上級者過ぎる愛し方に、幸せだった心がクモる! 本当にクモった家族たち!

 虫が苦手な人。そんな人のために「これでもか!」とフルコースを用意したような。そんな「贅沢」を味わえる作品です。

 主人公は恋人である誠一との結婚の話が進む。幸せな気分でいたが、誠一には「誠人くん」という弟がおり、彼が「蜘蛛さん大好きっ子」な青年であることを知ってしまう……

 彼がどのくらい蜘蛛さんが大好きな「クモったさん」な男なのかについて、急速に「とあるインパクトのある物品」が出て来てしまう。

 ……これは、あまりも上級者過ぎる!

 タランチュラなんかは見ようによってはモフモフしてる感もあるから、飼育してる人の気持ちはわかる気もする。でも、小動物を愛でる感じじゃなく、「そういう愛し方」をする方なのかという。

 虫が嫌いなことを伝え、どうにか折り合いをつけようとする彼女だったのだが、まだ彼女は知らなかった。世の中にはまだまだ彼女の知らない「ディープな世界」が存在していることを……。

 ここまでのド変態な方たちをしっかりと描写してみせる筆致。怖いんだけどユーモラスな感じもあって、ついつい先へ先へと読まされてしまう感じ。
 「世の中ってすげえ奴らがいっぱいいるなあ」としみじみと思わされるラスト。とにかく色々な面で心を持って行かれる、インパクトいっぱいな逸品でした。

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