明日もまたきっと会うけど

遠山ラムネ

明日もまたきっと会うけど

さよならと言った。明日もまたきっと会うけど。

クラスが違うから、会いに行かなければ会わないか。でもどうせ、廊下や下駄箱で、すれ違う日々は続くんだろう。


私が始めた恋を私が終わらせて、分かったと短く言った君に、ああなんだ、君には始まってさえいなかったのかと、冴え冴えと思った。

それでも私は好きだったし、付き合えたことが嬉しかったし、それからずっとひとりだった。


川沿いの遊歩道は風が抜ける。

対岸を走る自転車を確かめる。

今日だけは、学校の誰にも会いたくないなと願う。


もう陽が落ちるのに、空がまだ薄青い。夕焼けが赤ければ感傷に浸れるわけでもないけれど。

君はどこか、斜めに遠くを見ていた。


分かっていたよ。

私だけが好きだって。

それでも優しかったから、勘違いしていたかった。


夕焼けは始まらない。

きっとこのまま夜が来る。

明日はなに食わぬ顔で学校に行く。

別れたって誰かにばれるのは、できれば、できるだけ先になればいい。



Fin

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明日もまたきっと会うけど 遠山ラムネ @ramune_toyama

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