作者の胸の内をえぐり出しているような生々しさ

序盤は私小説の趣きすら漂わせて、和製ドストエフスキーの独白のようだ。

作者の奥底に眠る、何物にも変換出来ない屈折した感情を、どうにか形にしようとする産みの苦しみが伝わってくる。

正直言って、自分にはこれが小説なのか、詩なのか、判断ができなかった。

ただどうであれ、大いなるパワーが秘められた言葉の群れには違いない。

この鬱屈したマグマがこれからどのように地表に溢れ出てくるのか、その力の前に読者は否応なく息を飲んで見守り続ける。