第15話

 動画プラットフォームの会社が出した音楽プレイヤーが売れているらしい。音楽プレイヤーと言いながら動画も観れるのだが、それはまあ良しとする。

 売りは自社のプラットフォームに展開される音楽、動画を携帯できること。それに加えて、サジェストのアルゴリズムを搭載していることのようだ。

 使い方はその他音楽プレイヤーとさほど変わらないが、唯一違うのはサジェストコンテンツをダウンロードできると言うこと。寝る前に線に繋いでおけば、それまでの履歴から傾向を分析し、最大48時間分のコンテンツを自動でダウンロードされ、携帯時にはインターネットに接続しているかの如くコンテンツの選択と再生ができるようだ。

 また、一応のコンテンツ保護としてパソコンや端末との接続は不可となっており、インターネット接続用のポートと、充電ポート(PoE給電可)に音声と映像の出力口が搭載されている。

 プラットフォームを持ち歩く時代へ、と宣伝され、そこのコンテンツを視聴や共有をする若年層に受けているらしい。互いにプレイヤーを交換して楽しむ一風変わったコンテンツシェアリングなる文化もあるそうだ。

 恐らく、10年前には考え付かなかった製品には違いないだろう。プラットフォームの成熟と大容量小型化の技術発展なくして実現できない。

 個人的にはサービスを提供してきた会社が自社ハードウェアを出すと言うところに気概を感じる。出せるタイミングが今しかなかったとも思うが、自社でやるに分野や業種も違うだろうによく決断したものだ。

 ちなみに僕は購入する気はない。音楽プレイヤーは持っているし、動画を持ち歩く必要を感じない。動画ばかり見ている、ノートPCを持っていない人向けの製品に思える。事実、そういった層に受けているし、ターゲットもそう設定されていそうだ。

 ただ、線から離れてもインタラクティブなコンテンツを提供できる、ように見えるのは今後の流行の一つになるだろう。

 線を意識することない世界が一歩、近づいたのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

つながる世界 Welchelant @Welchelant

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ