オリジナリティあふれる、作り込まれた世界観

  • ★★★ Excellent!!!

異世界転生にありがちな、中世ヨーロッパの世界観をあえて避け、狩猟・採集の時代にフォーカスした、オリジナル性の高い作品です。

もしも文明の発達に魔法が関わっていたら?という「シミュレーションもの」としての完成度も高く、歴史的、文化人類学的に確かな考察に裏打ちされた、説得力のある物語展開が魅力です。

最初は毎日の食料の確保に精一杯で、教育や文化の醸成の余裕がなかった人類が、火魔法による栄養状態の改善や氷魔法によるナマモノの貯蔵を達成し、徐々に勢力を拡大していくあたりが個人的に大好きなくだりです。

魔法を技術として捉え、魔法への理解を深める過程を描いているのもこの作品の特徴で、そこも考察が捗って素晴らしい。

魔法の発達の過程を追体験できるので、なぜ言葉による詠唱が必要なのか?なぜ魔法陣という概念が発達したのか?という理由に非常に納得します。

言霊思想やイデア論なんかも知ってると、より楽しめる内容になっていると思います。

あくまでイチ考察厨としての意見ですが、一口で3度くらい美味しい作品です!!

レビュワー