愛の波動

加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】

WAVE of LOVE

「ねぇ、おかしなこと聞いてもいい?」

「いいよ! そういうの大好きだ!」


「私のこと、愛してる?」

「うん、そりゃあもちろん!」


「なら、あなたは私のどんなところを愛してくれているの?」

「どんな、ところ? そうだなぁ、たくさんある。たーくさんあるさ!」


「教えて、全部」

「ぜっ、全部!?」


「……嫌?」

「いいい嫌じゃない! 大歓迎さ!」


「よかった。言ってみて?」

「オーケイ。優しい。芯がある。心が美しい。容姿も美しい。輝く黒髪が綺麗だ。思いやりがある。気配りができる。視野が広い。けれどいざという時、目の前のことへの集中力は抜群。賢い。知識がある。知恵がある。経験がある。創造力がある。常識と倫理観がある。その上で自分なりの哲学がある。ほどよく型破りな瞬間があるよなあ。料理上手。お菓子作りも。歌が上手い。ダンスも上手い。運動神経抜群。絵が上手。おしゃべり上手でもある。落ち着いている。でも楽しむ時は全力。手先が器用。芸術センス抜群。おしゃれ、今日のドレスも似合ってる! 言葉遣いに品がある。ワードセンス抜群。暴言や悪口を決して言わない。弱者に優しい。ライバルや敵対心を向けてくる人にも優しい。動物に優しい。ものにも優しい。そしてこれだけしっかりしていて、かつ、僕には、甘えん坊で、悩みとか弱いところを曝け出してくれるところは一番愛くるしい! これでどうだ!」


「それだけ?」

「えっ!? ああ、もっと言えばいいんだね? まだまだある! えーっと、そうだなぁ……指が細くて綺麗。目がまんまるのクリクリのキラキラで宝石みたい。歯並びが綺麗。おっとルッキズムに傾倒するのはいけないかな? けん玉がめちゃくちゃ上手い。ス々ブラめっちゃ強い。高速ウインクができる。まつ毛に箸一本乗せられる。ゆで卵の殻を剥くのが速い。指相撲が強い。じゃんけんが強い。えーっと、この前苦手だったブロッコリーを克服した! これでどうだ!!!」


「…………ねぇ」

「ど、どうしたの?」


「それって、本当に愛?」

「んっ? ど、どういうことかな?」


「それは、ただ私のいいところ、をあげてくれてるだけよね? もちろん嬉しくはあるけれど」

「う、うん。そうだけど、どれも愛すべきポイント、だと思って列挙したつもりだったんだけど」


「でもどれも、愛そのもの、ではないわよね。ただ、言葉を組み合わせているだけ。もちろん心がこもっているのは知ってるけれど」

「えーっと……言わんとすることは、わかるよ、もちろん。つまりは、僕の君への愛が、足りない? 言葉で表せるようなレベルでなく、もっと、エモな概念という意味での愛というか……」


「そう! それよ! 表せないの! 言葉にできないの!」

「そ、そっか、なるほど、ね。なるほどなるほど!」


「愛は、言葉にできないの。いや、言葉にできない温かいもの、それが愛、の方がいいかしら?」

「おぉ、哲学だね。とんでもない名言、来るか!?」


「言葉にできない。それが、愛の波動。あんなところが素敵、こんなところが好き、そういうところを愛してる、そうやって言うのは、悪いことではないけれど、ただのうわべの説明に過ぎない。説明は、後付けなの。愛が、先にある。愛はいつもそこにあるの! ずっとあるの! この宇宙に無限に広がる愛が! あなた、わかる?」

サー! わかりみが深い!」


「ねぇ……」

「なぁに?」


「こっち、きてよ」

「うん」


 二人は無言で抱きしめ合った。



   ~LOVE~

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愛の波動 加賀倉 創作【FÅ¢(¡<i)TΛ§】 @sousakukagakura

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