俺の青春パフェ

@katakurayuuki

短編小説 俺の青春パフェ

「はぁ、はぁ、はぁ、、、」

 今見たものが信じられない。だが、もう一度、もう一度だけ見せてくれるなら有り金はたいて買ってもいいと思う。そんな思いを抱かせる。そんな商品だった。

 

 青春パフェ

 それはいつもの通り道にぽつんとキッチンカーがあるのを見かけたのがきっかけだった。

 それとなしにチラ見したところ特に代り映えのないラインナップだったのでまぁいいかと通り過ぎようとした時に目に入り込んだのがこの青春パフェという者だった。

 

「この青春パフェっていったいなんなんですか?」

 名前が載っているにもかかわらずどういう具材を使っているかの説明が一切なかったのだ。

 「それは食べてからのお楽しみですよ。」

 そんなことあるのか?おたのしみっつったってパフェだからそれほど冒険するようなものは出ないだろう。甘くておいしい。それに何かついてるぐらいだろうと想像はするが、この店はそんな冒険するような店なのだろうか?

 気になったせいか小腹がすいてきたする。物は試しとその青春パフェを頼むことにした。

 作る様子を見てると分かったのはオーソドックスなイチゴとクリームととチョコソースとバナナがついた物だった。

 ちょっとがっかりした感も否めないが、ゲテモノを食わせられるよりかはましだろうと金を払い食べたところ、俺はタイムスリップしていた。いや、タイムスリップしているように見えただけで俺自体は何も出来なかった。ただ、俺が高校時代に戻って友達と自動販売機の前でジャンケンで買ったほうがおごる事や、弁当を忘れた時、友達に少しづつ弁当を分けてもらいその日を過ごした俺の青春を記憶の底から掬い上げて見直していたのだ。


 気づいたら全部食べていた。そして考える。今見たものはなんだったのか。

 「お客さんの青春はよかったものなんだね。うらやましいねぇ。」

 そんな声が上から降ってきた。パフェを作った店員だ。

 「俺はその人の青春がどういったものかを見るのが楽しみなんだ。その人の体験した青春は見ることはできないが、それを追体験している人の表情を見てその人がどんな青春を過ごしてきたかを判断してるんだよ。あんたはいい青春を送ってきたんだね。」

 「どうしてこんな商品を?お前は何をしてるんだ?」

 「俺か?何をしてるかはさっき言ったとおりだが、、、俺は人の表情を見るのが好きなんだよ。それがどんなものにせよ大きな心を動かすものがどんなものかって考えたらその人の青春をもう一度見させればいつもはみせない人間の表情が見れるのよ。だから青春パフェを作ってるのさ。」

 

 そういうともう店じまいだと言わんばかりにかたずけ始めた。

 ただただ呆然と見ていたら、去り際に一言、

 「俺はどんな表情でも好きだ。映画のワンシーンみたいでな。でもお前みたいによい青春を送れた人を見るとそういう人がもっと増えればいいのにな。なかなかうまくいかないね。」

 

 彼が何者かはわからない。だが、まぁ確かに俺の青春はよかった。楽しかったと呼べるものだろう。

 俺の帰りを子が待ってる。俺の子も青春が楽しいと振り返るようなことが出来るよう明日も頑張ろうと俺は思い、帰路につくのだった。

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