対照的な二人の女子高生の心情を細やかに綴った好編

 恋愛短編お得意のマッグロウさんの最新作です。15000字の少し長めの短編ですね。百合ものですが、ソフトですので、万人向けと言ってよいと思います。
 
 ストーリーは、あってないようなもので(失礼。だけどそこがいいんです)、陽キャで人気者、一軍女子を演じている葵が、図書館で月のように静謐な心の持ち主、雫に出会うところから始まります。
 あたかも月と太陽のように輝きが異なる二人ですが、雫が手にしている詩集について話すうちに、お互い、「この人なら、心を開ける」として、二人だけの秘密の世界に足を踏み入れていくのです。
 全編にわたって、この二人の近づききれない、もどかしい心情描写が美しい筆致で紡がれております。

 そして最後の卒業式、二人はどうなるのでしょうか。
 わたくしは、「ああ、なるほど。こういう結末もありそうだなあ」って納得しました。

 穏やかで優しい恋愛ものがお好きな方にはお勧めですよ。

その他のおすすめレビュー

小田島匠さんの他のおすすめレビュー1,219