おとぎ話へのアンサー・ソング。
- ★★★ Excellent!!!
世界一有名なおとぎ話「シンデレラ」の作者ペローか作った「宝石姫」という物語。
虐げられていた主人公は救われ、虐げていた姉は没落した。
よくある勧善懲悪の物語。
けれども――
それは果たして「めでたし」の先でも続くのだろうか?
・
元ネタのイメージを破壊することなく、読み味を変えた一作。
外見だけでなく「言葉は場合によっては宝石にも害虫にもなる」というテーマをも無理なくアレンジされている。
善人がずっと満たされるとは限らないし、悪人がずっと打ちのめされるとは限らない。
白にも黒の要素があり、黒にも白の要素がある。そういう難しいテーマが分かりやすく描かれている。
他ならぬ「宝石姫」のプロットだからこそ実現した点が何より素晴らしい。
おとぎ話を聞かされて育った人に対する「アンサー・ソング」と言える作品かもしれない。