冒頭、少年たちの日常を描きつつ、ワクワクする冒険の気配に物語を読む手が止まりませんでした。
文体から滲む、物語の語り手である主人公の少年の活発な雰囲気が心地よく、良いリズムを保ったまま少年たちは日常から冒険へと進んでいきます。
お話の詳細は、ぜひ本編をお読みください(笑)
エンターテイメントとしても本当によくできた作品ですが、少年とおばあちゃん(あと、おじいちゃんの存在も大切)の対比が生老病死という普遍的な巨大なテーマを見事に作り上げているところには目を見張るものがあります。
ワクワクして、達成感に喜びつつ、ちょっと切ない、けどやっぱり最後はワクワクさせられる。
超贅沢な作品です。
主人公は男子小学生二人組。市民プールに行く途中で、いつもおばあちゃんから「君たち誰?」ときかれていた。いつも名前を聞かれるけれど、覚えてもらえず、家の人からは「何でも忘れてしまう病気」だと告げられる。
そんな中、二人はチカというおばあちゃんの家族に出会う。おばあちゃんは携帯を持って、チカに付き添われていたが、その目にはぼんやりと、バスが捉えられていた。そしてチカは、二人の名前を憶えていてくれた。
いつものプールに向かう時、不審者がこの辺りに出没するからと、注意をされる。それに、台風まで近づいていた。不穏な空気が流れる中、チカからおばあちゃんが行方不明だと告げられる。警察まで出動し、おばあちゃんを探す。そんな二人の前に現れた男に車に乗せられた二人は、おばあちゃんがバスを見ていたことを思い出し、男と共に、バスの先回りを狙うのだが……。
おばあちゃんが生きたかった場所。それはかつておじいちゃんとの思い出が詰まった場所だった。しかし、そこは――。
二人の男の子の大冒険が、今、始まる!
全てを巻き込んで、点と点が繋がり、最後は感動!
こんな素敵な作品に出会えたことに感謝です。
凄く面白かったし、それでいて書式もきれいで良かった。
是非、御一読下さい!