第2話 月、二つ

 

 

 宿の軒先にて。

 

 月を見ながら、団子を食べる。

 冷たく湿った風が頬を撫でる。

 太陽が沈んでからの空気は、酷く冷たい。

 不思議と気温はそれ程変わっていないようなので、気の持ちようのせいだろうか。

 

 こちらに来てから、ずっと昼間だったのだ。

 町中の喧騒は途切れる事なく、人々はせわしなく移動していた。

 

 それが、今はどうだ。

 道行く人は見当たらない。辺りは静寂に包まれている。

 まるで、この世界に。また、一人だけ取り残されてしまったかのような。

 

 十夜は体を震わせた。

 

 

「……変な夢を見ちまった影響かもな」

 

 

 あるいは、アホの子が二人とも傍にいないせいだろうか。

 アホは周囲を明るくさせる。昼だろうと、夜だろうと。

 

 クルカの方はお休み中だ。疲れがたまっていたのだろう。

 「夜の町も見てみたいし、一日ぐらい休憩しようぜ」十夜が提案すると、最初は難色を示していた。が、ベッドに横になるとあっという間に熟睡したのだ。子供かよ。いや、疲れが溜まっていたのだろうけれど。

 

 あいつの生き急ぎ間は半端ではない。夜になるやいなや「夜は仕事が少なくなるから、星の裏側に転移しよう。さぁ行こうすぐ行こう。ふふ、転移魔法が使えるなんて世界でも一握りなのよ。感謝することね!」とドヤ顔をされた。

 そのドヤ顔は、十夜が「パス」と言うと一瞬で崩れ去ったが。涙目でオロオロするクルカを見ると、なんか悪い事をした気になってくる。一日ぐらい休憩しようぜと十夜が告げると、あっという間に復活したが。俺の罪悪感を返せと言いたくなってくる。

 

 

 しばらく夜風に当たっていると、近づいてくる足音に気づく。

 小さい。音の感覚が短い。体重が軽く歩幅の小さい、子供の足音だ。

 

「――なんじゃ、黄昏たそがれておるの」

「あー、そうだな。黄昏てるのかもな」

 

 月の光を受け輝く髪。地上にもう一つ、月があるかのようだ。

 十夜の耳に届いたのは、あっという間に馴染みが深くなった声。

 たった二週間で、一緒にいる事が当たり前になってしまった声。

 十夜は団子を口に放り込みつつ、近づいてきたニアに返答した。

 

 ニアも十夜の隣に座り、団子を頬張った。すごく美味しそうに団子を食べる奴だ。なんの悩みもなさそうな表情が羨ましい。あれだけの事を経験しておきながら、まさに平和そのものといえる無邪気な顔。だが、きっとそれは嘘だ。今の十夜にはわかる。どうすればそこまで達観できるのだろうか。

 十夜は、再び天の月に視線を戻した。

 

「……月、でっけぇな」

「お主の知る月よりは、でかいであろうな」

「……ずっと同じ位置にあるな」

秤動ひょうどう……多少の揺らぎはあるが、基本的には動かんよ」

「ファンタジーだなぁ」

「無知とファンタジーを一緒にするでない」

「なんだそりゃ。遠まわしに馬鹿って言ってるのか?」

「直接馬鹿と言ってるつもりじゃが」

 

 こいつひでぇ。団子を全部食ってやろう。

 そう思ったが、仕返しが怖いので実行はできない。

 チート能力を得て調子に乗っている十夜だが、基本的にはチキンであった。

 頭脳の方も鳥に近い。

 

 

 チラリと横に座ったニアに視線を向ける。

 今日はやけに静かだ。普段は無駄にやかましいのに。

 

 疑問に思っていると、ニアは十夜に質問を投げかけてきた。

 どうやら、話を切り出すタイミングをうかがっていたらしい。

 

「すこし、聞きたいことがある」

 

 平坦な声。感情の薄い声。

 普段のニアではない。まるで別人のようだ。

 

「お主、親しい人はおったか?」

「ん、まぁ。昔は」

 

 もぐもぐと団子を頬張る。

 妙に会話のテンポが遅いので、こうでもしないと空気が持たない。

 団子を飲み込んだ十夜は、話を続けた。

 

「両親、友人……一緒に居る時間が一番長かったのは、幼馴染かな。そいつとは、いつも一緒だった」

「ふむ」

 

 ニアが手を置いた。

 団子を食べるのをやめ、話に集中する事にしたようだ。

 

「――その幼馴染と、再び会いたいと思うか?」

「そりゃ、まぁ」

 

 遠い目をしたニアが質問してくる。

 こうも雰囲気が違うと、十夜も少々困惑してしまう。

 いつも無駄に元気で、根拠の無い自信に溢れている。それがお前じゃなかったのか、と。

 

「会いたいよ。他に何を捨てたっていいと、そう思えるくらいには」

 

 長年連れ添った、自身の半身。誰よりも長い時を共に過ごした相棒だ。

 

「そうか」

 

 微妙に歯切れが悪い。

 嬉しそうな表情を浮かべたかと思えば、すぐさま悲しげな表情に上書きされる。

 言いにくい事があるのか。それとも、悟られたく無い事があるのか。

 

 

「して、その幼馴染というのはどういう奴だったんじゃ?」

 

 質問を変えてくる。苦し紛れか、思惑通りかは分からない。

 だが、答えに窮するような質問でもない。

 十夜は気楽に口を開く。

 

「そうだな。一言で言うなら」

 

 十夜は、かつての幼馴染の事を思い返した。

 そう、一言でいうならば。

 

「とんでもなくエロかった」

 

 これ以上の言葉は無い。

 

「……」

 

 ニアが頬を膨らませて少し怒ったような様子を見せる。

 一体なぜ。 

 

「……ま、十夜の幼なじみじゃからの。一緒にえろ本とやらを拾ったりしている光景が目に浮かぶわい」

「貴様、なぜそれを……はっ!? さては俺の記憶を覗いたな!」

「んなことせんでもわかるわ」

「マジか」

 

 

 十夜は、幼馴染とのやり取りを思い出しながら語り始めた。

 いつも一緒にいたのだ。語る事などいくらでもある。

 

 今日は、よく口が回る。口が滑る。

 ニアの気を紛らわせるため。あるいは、自身の気を紛らわせるためだろうか。

 それで気が紛れるかはわからない。むしろもっと重くなるかもしれない。でも、一度滑りはじめた口は止まらない。重苦しい空気というのは苦手なのだ。重苦しいのは、聖女様とそのおっぱいだけで十分だ。

 

「ハチャメチャな奴だったよ。いつも何かトラブルを引き起こして、厄介ごとを俺に押し付けてくる。俺も、楽しくなかったわけじゃなかったが」

「いつも一緒におったんじゃろう? 疲れなかったか?」

「疲れはするけど、楽しかったからな。いい思い出だよ」

 

 ニアも話に乗ってきた。

 先ほどの怒りとは一転、嬉しそうな様子を見せる。

 怒ったり喜んだりする理由はわからない事も多いが、感情自体は犬が尻尾を振っているかのように解りやすい。

 こういう所は幼馴染によく似ていると、十夜は思った。

 

「十夜は態度こそアホ極まりないが、あまり積極的に人に絡んでいくタイプではあるまい? どうしてそんなトラブルメーカーと親しくなったんじゃ?」

「だれがアホだ、お前の団子に唐辛子を混入するぞ……単純に、近所の親戚だったってのがでかいな。親同士の仲もよかったし。なにかあるたびに酒瓶片手に、家族全員で泊まりに行き来してた」

「ほう」

「最初は、あいつとは仲が良いって感じでもなかったな。何かきっかけあったかなぁ……とりあえず、小さい頃はよく一緒に風呂に放り込まれてた。今思えば、たぶん酒盛りの邪魔だから厄介払いされてたんだろうけど」

「随分乱暴な扱いじゃな」

「んで、スペースに余裕が無かったから小さい頃は一緒のベッドで寝てたよ。夏は暑苦しかった。あいつ、寝相悪かったし」

「っ!? そ、そうか。寝相、悪かったのか。それはすまんかった」

「……? なんでニアが謝るんだ」

「気にするな。さぁ続きを聞かせてくれ」

 

 妙に慌てるニアだが、続きを希望されたので十夜は続きを口にする。

 ぱっと思いつくのは、やたらエロ本捜索に力を注がれていた事だろうか。

 

「あいつ、俺が秘蔵してるエロ本をすぐ捜索したがるんだよなぁ。見つかったら一緒にエロ本を鑑賞するという羞恥プレイをさせられるから、見つかりたくないハードすぎる奴はあいつの家に隠す事にした。灯台下暗しって奴だな」

「ちょっ!? あれは貴様の仕業かーっ!」

「おいおい、なんでニアが怒るんだよ」

「それはっ! それは……ほら、あれじゃ。お主の非道に憤りを感じておるだけじゃ。自宅にハードすぎるエロ本があるのを友人に見つかりでもしたら、気まずいじゃろう?」

「いやー大丈夫だろ。あいつ、エロキャラだったし」

「なん……だと……」

 

 愕然とした表情で崩れ落ちるニアの事は気になったが、変な行動を取るのはいつもの事なので十夜は気にしない事にした。そして、懐かしい記憶を手繰り寄せていく。

 

 語り始めると止まらない。

 堰を切ったように、どんどん記憶が流れ込んでくる。

 過去のことは、できるだけ思い出さないようにしていたのに。

 忘れてしまうには、あまりに鮮烈すぎた。

 

 今でも夢に見る。

 今でも、昨日の事のようにイメージできる。

 

 由希ゆきの事は。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「どーん!」

「うおおおおおお!?」

 

 部屋のドアが豪快に開け放たれる。

 十夜は慌てて手にした本を隠した。なんせ、イケない本である。世の男の知的探求心を満たす事の出来るすばらしい本。だが素晴らしすぎるがゆえ。人に見られるのは、ちょっぴり恥ずかしい。

 乱入者はチラリと十夜の様子を伺うと、その猫のような目をキラリと光らせた。

 

「事情は全て察した! 十夜のチン……あれやこれやは、なんやかんやで爆発する!」

「なんやかんやで!?」

 

 元気よく部屋に飛び込んできたのは、見慣れた女の子だった。

 というか、こんな無遠慮に踏み込んでくるなんてこいつぐらいしかいないのだが。突然すぎると、ややビビる。もう夜なのだから、少しぐらい静かにしてほしい。

 

「って、なんだ由希か……びっくりさせやがって」

「なんだとは何だー! 可愛い女の子が訪ねてきたら、全裸で喜びを露わにするのが男の甲斐性ってもんでしょう」

「俺はそんな変態じゃない」

「私もそんな変態はイヤだ」

 

 何いってんだこいつ。

 まぁ、こいつの言動が謎なのはいつものことだが。

 

 十夜はこっそりエロ本を布団の中に押し込みつつ、乱入者に向き直った。

 幼なじみであり、従兄弟でもある由希。

 最近、どんどん綺麗になっていく。ふとした仕草に、ちょっぴりドキリとしてしまうぐらいに。

 

 由希は十夜のいるベッドまで歩み出て、そのまま隣に座って伸びをした。猫みたいな奴だ。最近では伸びてきた髪をポニーテールにしているせいか、より活動的に見える。

 伸びをしたせいで、その胸の膨らみが強調された。普段ならともかく、先ほどまで悟りを開き賢者に至らんとしていた十夜には少々目の毒だ。ノースリーブというのもよろしくない。軽く視線を外しただけで、二の腕と脇がうなじと協調してジェットストリームアタックを仕掛けてくる。

 

 と、目を反らした十夜の様子を目ざとく嗅ぎつけ、由希は意地悪そうな表情を浮かべた。

 ニシシと笑い、やや釣り目がちなその瞳を強調する。

 嫌な笑い方だ。

 

「おやおやおやー? なんだかいやらしい視線を感じたなー。ムラムラしちゃった?」

「ああ、エロ本見てたからな」

「まーったく、素直じゃないんだから。この由希ちゃんの肢体に目を奪われましたと素直に言えば、少しぐらいサービスしちゃうのに」

「まじでっ!?」

「マジマジ、大マジよ」

 

 背筋を伸ばし、ふふんと得意げに笑う由希。

 どうしてこいつは笑うだけでこんなに視線を惹きつけられるのだろうか。

 美少女というのは卑怯だ。

 

「久しぶりに一緒にお風呂に入ってもいいと思っている。そして体の洗いっこをしよう」

「なんだと……そんな馬鹿な事が……っ」

 

 中学に入ってからは、一緒に風呂に入ることなどなかった。

 当たり前だ。幼馴染の美少女と一緒に風呂に入るなど、どこの世界のエロゲの話だよと言いたくなる。

 

 だがしかし、そんな常識は要らないのではないだろうか?

 ぶち壊してしまっても、構わないのではないだろうか?

 愛は世界を救う。

 

「あ、言い忘れるところだった。今日、パパが来てるから。叔父さんと飲み明かすんだってさ」

「……ん?」

 

 桃色に染まりつつあった十夜の思考が、現実に引き戻される。

 まず頭に浮かんだのは、風呂の位置。

 そして、二人が飲み明かであろう場所。

 

「ちょっと待て。二人はどこで飲んでるんだ?」

「どこって、いつも通りリビングだけど」

 

 リビング。

 大抵の家では、生活の中心となるように設計されている場所である。

 当然、この家もそうだ。そして、風呂場はリビングのそばにある。

 

「……え、ちょっと待って。親父と叔父さんの目の前を通って、二人で風呂に入ると?」

「この状況だと、必然的にそうなるよね」

「アホか! どんだけハードル高いんだよ!」

「別にそこまでハードル高くないと思うけどなぁ。十夜にその気があるのなら」

 

 その気とは一体。

 それは、更にハードルが一段階上がってやしまいか。

 

 別段由希の事が嫌というわけではない。

 むしろ好きだが。

 でも、この歳で人生決めるのはやや早計ではあるまいかと十夜は思った。

 

 人生、長いのだ。

 焦って決める必要など無いではないか?

 

 

 そう、思っていた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

「エロキャラ……この、儂が……?」

 

 戦乱が起こる前。

 平和だった頃の回想に気を取られていた十夜が現実復帰すると、いまだ項垂れて何事か呟いているニアの姿が目に入った。

 いつまでやってんだこいつ。

 

「団子、食わないなら全部食っちまうぞ?」

「……食べる。団子。いっぱい」

「なぜ片言なのだ」

「人はショックを受けると、知能が退化してしまうのじゃ」

「それ以上退化すると致命的だな」

「お主に言われとう無い」

 

 ゆっくりと団子に手を伸ばすニア。

 最初はゆっくり。

 数個の団子を食うと、やがてその腕の動きが早くなっていく。

 悲壮感溢れる表情は彼方へと消え去り、今では満面の笑み。

 団子を食うだけでメンタルリセットされるなんて、お手軽すぎる。

 ……いや。これも、隠しているだけだろうか。

 

 だが、今度は逆に十夜のメンタルがマッハでヤバイ。

 アホの子の最強幼女に構っている余裕など無い。

 

 

「あー、余計な事思い出しちまった」

 

 十夜はその場に横になり脱力した。

 もう動きたくない。

 心にぽっかり穴が開いてしまったような。

 

 

 由希は、もういない。

 死んでしまったのだ。

 

 

 ぐでーんと力なく地面に広がる十夜。

 ニアは十夜の脇に座り、ポンとその頭に手を置いた。

 

「すまんな、嫌な事まで思い出させてしまったか」

「いや、別にいいよ。いつかは心の整理つけようとは思ってたし」

 

 小さく柔らかい手の平が十夜の頭を撫でる。

 懐かしい感覚。指が髪を梳いて、むず痒い。

 昔はよく、由希にこうやってもみくちゃにされていた。

 撫で方までそっくりで。

 まるで、十夜の気に入るポイントを知っているかのような。

 

 

「儂もなぁー。たくさんの人達に別れをつげたもんじゃ」

 

 遠い目をしながら語る。

 それはそうだろう。きっとこいつは何百、何千年と生きてきたのだ。

 出会いも別れも。星の数ほどある事だろう。

 

「この世界を創っていく最中は、いろいろやったもんじゃよ。苦楽を共にし、新たな生命の誕生を祝った。死は、共有してやれなんだが……その願いは受け継いだ。子供達のため、未来を過ごす者達のため。この星をより良い場所にしてくれとな。目指すは、はっぴーえんど。ただ一つ」

 

 ニアの努力の結果。それが、今のこの世界。

 十夜はこの町のことしか知らない。

 この町ひとつ取ってみても、不幸な人間が居ないわけでもない。

 だが、それでも。

 みんな楽しそうに生きている。

 それはきっと、凄い事なのだろう。

 

「立ち止まる事はできなかった。皆の願いを叶えるため、儂の願いを叶えるため。儂はただ、進み続けた」

 

 そして勢いよく立ち上がると、両手を空へと掲げた。

 

「たくさんの想いを繋いだ結果が、今のこの星じゃ。見ろよ。見てくれよ、緑あふれるこの世界を! 笑いながら生きる者達を! かつての仲間達に見せてやりたい。見せて、やりたかった」

 

 泣いているのだろうか。

 涙は見えないが、きっと泣いている。

 共に過ごしてまだ二週間程度だが、それぐらいの事は十夜にも感じ取れた。

 

 

「十夜」

 

 ニアは腕をだらんと力なく垂れ下げて、その場に座り込む。

 白い髪が月光を反射し、淡く輝いていた。

 

「儂の夢を見たじゃろう」

 

 これが、本題か。

 十夜は納得した。

 

 らしくない態度。

 らしくない言動。

 全ては、この話に繋げるための前振りだ。

 

 一拍置いてから、十夜は答える。

 

「……ああ、見た」

 

 嘘をつく気にもなれなかった。

 正直に答えるほか、なかった。

 

「何を見た?」

「荒野を彷徨う夢と、ドームみたいな所に攻めてきた敵と戦う夢だ」

「それだけか?」

「ああ」

「――そうか。それだけなら、別に構わん……やはり回線を接続したままにするというのは不都合があるようじゃの。対策が必要じゃ」

 

 それだけ言うと、ニアは押し黙ってしまった。

 

 ニアは見せたくなかったのだろう。自分の過去を。

 心に秘めて、見せたくないものが沢山ある。

 ニアが隠している事とは何だろうか。

 あのシーンも大概ひどい光景だと思うのだが、それ以上?

 

 ……いや、詮索はよそう。

 見せたくないのなら。それでいい。

 今は、まだ。

 

 

 今度は逆に、十夜がニアの頭にポンと手を乗せる。

 そして、ゆっくりと。やさしく撫で上げた。

 

 さらさらした感蝕が心地よい。

 輝く髪が、指の間からこぼれる。

 髪が空中に広がるたび鼻腔をくすぐるのは、ほのかな石鹸の香り。

 

 

 二人は無言のまま、空に浮かぶ月を見上げながら時を過ごした。

 

 

 

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