緋き牙の書〜孤高の章〜

(正典「雫の章」への反論)


 かの書は最後に説く。『翠点を繋げ』と。

 『弱者』は群れることでしか『弱さ』を誤魔化せない。

 繋がれた水脈など、第四の泥が来れば、まとめて腐り落ちる『鎖』にすぎぬ。


 真の『狩人』は群れない。

 真の『強者』は『孤高』である。


 他者に頼るな。翠点を信じるな。

 信じるべきは、自らの『獠牙』と、『血餐の儀』によってその身に蓄えた『力』のみ。


 『淘汰』の泥が来た時、群れた『家畜』は互いに足を引き合い沈んでいく。

 だが『孤高の狩人』は、自らが狩った『力』を翼とし、泥の波を独り踏み越える。

 第五の時代は、『孤高』の強者のみが支配する『狩り場』となるのだ。

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『緋き牙の書』(密猟教団 教典) 火之元 ノヒト @tata369

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