無人島に行くのなら、この本を持って行く。

やや変わった設定のファンタジー小説である。

外界から閉ざされた謎の空間に閉じ込められてしまう人物たち。
その島にある、唯一のルール。
はじかれたコインの指し示す運命。

ヒロインを筆頭に、この場所に流れ着いた人物たちは、重い過去から心を休める場所を探していた。
そして、待ち受けていたのは、優しくも厳しい自然との闘い。

孤島の中で生きていくためには、動物を殺すことも、植物の性質を見極めることも必要となる。
何から何まで、金さえあれば手に入ってしまう現代の生活とは、まるで違う世界で、主人公たちは戸惑いながらも、ひたすら前に進んでいく。

生きる意味。食べることの意味。生活することの意味。
そして、人との繋がりの意味。
それらを、あらためて突き付けられ、真正面から向き合っていく登場人物たち。

やがて、彼らは最後の選択をみずから選び取っていく。
彼らの休息期間は、そして終わりを告げる。

瑞々しい自然の描写に、まずは感嘆する。
そして、意表を突く驚きのラストシーン。

一気読みして下さい。
生きている意味。生かされている意味。
安らぎ。つながり。生きる意思。様々なことを、考えさせられる優れた小説です。

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