泣きぼくろ

第1話

女1「同じ部活に嫌いな子がいるんだ」

女2「へー、誰？」

女1「4組の子だから名前言っても知らないと思うよ。山本ちゃんって言うんだけど」

女2「あー、知らない。で、なんでその子のことが嫌いなの？」

女1「泣きぼくろがあるから」

女2「は？」

女1「私、顔に泣きぼくろある人嫌いなんだ」

女2「いやいやいや、泣きぼくろが人間の顔の好き嫌い決めるほどの価値基準ってことある？」

女1「……あるよ」

女2「絶対ないでしょ。何、泣きぼくろある人に嫌なことでもされたの？」

女1「私が知ってる泣きぼくろがある人、全員自殺したんだ。しかも、私の目の前で」

女2「マジ？　てか全員って複数人いるってこと？」

女1「3人いる。1人目は小4の時の担任の先生で私が登校した時に教室で首吊り自殺してたんだ。2人目はお母さんで学校から帰ってきたらクローゼットの中で首吊り自殺してたの。3人目は中学の時の友達で一緒に登校してたら急に電車に飛び込んで自殺したんだ」

女2「ふーん。だから、泣きぼくろがある人を嫌っているってことね。ねぇ、ちょっと山本ちゃんの写真見せてよ」

女1「いいよ。これ部活の時の集合写真で右端にいるショートカットの子が山本ちゃん」

女2「いや、泣きぼくろなくない？」

女1「え？　どう見てもあるよ。ほらよく見て、右目の下だよ」

女2「……いやないよ。ねぇ、もしかしてさぁ……」