ライブ審査前①
僕達のバンド、The Breath Takersの目標である、フェスのオーディションステージ出演。
その第一関門である、音源審査を見事突破した。
嬉しい。
しかし、喜びも束の間、来月にはライブ審査がある。
ライブ審査とはその名の通り、ライブを審査員が直接観て、合否を判断するものだ。
ここで、音源審査を突破した30組が10組まで絞られる。
この選ばれた10バンドが、オーディションステージに出演できるのだ。
今日は音源審査突破の知らせを受けてから、初のスタジオ練習。
4人で集まるのも初めてだ。
なので、当然その話になるものだと思っていた。
しかし、あっちゃんが提示してきた話題は、僕の想像とは違ったものだった。
「ほのちゃんがグループチャットで音源審査突破の報告してくれた時、ビジンも一緒にいたでしょ?」
鋭い…!
なんでバレたんだ!?
「なんで?」
僕は戸惑いを隠せず、聞き返すことしか出来ない。
「だって…ビジンだけほのちゃんのメッセージに反応してなかったんだもん…あんな大事な内容なのに…ということは一緒にいたんじゃないかと思って…!」
名推理だ…!
菜奈さんが追い打ちを掛けるように問い詰めてきた。
「ほのちゃんがメッセージ送ってくれたのって朝だったわよね?朝から一緒にいたの?一晩一緒に過ごしたの?」
僕もほのちゃんも何も言えない。
あっちゃんがさらに続ける。
「ヤったの?」
「ぐっ!」
僕は思わず変な声を出してしまった。
ほのちゃんはうつむいたまま、耳を真っ赤にしている。
その様子をみて、あっちゃんはため息をついた。
「…そっか…ついに…」
菜奈さんが続ける。
「まあ…付き合ってるんだし…」
スタジオ内に重たい空気が流れる。
するとほのちゃんがこちらを見ながら、急にギターを弾き始めた。
僕は突然の爆音にびっくりし、一瞬なにが起きたのか分からなかった。
しかし、すぐに意図を理解し、僕はドラムを叩き始めた。
爆音でうやむやにしよう作戦である。
あっちゃんと菜奈さんは、しばらく驚きで固まっていたが、すぐにセッションに入ってきてくれた。
ひとまず、3時間のスタジオ練習は、ひたすら楽器を演奏することで乗り切ることが出来たのだった。
そして、場面は恐怖の飲み会へと移っていく。
バンド内恋愛はダメだと一般的に言われていますが @nekura_nekura
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