鋏池さんの小説なのに、少し油断してたらやっぱり!ってお話でした。
これ以上ないってくらいのいい条件の縁談なのに主人公には、気になる点がある。
相手は医者の家系。優しい彼と気さくな家族。良好な関係を築いて行けそうな気がするのだが、どんな不満があるのか?
読み進めると、彼の弟が昆虫好きだと分かる。主人公は大の虫嫌い。
鋏池さんのホラーにはたいてい虫が出てくる。それもかなり悍ましい感じで。
この物語では蜘蛛。
結婚相手が虫好きってことなら、無理かもしれないけど、弟なら別にいいのでは?と思いながら読んでいたら‥‥
思わぬところに潜んでいた悍ましい悪意。これぞ鋏池ワールドです。
ホラーと言えばわかりやすいのだと、妖怪とか幽霊とかが出てくるものだろうけど、この作品は虫が題材のホラーです。
なるほど、こういうホラーもあるのか、と読んだ後、思いました。
本作の主人公は女性で、数年付き合った誠一という男と結婚することが決まったということが冒頭で語られます。
おめでとう、と言いたいところですが、問題がひとつあるみたいです。
それは誠一の弟の誠人が大の虫好きであること。
主人公は虫という字を見るだけで鳥肌が立つくらい虫が嫌いなようで、そのため誠人くんがどうしても苦手なようです。
他の家族――誠一の父と母には特に苦手意識を抱いてなかったようですが、まさかあんな結末になるとは……きっと多くの人が驚くようなラストなので、気になった方は是非読んでみてほしいですね。
あと、本筋とは全く関係ないけど、作中に出てくる食べ物がおいしそうで、読んでいてお腹がへっちゃいました(笑)
虫が苦手な人。そんな人のために「これでもか!」とフルコースを用意したような。そんな「贅沢」を味わえる作品です。
主人公は恋人である誠一との結婚の話が進む。幸せな気分でいたが、誠一には「誠人くん」という弟がおり、彼が「蜘蛛さん大好きっ子」な青年であることを知ってしまう……
彼がどのくらい蜘蛛さんが大好きな「クモったさん」な男なのかについて、急速に「とあるインパクトのある物品」が出て来てしまう。
……これは、あまりも上級者過ぎる!
タランチュラなんかは見ようによってはモフモフしてる感もあるから、飼育してる人の気持ちはわかる気もする。でも、小動物を愛でる感じじゃなく、「そういう愛し方」をする方なのかという。
虫が嫌いなことを伝え、どうにか折り合いをつけようとする彼女だったのだが、まだ彼女は知らなかった。世の中にはまだまだ彼女の知らない「ディープな世界」が存在していることを……。
ここまでのド変態な方たちをしっかりと描写してみせる筆致。怖いんだけどユーモラスな感じもあって、ついつい先へ先へと読まされてしまう感じ。
「世の中ってすげえ奴らがいっぱいいるなあ」としみじみと思わされるラスト。とにかく色々な面で心を持って行かれる、インパクトいっぱいな逸品でした。