白雪姫の接吻

作者 坂水

25

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★★★ Excellent!!!

ディズニーアニメで有名な白雪姫が実は原作と違う事を、10年ほど前の実写版ハリウッド映画(お妃役はエイリアンと死闘を演じたシガニーウィーバー)のCMで御存知の方も多いだろう。でも、世間の親が子供に読み聞かせるグリム童話が第7版だと知っていましたか?

作者はグリム童話を調べに調べ尽くしている。単なる蘊蓄物として読んでも面白い。まぁ、そこまで調べたからこそ、童話とリンクしたストーリー展開の妙を読者に愉しませるのだが。平たく言えば、"冷酷"や"辛辣"の一歩手前を行きます。

さて、本作品は大人向けのミステリー小説。
私(not評論家,but普通の人)が思うに、謎解きに軸足を置けばミステリー、謎解きまでのドキドキしたプロセスに軸足を置けばサスペンスだろう。そう言った観点では、サスペンス小説と言うべきか。ネタバレ注意報は発令されないと思うが、終盤に謎は波紋のように別の謎を生みます。正確じゃないなぁ。読者は作品世界の奥行に想像を巡らせ、「この点は、どう展開するの?」みたいな"?"を幾つも抱えるだろう。俗に言う、"ハマった"と言う奴です。

文章の雰囲気は、「十二国記」で有名な小野不由美先生の「死鬼」を思わせる。但し、吸血鬼は登場しません。レビューを童話云々から書き始めましたが、吸血鬼に限らず、狼男も死神も登場しません。それでも、人間の心理に伏する小悪魔が暗躍します。読み進めると分かりますが、あなたの心の奥底にも潜んでいそうな小悪魔。いや、"小"を取って悪魔と言っても差し支えないかも。

登場人物に一般人を添えてはいるが、「死鬼」並みにオドロオドロしい世界観が待ってます。ページをクリックする指が止まらなくなると思いますよ。

★★★ Excellent!!!

現代版、白雪姫のお話。
「王子のキスで目覚めた白雪姫は、王子様と結婚していつまでも幸せに暮らしました。」
この現代の白雪姫のお話は、様々な要因で何度も改訂されたお話だったと知っていますか?
原本の本当のグリム童話は、もっと暗く、ドロドロで、残酷なお話だったのです。

分かりやすい残酷描写は1つもありません。
ですが、読み進める毎に肝が冷えていく感覚がします。

雪に浮かび上がる美しい人と、甘いお菓子の様な描写に塗られた妖艶で残酷な物語です。

ぜひ、この甘い毒林檎を味わってみて下さい。

★★★ Excellent!!!

 白雪姫を現代風にアレンジした作品で、ハラハラ・ドキドキしながら読めます。二人の視点から話が進むため、飽きることなく最後まで楽しめる作品です。子供と大人の人間心理も見事に表現しており、子供から大人まで幅広い年代が楽しめる名作です! 白雪姫をはじめ、グリム童話が好きな人に、私はこの作品をおすすめします!!
 また色んなお菓子の名前が登場するため、紅茶やケーキを用意するとさらに面白くなりますよ! 甘党の人はもちろんのこと、そうでない人にもおすすめの作品です!

★★★ Excellent!!!

直美が小学生の時、転校してきた香世子。短い期間を友達として過ごした後、香世子は再び転校していった。
大人になってから香世子と再会した直美は、当時のことを思い出さずにいられない。けれどその記憶は、やがて危うさを含んでいく。

随所に散りばめられたグリム童話と、雰囲気のある文体が魔法のように読者を罠にはめる。
ひっくり返される真実、美しくも妖しい香世子、その謎は直美の娘へと引き継がれる。

本当は怖い、白雪姫のお話。

結末が気になる。

★★★ Excellent!!!

最初は粉砂糖のように白くて甘くて美しい、そんな風景。
雪のように穢れなく、何者にも汚されていない「思い出」。
そんな過去を共有しあう共犯者のように甘美な友情。
でも読み進めてゆくうちにその白いお砂糖に黒い染みができている。
「あれ?」とその染みに手をのばせば
それは珈琲の苦い味となって舌のなかに残る。
そしてあの黒い液体は悪魔の飲み物なのだ。
そのなかには毒が混入している。白雪姫の毒林檎のように。
少女はこの毒に絡めとられてしまうのか、それとも暗い森を
脱出して、「めでたし、めでたし」が待っているのか。
固唾をのんで見守らせていただきたいと思います。

★★★ Excellent!!!

白雪姫の異説……というより原典をテーマに、ストーリーを展開させています。
ミステリーとも、サスペンスとも、ホラーとも言い難い。どれも合っているようで違うような、こういう本当に面白い作品はレビューする時逆に困ります。何を言ってもネタバレになってしまうので。

過去の断ち切れない因果が現在にまで侵食し、それぞれがそれぞれの『役』を、『脚本』によって演じさせられます。物語というコーヒーに、甘く白い粉が振り掛けられ……これ以上言えないっ。

間違いなく面白い名作なのですが、面白さを伝えることができない。レビュアー泣かせの、『何かとてつもないもの』を見せ付けられた気分です。

女の子って怖いですね。(搾り出した感想)