ふくろう(詩)

AWA

ふくろう

ふくろうは、夜、高い木の上で鳴きます。

夜なので、静かに「ホー、ホー」と鳴きます。

月を見ながら鳴く時もあります。真っ暗な中で鳴く時もあります。


ひとりでいるのがとっても好きです。

ひとりでも全然寂しくありません。


なぜなら、遠くの方から別のふくろうの鳴き声が聞こえるからです。

その鳴き声を聞いていると、安心することが出来るからです。


でも、近くで鳴かれるとうるさいので、もっと遠くで鳴いてくれ、

もっと遠くで鳴いてくれ、と「ホー、ホー、」と鳴いてお願いします。


お腹が減ったら、美味しいねずみを食べます。

木の上から自分で探します。


ふくろうは目も耳も良いです。そして、音の出ない羽を持っています。


暗い夜、ねずみが誰にも見つからない様にゆっくり歩いていても、木の上からふくろうが大きな目でねずみを見つけます。そして、音の出ない羽を広げて、サーと降りて来て、ギュッと捕まえたらパクリと食べてしまいます。


暗い夜、ねずみが誰にも聞こえない様にゆっくり歩いていても、耳の良いふくろうはその音が聞こえます。

木の上から音の出ない羽を広げて、サーと降りて来て、ギュッと捕まえたらパクリと食べてしまいます。

ふくろうは食事は大好きですから、ねずみを捕まえる狩りが大好きです。


昼は、木の上に止まって眠っています。夜起きているので、昼はとっても眠たいからです。だから、じっと動かないで眠っています。太陽の光が子守うたです。とっても気持ちがよさそうです。


誰にもじゃまされなければ、ふくろうの一生はとっても幸せです。


ところが、じゃまする者がいます。人間です。


人間は、ふくろうを捕まえて、見世物にします。商売に使います。

捕まえて来て、たくさんのふくろうを同じ場所に集めて、眠たい昼間に頭をなぜられて遊ばれます。

夜にねかせて、昼に働かせます。


でも、ふくろうは、夜に眠れません。昼じゃないと眠れません。

太陽の光がないと眠れません。高い木の上じゃないと眠れません。ひとりじゃないと眠れません。

どんなに明るくされても、太陽じゃないと気が付きます。夜を本能で感じます。

でも、そんなこと人間は知らないから、「かわいい、かわいい、」という呪文を唱えながら、昼間眠らせないように頭を撫ぜます。


ふくろうは、森の木の上に戻りたがっています。

昼間は眠らせてくれ、と言って苦しんでいます。

人間の「かわいい、かわいい」という呪文は、拷問です。


ふくろうを助ける呪文は「かわいそう」です。

もし、ふくろうを森の木の上に帰してあげたい人間が一人でもいてくれるなら、昼間に起きているふくろうを飼っている人間をみつけたら、その人間に「かわいそう」と呪文を唱えてください。

何度も何度も繰り返すと、それを聞かされた人間は罪の意識が芽生えて来ます。もっと呪文を繰り返せば、もしかしたら、ふくろうを森に帰してくれるかもしれません。


ふくろうは、本当は、高い木の上で夜「ホー、ホー、」と鳴いているのです。

それは本能で知っています。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ふくろう(詩) AWA @AWA

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る