第10話
時は流星、晴奈、栞の三人が武也と玲子を助けに行ったところに戻る。
「流星はリニアでいくでしょ?あたしたちは能力使って直行しちゃうけど。」
晴奈が流星に聞く。
「へへっ!実はなぁ、俺も武也とおんなじでバイク持ってんだ。ヒーローといえば特撮、特撮といえばバイクだからな!」
流星は嬉しそうに答えた。
「じゃあいいじゃねぇかさっさと行くぞ」
栞は鬱陶しそうに言い、部室を出て行った。晴奈と流星もそれに続いて部室を出て行く。途中で流星は道を分かれて駐輪場に行った。流星のバイクはスポーツタイプ。まさにライダーっぽさの溢れた代物だった。流星はバイクの後方の荷物入れに装備が入ってるのを確認すると、バイクに火を入れた。
「よおっしゃあ行くぞ相棒!!」
一人で叫び先行した二人の元へ向かった。
晴奈と栞の二人はそれぞれの能力を駆使し常人よりも速く移動できる。晴奈は空気圧操作で飛行が可能だし、栞は加速能力であるから言うまでもない。
「晴奈先輩スカート大丈夫なんですか?」
「あー、大丈夫だよ。スパッツはいてるし。」
「アタシはいてくるの忘れたから少し不安ですよ。」
二人が移動しながらそんな他愛もない会話をしていると、背後からホバーバイク特有のキュイーンといったモーター音が近づいてきた。
「やっと追いついたぞ。さすが特殊行為能力はいいなぁ。便利だしカッコいいしよぉ。」
やはりバイクの主は流星だった。
「流星のバイクだってカッコいいよ!いいじゃんそれ」
晴奈が褒める。ちなみにこの会話はデバイスを通じて行っている。そうしないと外気の風の音で声が届かないからだ。三人は道路を颯爽と走り抜けていく、一人は飛行しているが。
そうこうしているうちにフロートのブロックとブロックをつなぐブリッジに差し掛かった。ブリッジを進んでいくと横にはアンゴルモア落下の影響で海に沈んだ建物の一部などが見えてきて、あの災害の規模の大きさを物語っている。
「アタシたちが産まれる直前まではここら辺も陸地で、人が生活していたのよねぇ。」
「それがあの隕石で、海に沈んじまったわけだ。ま、あれがなけりゃお前らの能力も存在しなかったんだけどな!」
流星のその言葉に二人は何とも言えない表情で黙り込んでしまった。ブリッジの後半まで進むと、三人はブリッジを超えた先の道路で異変が起きているのを感じた。ブリッジを渡り切るとより鮮明に三人の前に現れた。なんと身長が2メートルをゆうに超えそうな大男が建物を破壊しているのだ。これがキバヤシの仲間であった、リーという男なのだがこの時点で三人には知る由もない。
特殊行為能力者 玉瑛 @3g9
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