俺さま暗号屋と召使いな私

作者 三川三

100

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★★★ Excellent!!!

幼等部から高等部までが同じ敷地内に存在する巨大学舎、私立桜花堂学園。
高等部1年にして風紀委員会仮所属の鳥羽華子は委員会正所属をかけ、旧校舎に巣くい、「暗号屋」なる怪しい商売を展開する高等部3年・宇徳安吾を追い出すべく元校長室乗り込んだが……。

まあ、失敗したうえになぜか、生徒が安吾の元へ持ち込む暗号の解読に巻き込まれていくわけですね。
それだけなら普通のお話なんですが、テーマでもある「暗号」の設定が非常に魅力的なのです。なんと、最初に「挑戦状」として読者に提示されてるんですよ! 
ある意味で本編が答え合わせってことですね。

この暗号がまたよくできていて、ミステリ好き・パズル好きな方は燃えずにいられますまい。私も燃えました。
回答率0パーセントでしたけど……。

そして暗号のひとつひとつがドラマにきちんと絡められてるのも見所です。
解くだけじゃなくて、解いた先のエンディングも楽しめるお得な作品。ぜひご一読あれ!

(目を持って行かれた“テーマ”4選/文=髙橋 剛)

★★★ Excellent!!!

いくら探してもないんですよ!
非の打ち所が。
皆さんも探してみてください。
まあ、読み始めたら最後、俺様で天才な暗号屋と、真面目で健気な常識人のコンビが展開するこの物語に夢中になってしまうと思いますが。

神永学さんの心霊探偵八雲シリーズと向井湘吾さんのおまかせ!数学屋さんシリーズを足して二で割ったような作風に、さらにオリジナリティ溢れるスパイスを振りかけて、絶品のデザートまで用意されている。
そんな贅沢なこの作品、読まないなんて人生損してますよ。

Good!

ネタバレを含みますので閲覧注意。まだ読み終えてない方は、続きを読むタップしてを開きませぬよう。

ただ暗号を解くのみだとしたら、つまらなかったと思います。隠されたメッセージの仕掛け自体は極めて単純、小学生のクイズ本レベルのものもありますから。ですがこの物語は、『いろは歌』における逸話や、数字感覚の盲点をつく小噺、干支や十二支の概説などといった知識ネタを暗号解読に織り交ぜ、衒学的なおもしろ味をもって謎解きを演出することで、ストーリーを格段に面白くしています。作風としては北村薫の『空飛ぶ馬』の短編に近いものを感じました。

その一方、衒学趣味があるといっても、京極堂シリーズのような講釈ガチ勢とも立ち位置が違うと思いました。中高生をターゲットにできそうなライトさを保てるよう、ペダンチックさ(?)を抑えているように見受けられます。知識が濃過ぎれば重くなる、知識が浅すぎれば陳腐になる、その中で綺麗にバランスをとっているように思えました。


今はまだ第2話までしか読めてませんが、話の区切りが良いので、他の作品を読みつつ、暇なときに1話1話読み進めようと思います。連作短編としての出来次第で、評価をあげさせていただきます。

★★★ Excellent!!!

ミステリー好きとパズル好きのどちらにも共通しているのは、視点をあれこれ変えて、ありとあらゆる可能性を模索していくことに楽しさを見出せるか否か、という点だ。
疑って疑って、可能性をひとつずつ消去していき残ったものが真実である、という理論はもはや謎解きのセオリーとなりつつある。
ただ、それを自分で行って楽しむのか、物語の中の探偵が行う様を見て楽しむのか、という点は人によって異なる。
そういう意味で、読み飛ばし可の読者に対する挑戦状という形は非常に理に適っている。

とはいえ、この作品はハナと共に頭を働かせて、暗号を解いていくべきだ。
たとえ解けなくても、暗号と向き合ったぶんだけ、ラストに感じる爽快感はより一層深くなるからである。
そして、種明かしのあとに見落としたピースを拾い集めながら悔しさを噛みしめるところまでが、この作品を楽しむコツかもしれない。

さて。1度読み終えた人も、これから読む人も、準備はいいだろうか。

パズルや暗号を物語に組み込んだときに生まれがちな違和感と、ラストに明かされる「最後のピース」を、巧妙に配置したキャラクターとミスリード、構成力で覆い隠すその手腕に感嘆して欲しい。

★★★ Excellent!!!

高田崇史の名著パズルシリーズに匹敵する、と言えば知っている人には充分伝わるので、時間が充分ある時に紙とペンを用意してきちんと挑戦に答えると良いだろう。俺は仕事をするつもりだったんだが、気づけば机の周りは紙がとっちらかっている。
もう少しメジャーどころでは、多湖輝の頭の体操、レントン教授シリーズ、あるいはリアル脱出ゲーム。
このあたりが好物ならば、完全に完全な小説で、真面目な話、これを無料で読んでいいなんて、世の中はどうかしている。

パズルの出来の良さに加えて、パズルの製作過程からも思想が読み取れること、そしてきちんとストーリーと絡み合っていること。挑戦状6は、この手のストーリーの中でも、白眉中の白眉で、謎を解いていい気になっている俺は横っ面を張り倒され、モニターの前でハラショーと叫んだ。嘘じゃあ無い。嘘じゃあ無いとしたら、俺の精神はヤバイが、本当なんだ……。
マジでこれが無料で読めるなんて、本当に世界はどうかしている。完璧。天才。