現代ダンジョンーーダンジョンに興味がないけど友達に誘われ潜ったらなんかチートになっていた。
白烏ミヤビ
第1話 生まれて初めてのダンジョン
学校の授業が終わったばかりの夕方。
僕ーー草薙海斗は、下駄箱で靴を履き替えようとしてたら友人の防人祐樹が話しかけてきた。
「よっ、海斗! 今日こそはヒマだろ? 行こうぜ、ダンジョン!」
教室よりうるさい声で飛びついてきた。
「いや僕は行かないよ。ダンジョンとかには興味とかないしそもそも僕は、
家でゲームをしている方がいいし」
「そんなこと言わずにさ、ダンジョンもリアルゲームみたいなもんだからさ!」
「リアルだからこそ行きたくない」
僕は本気でダンジョンには興味がない。
世界で流行っているから、みんな言っているからとか、突然世界に現れて、
モンスター倒して素材集めてスキルや魔法を覚えて......ってやつ。
でもさ。
それって危ないだろ。
ダンジョンの中で何が起きるかわからないから。
「まあまあ、今日行くところは星1の初心者ダンジョン”ウサギ洞”だぞ?
敵はそこまで強くないし、小学生でも攻略できるで有名な雑魚ダンジョンだぞ!」
「怪我はしないんだよな......?」
断る気満々だったのに、祐樹は僕の腕をがっちりと掴んでずるずると引きずった。
「え、ちょ、待て......!」
「いいから! ダンジョンなんて一回体験してみないと分かんないって!
俺のレベル上げついでに一緒に経験しよう!」
「最後のが本音だろ!」
結局ドナドナされながら地下鉄に乗せられ、気づけばダンジョン管理局がある市街外れの施設に到着していた。
施設の中に入るとロビーは人でごった返していた。
初心者、学生探索者、会社帰りの社会人、色んな奴らが武器や防具を持って行き交わっている。
「ほらほら海斗、登録だ登録! ユニークスキル判定もすぐ終わるって」
「帰りたい......」
そんなことを言いながらも渋々、受付のお姉さんに案内される。
”ユニークスキル判定ブース”へ入る。
「では、手をこちらの魔力測定機に当ててくださいね~」
「はいはい......」
ピピッ、と機械音が鳴る。
画面には僕の名前が映り、そしてーー
**エラー表示**
**ユニークスキル解析不能**
受付の人「......ん?」
祐樹「......は?」
海斗「......なんで?」
画面が赤く点滅している。
解析不能ってなんだよ。
僕、一般人ですけど。
「す、すいません。再度計測をしますので......!」
再試行、ピピッ。
→結果:鑑定不能(ERROR CODE 03-NULL)
受付のお姉さんの顔が営業スマイルのまま引きつっている。
「え、えーと......こちらでは判定ができないタイプの......特殊なユニークスキルの、可能性が......」
「特殊って、僕そんな......」
「珍しいな! やっぱり海斗は持ってるな!」
祐樹はなぜかハイテンションで喜んでいる。
「いや持ってねえよ⁉ 僕が今一番ビビってるし驚いてるんだけど!」
周囲にいた探索者たちもざわつき始めている。
”鑑定不能”なんて、そうそう出ないらしい。
普通は何かしらの魔力傾向か基礎に合わせたユニークスキルが出るはずだ。
「......えーと、問題ない範囲ではあるはずなので、探索は可能です。
ただし何か身体に異常があればすぐ戻ってきてくださいね?」
「はあ、不安しかないんだが?」
祐樹に背中を押されながらも、僕は初心者ゲートに向かった。
初心者ダンジョン《ウサギ洞》。
名前の通り、ウサギみたいな小動物型のモンスターだけが出るらしい。
内部は明るく安全そうだった。
洞窟の天井には自然光みたいな照明があり、足場も整っている。
「ほら、あっちに初心者ウサギがいるぞ! 弱い奴だ!」
「......はあ。とっとと倒して帰るか......」
その時だった。
ーーチリッ。
突然、僕の目の前に数字が浮かんだ。
《HP:12》
《回避率:18%》
《行動予測:3秒後突進》
「......え?」
「海斗、どうした?
「祐樹、お前......目の前のウサギに......数字が浮いてねえか?」
「は?」
ウサギがピョン、と跳ねた。
同時に視界の表示が変わった。
《行動パターン変更:左右揺れ→突進》
「うわっ!?」
表示通りに、ウサギが突進してきた。
僕は反射的に横へ避けた。
次の瞬間ーー
ウサギは壁にぶつかり、ぐでっと倒れた。
「うっそ......避けたのか今!? お前運動神経そんなによったけ?」
「いやいや、今の絶対”予測できた”からだって!」
だって視界に出てたし、モンスターの行動予測とか数値とか、
ゲームの裏設定見たいのが、全部見てたからね。
「おい海斗、それ......チートじゃね?」
「いやだよチートなんか! 僕は今すぐに本気で帰りたいだが!」
でも、浮かぶ数字が消えない。
まるで僕の脳内に、何かが直接張り付いたみたいな感覚だった。
その後も何匹かウサギを倒したが、行動予測はすべて的中した。
さらにーー
倒したモンスターから落ちたアイテムに、《ドロップ率:1%→45%に収束》
という謎の表示がされた。
その結果レア素材がボロボロ落ちた。
「お前のスキル.......やべぇな......」
「知らねえよ......僕、一般人だぞ......」
「これ絶対”鑑定不能”とかいうレベルじゃねえだろ!?
管理局の奴ら気づくぞ......!」
祐樹の顔から血の気が引いた。
たぶん僕の顔も真っ青だ。
「なあ海斗......今日、もしかしてさ......」
「......」
「人生変わるかもしれんぞ?」
「最悪の意味でな......」
そんなことを話していた瞬間、ダンジョンの奥側の方から爆音が響いた。
ーーズガァァン!!
緊急アラートがダンジョン内に鳴り響く。
《警告:中級モンスターの乱入を確認されました》
祐樹「なんで初心者ダンジョンに中級が来てんだよ!!」
僕「いや知らねえけど!!」
その時、視界に、再び数字が走った。
《敵レベル:27》
《危険度:C》
《推定勝率:......3%》
「......帰りたい。」
「俺もだよ!!」
こうして、僕の”興味ゼロのダンジョン人生”は幕を開けた。
ただ初回から全力で波乱を迎えるなんて思ってもみなかった。
現代ダンジョンーーダンジョンに興味がないけど友達に誘われ潜ったらなんかチートになっていた。 白烏ミヤビ @yamannohinata
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