理不尽はどんな理由があっても作るべきではない

山田空

第1話

「暴力を振るうべきではない」――そう言う大人たちは多い。

だが、本当にそうなのか?


正当防衛という言葉があるように、

やり返さなければ、やられるだけの現実もある。


理不尽な世界では、

なぜか“やり返した方”が悪にされる。


それでも、黙って殴られるだけの人生なんて、まっぴらだ。

立ち上がること。

言葉でも、態度でも、拳でも――自分を守るために動くこと。


それが、本当の意味での「強さ」じゃないか?


理不尽を作らないために、

まず自分が理不尽に潰されない強さを持つ。


それが、この世界で生き残る唯一の方法だ。


でもその理不尽を肩にかけて本物の悪になってしまったのなら結局は同じ土台でやってるのと同じだ。


その拳で貫くのは理不尽だけだ。


だが、その行動には代償もある。

理不尽に立ち向かうことは、時に自分を“悪”にしてしまうこともある。

法律や世間は、正当防衛であってもその拳を裁くかもしれない。


だからこそ、拳を振るう時には覚悟が必要だ。

それでも貫くなら、守るべきは理不尽だけであり、他者を傷つけてはいけない。


他者を理不尽に傷つけてはそんなものただの悪だ。


だれが正義でだれが悪か


そんなものはきっと現実にある。


でもそれはきっと理不尽こそが悪なんだ。


だがそんなことを物語で伝えたら長くなりすぎる


だからこの物語で伝えることは一つ生きろそれだけだ。


ふらっと彼は道路から飛び出していた。

そのとき彼の視界は宙に浮き、からだは地面から離れていた。

次の瞬間、地面にぶつかり、命を地面から離していた。

空っぽだった少年は、本当の意味で空っぽとなった。


いや、きっとその肉体には残っていたものがあったはずだ。

なぜなら、彼が死ぬ瞬間、笑顔になっていたからだ。

それは人生ではじめての幸福である。


だが、その目からこぼれた一滴の雫は、また理不尽への怒りだった。


正義も悪も、現実にはない。

だが理不尽を浴びせられた者にとっては、理不尽を浴びせてきた者こそ悪である。

それがどんな事情があるにせよ、結局は八つ当たりだ。

ぶつけるのなら、その理不尽を浴びせてきた者にぶつけなければならない。


なのに、怒りを見せることの出来ない優しいやつに八つ当たりをして、自分のことを正当化するやつは、本当の意味での弱者ではないか


俺は「暴力に頼らずに立ち向かう 精神の力。」とか「耐えなければじぶんが悪になるだとか」


その通りだよバカヤロー


でもよ俺は聞きてえのよ。


殴ることが悪なのはわかる。


でも死ぬことが正義なのか?


違うだろ


俺は叫びたい。


殴ったところでなんにもならないと


むなしさが残るだけだ。


だが、そのとき命の危険があってだれかに助けを呼べなくて仕方なく振るうその暴力を俺は批判することが出来ない。


でもな俺は理不尽を浴びせられるやつらが可哀想って言いたいだけじゃない。


理不尽を浴びせるやつらにも言いたい。


だれかに理不尽を浴びせる心があるのならだれかに手を差しのべる心があるべきじゃないか


じぶんが辛かったから浴びせてよいのか?


そんなものだれだって言えると?そう言うのならじぶんでそれを示せるほどの行動になるべきだ。


理不尽な痛みを与える時間があるのなら死を望み続けたものにかける言葉を考えるべきでは


ただただいやなんだよ。


人の死を見続けるのは


あの日死体を見たとき俺はこう思った。


理不尽な現実はくそばかりだと


理不尽なことなんて現実にたくさんある。


そんなものにいちいち突っかかるのかと?


ああそうさ否定する現実を肯定する現実に変えるため何度だって叫ぶ。


ウザいだと言うのならそれでよい。


でも理不尽ってのは人が産むもので


でもその理不尽を産む者はきっと環境が産んだ。


でもその環境もまた人が産んだ。


理不尽でくそったれな現実に生きるよりも死を選ぶ方がよいのではなんて考えてしまうやつがいるのは理解できちまえたよ。


でもそんなもの選ぶよりやり返すでもよいとさえ思ってしまうのは俺のエゴなのか?


俺の醜い心がゆえなのか?


わからないきっと人生ってのは一生かけてもなにもわからない。


だからこそ哲学の象徴なんだろうよ。

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理不尽はどんな理由があっても作るべきではない 山田空 @Yamada357

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