あるあるぁるぁる~(テーレーレーレー)
沙華やや子
あるあるぁるぁる~(テーレーレーレー)
時は1985年。とある田舎町。
時にはカセットからカセットにダビングし、その音はとても良いものではなく、くぐもったボヤっとした音になる。それでも、大好きなPUNKやロックが聴けることが嬉しくてしょうがない
この『カセットテープ』とは厄介な代物でもあり、『のびる』。そう、ラーメンのように。ラーメンが伸びたってガマンすれば食べられるが、カセットが傷んだ・のびた場合、ボーカルの声は低~くなり、演奏は遅ぉーくなる。『のびる』のは大変困る。
カセットテープが回り始める。
また、1980年代には、『カセットテープのアルバム』も存在する。そう、アナログ盤・CD、のように。
聴けば聴くほどカセットテープはへたってゆく。しまいには下の穴から、ダラ~ンと中のフィルム状のテープが飛び出してしまう事や、キュルチュルチュルルリラキュ~などと泣いて、ラジカセの中でぐちゃぐちゃになる事もある。そんな時はこっちが泣きたいよ。
ダラ~ンとなっただけの時は、カセットテープの穴の部分にボールペンを入れ手動で巻き、元に戻してやる。
お勉強よりもそんな音楽ライフを毎日楽しむ
今日は友達から借りた『着火ーズ』のレコードからカセットに録った楽曲をノリノリで楽しんでいた。
あれ?なんか、音が変。
『カセットテープを舐めんなよ』というタイトル名のアルバム。好きすぎて何回も聴いてるもんなー。ラジカセから
ひっ!
半透明のちっこいお爺さんが、一生懸命テープを中から杖で引っ張り出しているではないか!お爺さんの体は切った爪ぐらいの大きさだ。
最初はこのミステリーに怯えたものの、大大どゎいスキな着火ーズを壊されてなるものかと、あったまにきた
「おい!爺さんっ!!」
「ヒッ。」
お爺さんはギクッとした表情をしている、玉虫色に揺らめく半透明だ。
「あたしの着火ーズになにをする!!」ティッシュを取り出す
「待って!」爺さんが叫ぶ。
「何を待つんだっ、人の物を壊しておいて!引っ張り出しておいて!!」プンスカ✰
「これは、わしの道楽なんじゃ。」
「うぬぬぬぬぬ!」
「おいじじいっ!デストロイが『道楽』ぅ?どの口が言う!!」
わらわらわらわら・・・ すると、「殿!」とカセットテープを早送りした時みたいなたっかい声の兵隊たちがゾロゾロテープの奥から出てきた。そうだ
「あんた達なんなのよ!?いったい。おもしろがって、人のお気に入りをぶっ壊すなんて悪趣味よ!」
「・・・。」
「なんとか言いなさいよ!なによ、妖精?虫?あんたら何者か言いなさい。」
「ぼ、ぼくたちは・・・」兵隊のリーダーらしきがしゃしゃり出た。
「僕たちは、『 No more 巻き巻き隊 』です!」
名前で余計に激怒する
「ぬゎっにが『ノー・モア』よ!巻き巻きして当たり前じゃん!のびたテープは。邪魔する気?」
「はい、殿は磁気テープにしがみ付きぶら下がって戯れるのがお好きなのです。」
「(ワナワナワナワナ)許さないからね!そんな悪戯どもは成敗してくれるわい!」
ぷしゅーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!
ついに、ついに殺虫剤を彼らに浴びせた
が、着火ーズのカセットが!!
「うわぁあああん!」巻き巻きしたけど音が出ない。殺虫剤でおかしなことになったのだ。
翌日、ママからお小遣いの前借りをし、
店員のお兄さんとは仲良しなので、きのうの事を話す
「あぁ~ッ、
もういい、と
そうして40年経った現在。
CD・MD・カセットテープが聴けるコンポで聴くのだ。
絶滅危惧種だったのか、もう半透明の小さなデストロイヤー達に出くわすことはない。
時々あの時の攻防を懐かしむ
あるあるぁるぁる~(テーレーレーレー) 沙華やや子 @shaka_yayako
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