3
それで。どうしたかのかって?
ずーっと待っててもその子は部屋に戻ってこない。友達の子達は心配になって、そっと蝋燭の置いてある部屋に行ってみたんだって。そしたら、声が聞こえるの。他に誰もいないはずの部屋で、誰かに話しかけるような女の子の声が。
一人が蝋燭を拾い上げて火をつけると、百本目を消しに行った子が、三面鏡に映る三人の自分の姿に向かって、延々と怪談を話してたんだって。まるで、一人で百物語の続きをしてるみたいにさ。青白い顔で、真っ暗の中、鏡の前に座って。同じ話を……
それで、怖くなった友達の一人が、女の子の肩を掴んだんだって。そしたらなんと、その鏡の中の青白い顔が、ギョロリと動いて、
「はなせ」
って言ったんだって!どう?怖かった?
……あれ。なんかいまひとつ反応が鈍いね。私のとっておきの話、あんまり怖くなかった?なぁんだ。つまんないの。
じゃ、約束通り蝋燭の火つけるね。ほい。
ほら、みんなの顔が見えた。
……ねぇ、
私達って、ずっと友達だよね?……いや別に。ただ、こういう遊びができるのも今のうちだけなのかなって思ってさ。私はやっぱり、みんなと一緒にいたいと思うよ。みんなと、一緒に。
それにほら私達って、なんか似てるしね。うん。姉妹みたいなものよね。
あなた達三人と私、蝋燭一本の灯りだけじゃ、みんな同じ人に見えるくらい、似てる。
……
じゃ、そろそろ終わりにしようか。寂しいけどね。百物語はこれで終わり。大丈夫。私達は友達だから、またいつでもこうやって集まれるよ。そしたらまた怖がらせてあげる。
でもやっぱり最後に失敗しちゃったのはシャクだからさ、もう一回だけ私にチャンスくれない?これが百話目の仕切り直しのつもりでさ。お願い。……やった、ありがと。
けっこう有名な怪談だと思うけどね、私ももう何回ひとにこの話したか覚えてないくらいだし。でも、まぁ聞いてよ。
ある日、メリーさんっていう知らない女の子から電話がかかってきたんだって。無視しても何回もかかってきて、しだいに電話かけてくる場所が近くなってくんだって。
それで、何回目かに電話を取った時、その電話の相手、なんて言ったと思う――?
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます