投げっぱなしな怪談の面白さ

蒲松齢の『聊斎志異』で一番面白いのは蒲が自分の若いころを振り返ったエッセイ風の掌編だったり、山もオチもない投げっぱなしジャーマンな怪談だったりする。
特に怪異についての因縁話や合理的な解説がないところは中国怪談の特徴で醍醐味と思う。

本作も因縁や故事はなく、ただ無造作に怪異とエロスがある。
中国の奇譚や古典がたなごころにある人でなければこれは書けない。
若い読者は現代のあらゆるコンテンツの過剰な説明に慣れているからとまどうかもしれないが、この投げっぱなしでハードボイルドな味わいを一度「うまい」と感じるようになると、世界がそれまでとは少し違って見えるようになります。
ぜひご一読をおすすめします。