青年は大切な人との約束を胸に、異世界を駆け出す……
初めて異世界物の小説にハマりました。2日に分けて最新話まで一気読みてしまいました。
ハマった理由ですが、それはズバリ主人公の性格にあります。第1章冒頭の恋愛、ヒロインとの掛け合いによって主人公の信念に裏付けがなされているおかげで、違和感なくチートや主人公に都合の良い展開を受け入れられるのです。いや、むしろ「主人公よ、もっと駆け上がれ」と更に応援したくなるような気分にさせられます。
いわゆる「なろう系」によくある「平凡でやる気のない暗い学生、ニートが主人公となりいきなり無双する」という流れが苦手で今まで異世界転生・転移物の小説を読まなかったのですが、この作品の主人公・達也君は転移前からヒロインへの想い、約束があるため強く、とても好感が持てます。主人公の性格が苦手で異世界物を避けていた方に是非オススメしたいと思う訳はそれです。
物語に関しても霞がどうこの世界生きてきたのか、今彼女がどういう状況、存在なのか、凄く気になります。
ただ一つ、接続詞と句読点の付け方に気をつければもっと良くなるのではないかと思いました。
完結までお付き合いしたい……そしてもっとのびて欲しい! 応援しています‼︎
立派な短編恋愛小説として成立している導入部分で、いきなりグイッと心を持って行かれます。そこから、いったいこの物語はどこに行き着くのだろう? と、気になってしまうのです。
それほどに、序盤で泣ける。
特に、大切な人を失った経験を持つ読者は、かなり感情移入してしまうでしょう。
何故断言できるのかと言いますと、他でもない私自身が、大切な人を亡くしているからです。亡くなった歳も、同じでした。
そして、この物語は、本番である冒険パート……というかファンタジーパートも、充分素晴らしいクオリティを誇っています。
魅力的なキャラクターばかりで、なおかつ、死の危険と隣り合わせの世界。
ここで活きてくるのが、序盤の恋愛パートです。
一度喪失を体験している主人公なだけに、“これ以上誰一人死なせたくない”という想いが、ありありと伝わってきます。読んでいる私も、やはり同じ想いでした。
あなたも、この素晴らしい世界に、飛び込んでみませんか?
異世界に飛ぶ話は、割と主人公が薄っぺらいことが多いです。それは主人公の過去が深く描写されておらず、意思決定の動機が軽そうに見られるからです。
その点、この作品では主人公の心に大きな経験値を得た瞬間の話を踏まえてから物語を進行しているので、この人物はこういう人物なんだ。こんな時にこんな風に思ってそれが動機となって行動しているんだ。と読者が主人公に対する理解をもって読み進めることができています。
よって主人公像がはっきりとしているぶん、薄っぺらさがなく快適に読み進めることができます。
唐突に羨ましいことがいきなり起こることも無く、反感を覚えさせないところもよくできているとおもいます。
万人にお勧めしたい作品となっています。