頼んでもいないのに、朝は来る。
- ★★★ Excellent!!!
冒頭からキツさ苦しさ満載の主人公の心の叫びから始まる物語。
若かった自分自身が持っていた、とっくに忘れたはずの苦しさが蘇った。
朝が大嫌いで、静まり返る深夜が大好きだった時期を思い出して。
なのに作者の上手な文章のせいでするする読めてしまう。
おかげで途中離脱も許されず、苦しいまま行き着く先は負の感情。
だがそれが心地よい。
何という矛盾だろう。
その矛盾さえ心地よいのだから、始末に終えない。
主人公は、ボトルメールというネットサービスを利用して真里という人物とメッセージのやり取りを行う。
ネットを介して日常への悪感情や毒が素直に吐露されていく様に、思い当たる人は多いのではないか。
――面と向かって言われたらムカつく。でもネットだからまあいいか。面と向かっては言えない。でもネットだから言っちゃえ――
わかる、と思った。
ラストでは主人公の気持ちにほんの少しだけ変化が表れる。
彼女にとっての真実が、彼女を癒やしますようにと願わずにいられない。