◆エピローグ
二十世紀某日。
未発見だった遺跡が発見される。
遺跡の階層は全てで十。
遺跡の正体は不明だが、迷路のような構造故、独房であったと思われる。遺跡には『両手斧』の意匠が有り、かの有名なミノス王が建造させた遺跡と判明した。ミノス王は歴史的にも有名で、神に選ばれた国王として知られている。だが最期は悲惨で、諸外国を旅行していたところ、入浴中に全身の血液が沸騰し死に至るという変死を遂げている。
遺跡内には人間、動物、魔物問わず数多の白骨死体が発見された。
遺跡内には宝物が散見された(純プラチナ、純金の鍵、純金の林檎など)。
遺跡内にあった人骨の数は不明である。
人骨は遺跡の様々な階層から発見されたが、地下七階(下から三階)のとあるホールの地面を掘り起こしたところ、数え切れないほどの人骨が発見されたからである。
中でも頭部に牛の角のような突起のある頭蓋骨がたった一つあり、興味深い研究対象として回収された。
DNA解析を行ったが非常に興味深い。ヒトとウシの情報が混在している。もしや両親のどちらかがウシだったのだろうか?
ヒトの体とウシの頭。頭蓋骨の大きさから知能はヒト並。また硬さや密度から強靭な肉体を持っていたことが窺える。ただ視覚においては、先天的赤緑色覚異常があったものと思われる。ウシもまた色覚異常があり、特に赤と緑の区別が難しい。赤と緑が黄色のように見えるそうだ。角と同様に遺伝したと思われるが、信じられない事実だ。
また、多くの骨が人骨、魔物の骨であったというのに、大型動物の骨が一体分のみ発見された。骨格からして虎に似た生物だと予見されたが、詳細な調査の結果、人間の人骨であると判明した。何故このような状態で生まれたのか、もしくは変化したのかは不明である。
遺跡付近には墓地として用いられた遺跡があった。
墓石の数は四十。
内二十六の墓石は無記名であったが、残り十四の墓石には記名されていた。
以下にその名と銘文を引用する。
レオ。気高き騎士。皆の命を身を
キャンサー。
ライブラ。勇ましき槍使い。命を賭して孤高に戦った英雄。
オフィウクス。冷静沈着な賢者。
ビスケス。類希なる占い師。幼くも尽力し皆と戦った英雄。
カプリコーン。儚き吟遊詩人。前を向くことを皆に教えた英雄。
ヴァルゴ。
ジェミニ。無冠の劇作家。連鎖する悲劇を止めた英雄。
サジタリウス。誉れ高き盗賊。技術を用いて皆や愛する人を護った英雄。
スコーピオン。遺言の暗殺者。敵の裏を掻き一矢報いた英雄。
コズミキコニス。悲劇の兵士。戦い果て、愛する人と共に眠る。
アリエス。悲劇の神官。戦い果て、愛する人と共に眠る。
アクエリアス。勝利した格闘家。最後まで敵と戦った英雄。
アステール。追悼の魔法使い。英雄たちと共に眠る。
――了
ダンジョン&ミノタウロス 瀬奈雅鷹 @g_sena
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