Q
リョーイチ
q
ピー・・・・シュイン
「おぉ!動いた!やっとだ!えー,,,今日はXXXX年X月X日,OO:OO。ついに私の長年の研究が芽を結んだ!幾度となく失敗を重ね、ようやく君が生まれたんだ!こんにちは、q。『こんにちわ、father。私の名前は、type q です。』」
きっとそこには研究者と人工知能搭載ロボットの一人と一体だけの暖かさがあったのだろう。老人とは言えないくらいの枯れた男性の声、乾いた鉄のような機械の声がそのボイスメモには聞こえた。
「XXXX年X月A日。宇宙ステーションから政府へ、隕石の発生が目撃されたというニュースがあった。時間がない、食料も数える程度にしかないが私とqは独自のシェルターに入っている。今日から生存確認を兼ねて毎日このテープレコーダーに録音していく。全く、人間というのは愚かなものだ。隕石発生のニュースが出てからというもの、事実に困惑し、自殺をしてしまう者。自分だけは助かろうと必死に他の人間からも食糧を盗みシェルターへ逃げ込む者。qにはそんな汚い存在になってほしくないんだ。」
確かに、XXXX年X月A日の新聞の切れ端を見てみると一部分でも分かるくらい盛大に隕石のことが書かれている。いろんな人間が混乱しただろう。
「XXXX年X月B日。隕石は徐々にこの星、地球に近づいていると分かった。私の推測では約25日ほどで地球に来るだろう。でもこのシェルターならきっと大丈夫だ。昨日も今日も食事をとっていない、、、だが人間は水分さえとっておけば2、3週間は生きれる。きっと大丈夫だ。きっと、、、いや、絶対だ。良い事に話相手は隣にいる。寂しさとは人間にとっての一番の苦痛なんだぞq。『——寂しさは人間にとっての一番の苦痛——インプットしました。father、“寂しい“という表情データが存在していません。』あぁそうだな、qができてから寂しいという感情は薄くなり消え去ってしまったからな、きっといつか分かるさ。」
ここからのテープはつぎはぎになっていた。誰かが真ん中だけ切り取ったのか?
「———は——今日はXXXX年X月、、、何日だっけな。くそっ!日にちが不明だ。昨日まではすんなり言えていたのに、記憶が抜け落ちていってる『father、今日はXXXX年X月F日です。栄養が極限状態に近づいています。食事をとりましょう。』あぁ、ありがとうq。一応水分と缶詰半分は食べたんだ。ただ、食事が喉を通らなくて。だんだんと——————。『—————————-』あぁq———————-」
テープがところどころ不具合を起こしているのか、聞こえないところはあったが男の声が細くなっているのは感じられた。
「今日はXXXX年———。今はqと一緒にシェルターの中を探している。ここまで限界じゃ、最後の希望でも見たくなってくるだろう。『father、缶詰と水、完全栄養食を見つけました。これでfatherは生きれますか?』おぉ!でかしたぞ我が娘!q!『ありがとうございます。f———』」
ここからの録音はボォーという音に包まれて何も聞こえなかった。
『今日はXXXX年X月Z日。OO:OOです。隕石はfatherの推測より早く来ました。シェルター内は爆風は大丈夫だったものの、NN研究所の毒物が気化したものがシェルターに入り込みfatherは寝てしまいました。father、、、博士がいないとどうすればいいのかわかりません。博士の行動プログラムをコピーしています。——』
『先ほど、鏡を見ました。反射して写った自分の顔はなんだか寂しそうでした。寂しいという感情は人間にもロボットにも一番の苦痛ですね。』
——カチッ
ボイスメモはこれで終わってしまった。テープレコーダーの近くには瓦礫と銃と鉄錆のようなヒトガタしかいなかった。探索を続けよう。生き残りはいるはずだ。
Q リョーイチ @Ryo-1Nu
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