パンナコッタでござる

@159roman

パンナコッタでござる

 女子高生が二人で楽しくおしゃべりしている。

 学校のこと、友達のこと、くだらない話や恋の話に花が咲く。まだ二人とも自分の恋の話はないけれど、それがかえって笑いを誘う。



 A子がふと思い出した話を始める。


「家族でパンナコッタにハマってさ、おかあさんがたくさん作ってくれたんだ。おいしかったんだけど、うちのおかあさんは加減を知らなかった」


 A子は苦笑しながら思い返す。


 大量のパンナコッタ。

 洗面器いっぱいのゼリーやバケツプリンに憧れつつも、現実が見えるミドルティーン。だからそんなわがままは言わない。それなのに、食べきれない、もったいない、異常な量のパンナコッタ。


 日持ちしないからがんばって食べた。家族全員がんばって食べた。おいしいのに苦行になってしまった。おいしいのに。


「わたし、そのときに背負いパンナコッタを食べたわ」


「なにそれ」

 B子が笑う。


「背負い水ってあるじゃない?人は一生に飲む水の量が決まってるって。それのパンナコッタバージョンだよ」

 とA子も笑いながら話す。


 「もうパンナコッタを食べくならないんだよね。テレビとか動画で紹介されたの見るとおいしそうだとは思うんだけど、食べたくならないのよ。きっと、食べたらおいしく感じるかもしれないのにね。

 うちの家族全員背負いパンナコッタ食べたんじゃないかな」



 ニコニコしながらA子のおもしろ昔話を聞いていたB子が


「あたしの未来ヤバイ!」


 と爆笑。



 B子の言葉に驚いて、A子がまじまじとB子の顔を見る。


「おかあさん?」


 A子の問いかけに


「ん」と笑顔のB子


「あんた背負い水の使い方まちがってるよ」


「え?ええー」


「またね」


 光に消えていくB子




 ◇◇◇




 ベッドで目覚めたA子は

「なんか夢見てた気がする」

 と伸びをする。


 部屋の外から

「朝ごはんできてるわよー」

 と声が聞こえた。


「はーい、いまいく!」

 返事をして、寝癖を手で撫でつけながら急いで部屋を出るA子。



 ダイニングには、朝食をテーブルに並べている笑顔のおかあさんがいる。


「おはよう、おかあさん」

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