第4話幻想

『やっと、会えた。』

その言葉で、私は、気になった。

転校生の彼女と、夢を。


彼女の周りには、クラスの皆が囲っていた。何処から来たか、好きなものは、

彼氏がいるか等々、質問攻めにあっていた。


きっと、彼女の友達になりたいと思う人は、クラスのほとんどだろう。


だが、私は彼女と、関わりたくは無い。

このままだと、私は私では無くなる。

そう、感じた。


彼女は危険。彼女は危険。彼女は危険。

頭の中の信号が、そう、判断している。


「おーい、大丈夫?」

「!?」


友達の夏樹が、私の側に来て言った。

私はまた我に戻り、今の時を実感する。

現実の世界にいる。

私を、私の存在を知る人はいる。

夏樹に、クラスの皆、先生、親。

だから、私は此処にいる。


「どうしたの?じっと私を見て?」

「……ううん、何でもない。」

「さては、私が、好きなの?」

「冗談言わないでよ!」


私は普通に話せている。

そして、笑っている。


「夏樹、ありがとう。」

「えっ?いいよ。何かあったら、抱え込まないで、私に言ってね。」

「うん、ありがとう。」


友達がいて良かったと思った。

けど、私は分からなかった。

彼女が、私達を、いや私を見ていたことに。





『待っていて、直ぐに貴女を戻してあげるから……。』


夕子は彼女を見て笑った。





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夢から覚めたら @touma

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