AI小説は世界を変える。

夕日ゆうや

AI小説の行き着く先。

「さてとAI小説でも読むか」

 俺はスマホのアプリを開くと、必要事項を記入していく。

「ラブコメ、王道、ハーレム……と」

 記入された通りに小説が表示されていく。

 今回の作品タイトルは「20500922-俺が大好きな彼女らはSF世界でも彼女らであった」らしい。

 続きを見たいときはこのタイトルで検索すればいい。

 俺はメモしつつ、小説を読み始める。


 この時代。

 世界では小説といえば、作者はAIでしかない。

 全てAIの書いた小説だ。

 それも作品数はすでに三兆を超えている。

 人の数だけ作品があり、ストーリーも様々だ。

 小説を書くAIにキーワードをいくつか教えるだけで作品が執筆されていく。

 AIじゃない、天然の小説家など、つい五年前に最後を迎えた。

 もう時代はAI小説だ。

 ただで、それも自分用にアレンジできるAI小説が一世を風靡するのは三十年前から言われていたことだ。

 もう小説を買うことも、その概念すらも怪しい。

 人々がそれぞれ自分のAIで好きな作品を作り、読む。

 誰かとそれを共有することもなく、ただただ消費型娯楽として存在するだけだった。


 これに異を唱えるものも多かったが、さすがに時代の流れには勝てなかったらしい。

 AIは全てにおいて天然の小説家を超えていた。


 ただで楽しめるなら、もうそれは趣味ですらなかった。


 小説は滅んだのだ――。

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