み終えたあとに静かに反芻したくなります。
かわいらしさと少しの苦さが同居していて、童話の形を借りた一編として、余韻の残る作品でした。