おとぎ話へのアンサー・ソング。


 世界一有名なおとぎ話「シンデレラ」の作者ペローか作った「宝石姫」という物語。

 虐げられていた主人公は救われ、虐げていた姉は没落した。

 よくある勧善懲悪の物語。

 けれども――

 それは果たして「めでたし」の先でも続くのだろうか?



 元ネタのイメージを破壊することなく、読み味を変えた一作。

 外見だけでなく「言葉は場合によっては宝石にも害虫にもなる」というテーマをも無理なくアレンジされている。

 善人がずっと満たされるとは限らないし、悪人がずっと打ちのめされるとは限らない。
 白にも黒の要素があり、黒にも白の要素がある。そういう難しいテーマが分かりやすく描かれている。

 他ならぬ「宝石姫」のプロットだからこそ実現した点が何より素晴らしい。

 おとぎ話を聞かされて育った人に対する「アンサー・ソング」と言える作品かもしれない。