第3話 春の調べ 3
僕がソースパンを小川で洗っている時クリープの視線を感じた。
クリープは木の根に座っていて僕を見ていた。
クリープの視線は恐れているようでもあり、面白がっているようでもあった。
二つの瞳はモップのような髪の毛の下に隠れていてそれは決して人々に注目されないものだった。
僕はクリープに気づいていないふりをしたが、双子が座れるように焚火を焚き、モミの木を切って二人が座れるようにした。
僕はパイプを吸い、煙を夜の空に浮かべて春の調べができないか待っていた。
春の調べは来なかったが、クリープ達の視線を感じた。
彼らは僕のやることをすべて見ているようでいごごちが悪かった。
「おーい、出ていけ!」僕は手を鳴らしながら叫んだ。
するとクリープは木の根に縮こまり、もう一匹は小川の方へ逃げて行った。
「僕たちがあなた様のことを怖がらせていないといいと思ったんですが、僕あなたのことを知っています、スーニー」
もう一人はすぐに水辺からやってきた。
何度かクリープが足場を失って転倒したけれど、僕はあまりいい気がしていなかったので、手を差し伸べようとはしなかった。
最後にみじめそうな声で「あなたに会えて光栄です」とクリープは言った
「やあ」と僕は不愛想にそう言った。
「火をお借りしても?」クリープはそう言い、濡れた顔を幸せそうに輝かせた。
クリープは続けて「考えてみれば、私はあなたの焚火のそばに座ったことになります。私はそれを決して忘れません」と言った。
クリープは近寄り手を僕のナップザックにおいてこういった。
「ハーモニカはここに入っているのですか?」
「ああ」
春の調べは完全に失われた、僕は歯を磨き小川を眺めた。
どんなはなしになるだろう 霧島 碧 @suzy0809
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