ストーリーの深い部分に、確かに熱がある

ごく一般的な女性が主人公で、冒頭から、まるで美術の教科書に載っていたような記述が並びます。
この時点ではちょっと変わった現代ドラマとしかいえないのですが、主人公が憧れる高齢男性が登場するあたりから少しずつ様相が変わっていきます。

主人公は常に冷静に日常を過ごしています。
高齢男性の言葉を「おもしろい」と思いながらも、仕事は淡々とする。
ただ、彼女の胸の中には熱い何かがまだくすぶっていて――

読み手の私としては、友人との会話も楽しいし高齢男性との会話も楽しい。
でも主人公の心の内では「楽しい」だけではない。
そんな彼女の心理がとても丁寧にぽんぽん丸的に書かれています。
おすすめです。

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