猫の言葉が分かる、ただし会話は出来ない。

夏怨ない

猫の読心能力とそれに関係する仮説

私は小さい頃から平凡で、いたって普通だった。

今は少しだけその枠から外れ、猫の研究に没頭している。

ただ、一つのことを除けば、完全に普通とはかけ離れた能力を持っている。


それは、猫の言葉が分かることだ。

野良猫も飼い猫も関係なく、鳴き声に込められた意味を理解できる。

"言葉"と呼ぶには少し違うかもしれないが、少なくともその意図はつかめるのだ。

この能力を活かし、独自の視点で猫の研究を進めている。


ただし、猫と会話することはできない。

フィクションなら、きっと流暢に話せそうなものだが、現実は違う。

私は猫の言葉を理解するだけで、"猫語"を話すことはできないのだ。


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SNSに流れる猫の動画には、たいてい鳴き声が入っている。

私はその意味をすべて理解できる。

夢を壊すようで申し訳ないが、結論から言うと、ほとんどが"カス"だ。

もちろん、純粋に愛を伝える微笑ましい動画もある。

でも、大半は舐め腐っていて、うんざりするような内容ばかりだ。


たとえば、飼い猫の鳴き声の多くは。

"人間を下に見ている"

そう、イメージとしては、会社で上から目線で命令してくる、うんざりする上司そのものだ。

私のひねくれた性格も影響しているかもしれないが、飼い猫の態度はだいたいそんな感じだ。


一方、野良猫は少し違う。

彼らはまるでガラの悪いチンピラのようだ。

野良猫同士の喧嘩なんて、人間のそれとそっくりだ。

正直、飼い猫より野良猫の方が好きだ。

野生で生きている分、上から目線の態度はまだマシに感じる。


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特に興味深いのは、たまに見かける野良猫の集会だ。

あの光景は、なんとも不思議だ。

中でも目を引くのは、集会を仕切るボス猫だ。

ボス猫は、おそらく私と同じように人間の言葉の意味を理解している。

会話はできないところまで、そっくりだ。


(どこか、共通点がある)


この発見に、私は疑問を抱いた。

早速、観察と研究を始めた。


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調べ、考えを巡らせるうちに、一つの仮説にたどり着いた。


言葉の意味を解する能力は、かつてすべての生き物に備わっていたのではないか。

だが、時代の流れと共に、多くの種がその能力を失った。

偶然、猫だけがその能力を保持していたのではないか。

いや、もしかしたら他の種にも、似た能力を持つ生き物がいるのかもしれない。

それはさておき。


私の仮説が正しければ、こんな話も説明がつく。

たとえば、「ボス猫に頼んだら飼い猫が帰ってきた」なんて話。

あれは、ボス猫が人間の言葉を理解し、その人のために動いてやったのだ。


昔は、すべての生き物がそんな風に言葉を理解し、支え合って共存していたのかもしれない。

そして私は、その能力がわずかに残った突然変異の人間だ。

ただ、能力が不完全だから、猫の言葉しか理解できない。


それが私の仮説だ。


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この仮説は、きっと合っていると思う。

だが、確かめる術はない。

科学的にも、私の能力の不完全さ的にも、答えを見つけるのは難しい。

そもそも、このことに気づき、研究を始めたのは私が初めてだ。


人類がこの謎を解くには、膨大な時間がかかるだろう。

いや、一生答えが出ないかもしれない。


それでも、私は猫の言葉を聞き続ける。

まだまだ調べることは山積みだ。

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猫の言葉が分かる、ただし会話は出来ない。 夏怨ない @natuuranai

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